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幻影道 第五巻    作者: SAKI
33/72

「覚悟の恋路」その9

☆★☆★ サナエ


「皆〜そろそろご飯にしよー♪」


 私達は海で泳いだり基礎体力向上の為にストレッチ、走ったりとなるべく“腕”に水が掛かりにくい程度に鍛えているとユイが胸をボインボインに揺らしながら呼んでいる、ちょっと赤面してるのは無視してカイトの背中を叩く、馬鹿。


「いてて、ごめんごめん」


 それを見透かされたのかカイトはすぐに謝る、だったらデカチチの凝視しないで私だけ見てくれればいいのに。


「ったく、揺れるものは私にもある癖にユイの方がいいの?」


 私は自慢げに胸を寄せてアピールするもカイトはたははと苦笑した。


「暮らしに馴れすぎて忘れてたけどサナエちゃんも充分美人なんだね」


 なるほど、私みたいな女より新鮮味のあるユイの方が魅力的に見えると??


「わ、私は魅力的じゃないわけ?」


「そういう訳じゃないけど………」


 なんかユカリちゃんがユイの嫁になる話を聞いた後変な間があるのよね、取られたらかって落ち込んでるのかしら??


「わ、私ならアンタの事いっぱい考えてるわよ??」


「そ、そうかい?」 


「え、えぇ!勿論よ!アンタを養ったり勉強させたり??その………アンタが頑張ってる所とか知ってるわよ!?」


 なんか言ってて告白してる雰囲気だと感じて頭と言葉がごちゃごちゃになってしまった。別にカイトの事なんか好きじゃない…………のに。


「あはは、サナエちゃんには迷惑掛けっぱなしだからね。もし僕が必要な時は呼んでよ、サナエちゃんの言葉なら優先的に聞くからさ」


「ふん、そんくらいして貰わないと困るわ」


 もうすぐ昼だしユイの所へ行こうとしたその時、アヤが此方に向かって走って来た。


「サナエちゃん〜写真撮りまし――――― きゃ!?」


 砂浜で走る程徒労でしかないのにわざわざ走って眼の前で滑らせてカイトの所でダイブしやがったわ。私はそれを阻止しようとアヤを抱き寄せた瞬間、私は災難に出遭った。


「ひゃん!?」


 胸が鷲掴みされた、本来ならカイトが押さえるはずが私が合間に入って阻止したから押さえるはずの手が私の背中を掻い潜って私の胸を掴んだ。


「えっ、何でサナエちゃんが助けてるの?」


 人の胸を触りながら言うセリフじゃないわね、まぁ………許してやるけど………それにアヤに変な気持ちを抱かれて欲しくないからなんて言える訳ないじゃない!?まるで私が“好き”だから横取りするなと言ってるようなものじゃない!!


「た、たまたまよ!」


「そんなことある?」


「え、えぇ!そうよ!たまたまよたまたま!」


 やっぱり怪しまれてるじゃない!!考えなさい私!


 どうにかしてカイトに悟られたくなくて誤魔化しの試行錯誤しているとアヤから手を差し伸べられた。


「うふふ♪つい性欲が溢れちゃってカイト君を襲おうかなと思ってたのに止められちゃったわ♪」


 本音か冗談か分からないけどこれは好機ね!


「ま、全くもう!エロいことは私が許さないわよ!過激な行為は控えることね」


「うふふ♪」


 なんか思ってたより変な空気になったけどこれで少しは紛らすことができるかしら??


「ん〜〜??」


 カイトはいぶかしけな表情で此方を窺う、こういう時のあいつはちょっと苦手。私の変化にすぐ気付く奴だから急な路線変更は抗議される場合が多い。


「な、なによ?」


「いや、別に?サナエちゃんって他人には礼儀正しく規律や法を重んじるけど家族にはそういったこと弛緩になるはずだけど………プレアちゃんとかアヤちゃん揉まれたり淫らな行為さえも笊になるのに変だなーって」


「い、いいじゃない!!ここは外よ!?それくらい守らないと人として道を踏み間違えてるのよ!!イイと言ったら良いの!」


 思ってることを看破されたので半ば半分ゴリ押ししてカイトを懐柔した、ごめんなさい。私はユイみたいに“好きだから”と感情的になれないのよ、思い踏み留まる情けない女なのよ。


 自己嫌悪する時、腕が疼く。ユイに治せとかアヤに命に関わるとか看破されても尚、私の病気は治らないのよ。また“切らない”と帰ってからまたあの痛みに救われてしまうのね。

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