「サマータイムメモリーズ・海編」その2
「あっ、レヴィアサン!!」
いち早く駆けつけたのはユカリさんでした、ユイさんは帰ってきたことに露骨に肩を落として嫌そうに見つめています。
「さ、サクラユカリ………ちょっと報酬を持ってきてやったわ」
ユカリさんに対して彼女の何かが変わったのか照れながら訳を話してくれました。人懐っこい性格ですからこういった女の子とは意外とパンチが効いてるのかもしれませんね。
「えへへ、ありがとうございます!後で私からお邪魔するつもりでしたが迷惑でした?」
「い、いえ……そんなこと無いわ、あ、アンタ達みたいな汚い人間に土足で踏み躙られたくないからね」
そうですがと少し残念そうに微笑むとレヴィアサンは優しく頭を撫でた。
「こほん、でも今日は許してあげるわ。これも凡人観察の為だから許容範囲よ」
「そうでしたね!それならばもうすぐお昼なのでご一緒にどうですか?」
ユカリさんの提案にユイさんはまた露骨に嫌な顔をする、するとそれに気付いたユカリさんは人睨みして黙らせました、段々とユイさんの扱いになれきましたね。
「凡人の物を食す、普段ならお断りだけど仕方ないからもてなして貰おうじゃない」
こうしてレヴィアサンも加えた私達は結果を確認するとその三名はユカリさん、ユーゴさん、アスカさんに決定しました。
「ふえぇぇ、また私??戦闘に行く時もクジ引くときもロクな目に遭ってないのに………」
確かこの前興味本位でおみくじ引いて“大凶”引き当ててましたもんね。ユカリさんは運の無い女の子として家族の中でも一目置かれています。
「マジかよー俺もか」
「私は先輩の役に立てるなら何でも頑張ります!!何なりとお申し付けください!」
一人以外はテンションガタ落ちしてるみたいですがそれもその筈、うちには大食らいが存在して食費を吸い取る怪異が存在しますからね。
そのせいでどこかのシェアハウスは火の車になってた時期もありましたね。
「にひひ、お腹ペコペコだし沢山食べてやる☆」
企みの表情、ユカリさんは顔面蒼白に染まりユーゴさんは諦めの表情で頭を抱えているとレヴィアサンからユカリさんにある者を手渡した。
「ほえ?」
それはまさかの地球のお金、しかも万札………を十枚。最初は目を疑いましたが確かに数を数えると十万円でした。
「サクラユカリには沢山学ばせて貰ったから……報酬とは別でね」
照れくさそうに頬を赤らめる、恐らくユカリさんの事気に入ってしまったのかと、大人に大人気ですね。
「こ、こんな大金貰えな―――― 」
「受け取りなさい、じゃないとアンタを殺すわ」
何というツンデレ、ツンの度を超えて殺害宣言するなんてギャップ萌えが凄いです。
「ひぃ!!?分かりました受け取ります!」
ユカリさんは何度もお礼を言って受け取るとレヴィアサンはとても嬉しそうに頷いています。レヴィアサンとユカリさんが二人でルールを丁寧に教わりながら遊び、ユイさんが妬ましく口で“殺す”と呪詛のように呟くぐらい羨ましい限りですが楽しそうでした。
「ユカリちゃん、折角だし皇女様にもご飯を持っていきましょう」
アスカさんは義手を付けてユカリさんを呼び、ユーゴさんを引きずりながらも皆が欲しい物を聞き出すとユイさんは何やらユカリさんと話し込んでいます。聞き耳を立てるとそれはやはりやきもちでした。
「ユカリちゃん、その………他の女と仲良くするのはいいけど……私の事………一番に考えてね?」
「大丈夫だよ、私はずっとゆいゆいの事考えてるから♪」
「ありがとう」
愛の育みというやつですね!羨ましい、私もいつかあんな風にラブラブカップルになりたいです!!
その気になれればの話ですが、うふふ。
「そこの二人〜!いつまでもイチャイチャしないの!!」
二人だけの空間にサナエさんは喝を入れる、ユカリさん達は照れながらも解散して三人で買い出しに行くことになりました。




