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幻影道 第五巻    作者: SAKI
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「サマータイムメモリーズ・海編」その4

「ぷは〜食った食った〜☆」


 変な批判を食らい悩んでいるとレヴィアサンやサナエさんが仲裁してくれたからそこまで激化することはなかった。と言っても皆褒めてくれたのが中心だったからそこまで嫌じゃ無かった。


 サナエちゃんの合図により私達は長かった論争に終止符を打ち、昼ご飯を堪能した。どれも絶品で美味しかったけどレヴィアサンが見せた珍しげな表情が印象的だったかな。


「大半はプレアさんが食らいましたが私達には充分な量でしたね」


「そうね、特にカキ氷は強敵だったわ〜沢山食べたら頭痛くなったもの」


「私は肉多め焼きそばが好きでした!歯ごたえ充分、ボリューム満点で美味しかったです!」


 皆が昼ご飯の話に盛り上がっているのを見ていると少し距離を取っているゆいゆいは幸せそうに見つめていた。


「良かったね、海に来てさ」


 ふと私は言葉を掛けるとゆいゆいはうんと軽く頷いた。


「海行くときは憂鬱な事が沢山あったけどいざ来てみれば中々楽しい時間が過ごせるものね」


 また来ようねと告げるとうんと微笑み返してくれた、来年も皆で遊びたいたいな。


 何だかもう皆に会えないような気分になってしまい、その事を頭を振って無くすと背後から声が聴こえた。振り返るとそこにはレヴィアサンが先程の袋を私達の前に置いた。


「臨時収入よ、受け取りなさい」


 その袋を上品に開けるとそこには黄金色に輝く延べ棒が大量に積まれていた。


「な、なんかマジモン見ると気が引けるな………」


「き、金よ……紛れもなく純度百パーセントと金よ!?」


「こ、これが皇女様の力??」


 私自身初めて見るから驚くけどそれ以上に皆の反応に驚いている、異世界の人だからてっきり見たことぐらいはあるかと思ってたけどゆいゆいでさえ驚いている。


「ふん、本当の報酬はサクラユカリが受け取りに来させるから覚悟しなさい」


 えっ?私?


「えっ?私?みたいな顔しないで頂戴、アンタしか話通じる奴がいないから指名したのよ」


 それは私以外と話すと喧嘩になるからでは?と皇女様の前で突っ込んだら怒られそうだから心の中で押し留めた。


「それとサクラユカリ、アンタには追加褒美よ」


 こっちに来いと指示され近寄るとレヴィアサンの水着??の胸元から綺麗な石を手渡された。


「えっと、これは?」


「魔石よ、分からない?」


 レヴィアサンから説明を受けるとどうやらこれは昔研究員が違法で研究していて目障りになったから報復のつもりで全員殺害し、金品を全部奪い取るという強盗に近いような行いで手に入れた物らしい。


 調べるとそれは【戦士】の役割で最も必要とされる能力だけを抽出した秘宝とも呼べる魔石。


 一つ目は【強襲アサルト】:一瞬の隙を逃さない一撃必殺を打ち込む刃の化身。


 二つ目は【防壁ディフェンス】:圧倒的火力さえも凌ぐ剛力の防壁を発動する能力、変化させる部位によって耐久力は変わる。


 三つ目は【変幻自在トリッキー】:戦術を一蹴させるほどの巧妙な動きと共に戦況をひっくり返す力。


 この三つの力を複合した幻の秘宝ということらしい、その他にも色々と言われたけど頭がパンクして大半は覚えていない。


「えっと??つまり凄い石っとこと?」

 

「何故さっきの話を聞いてたのに関わらず第一声がそれなのよ」


 レヴィアサンから頬を抓られてしまった、だって理解できなかったんだもん。


「それをサクラユカリの武器に付けてあげようってことよ、異論は無いわね?言っておくけど拒否権は無いわ、ユイの煩い小言も聞かないから」


 するといつの間にかくすね取られたのか私のスマホを勝手に使い武器を取られてしまった。


「大丈夫よ、私の寵愛だと思いなさい」


「あっ、いやそうじゃなくて………あ」


 言い終わる前に私のスマホを胸にしまってしまった。


「うふふ、安心なさい。付け終わったらすぐ返すわ、それとも?私の“胸”から力づくで取る?」


「うっぅぅぅぅ」


 グラマーな胸を寄せて誘惑してくるレヴィアサン、ゆいゆいは引きちぎるとか言い出したから素直に返してもらうまで待つことにした、ゆいゆいは取り敢えず“これ以上文句言うなら今日は口聞かないと”言って黙らせた。


「うふふ♪それなら最後に一言お礼を言ってあげるわ感謝なさい?」


 レヴィアサンは立ち上がり何をするのかと身構えて見れば私達はこの事を気に少しだけレヴィアサンの事を見直した。


「今日はとっても有意義な時間を過ごせたわ、アンタ達を見てると私もその輪の中に入りたくて仕方ないわ。皆私の事嫌いなのにルールを教え、遊び、笑顔を見せてくれたわ、こんなに“家族”が羨ましいと思ったのは初めてよ、今日は本当にありがとう」


 皇女様、レヴィアサンが頭を下げた。これにはゆいゆいは呆然とし、また文句か小言とか言うかと思ったら言葉が出てこなかった。そして私は気付いた、世間のレヴィアサンの認知は貴族で皇女様というやりたい放題の絶対王政の権力を使い極悪人だと周囲から呼ばれてることを私は知っている。


 でもそうじゃない、本当の彼女は礼儀正しくてちょっと上から目線だけど恩を仇で返す人ではなくそれ以上の礼をするお姉さんだと。


 その事が切っ掛けで家族の皆は寂しそうに去るレヴィアサンを呼び止めた。

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