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幻影道 第五巻    作者: SAKI
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「火薬と血と」その2

一先ず私達は坑道を抜けると採掘場へと辿り着き、そこは魔石で作られたランプが沢山ありここなら休憩出来ると判断し私を壁にゆっくり降ろしてくれました。


 胸に一本、腹に一本、太腿に一本と激痛で頭がおかしくなりそうになりますが無理に引き抜くと更に傷口が悪化してしまう、どうすれば……


「ご、ごめんなさい………私………」


 手当について考えるとユカリさんは申し訳無さそうに謝った。謝るユカリさんに私は頭を撫でて慰めることにしました。


「大丈夫ですよ、少し肉が抉れたぐらいなのでユカリさんが無事で良かったです」


 私の命よりもユカリさんを取った私は突き飛ばしたことを謝ると気にしないでと微笑んでくれました。


「うぐっ」


 肉に矢じりが刺さっていて腹に力を入れたりすると激痛が伴い吐き気が込み上げてくる、早くしないと大変なことになるかもしれません。


 痛みを押し殺してユカリさんを宥めているとアヤさんは救急箱みたいなものを取り出してそこからやけに大きいトングとメスみたいなものを取り出していて悪寒が走りました。


「あの、何する気で?」


 私は恐る恐る聞くとトンデモナイ発言をアヤさんが光り物を見せながら笑ったことに顔面蒼白しました。


「肉ごと削って抜き取るから耐えてね♪」


 私は言ってる意味が分からず困惑すると急にアヤさんが服を脱がして腹にメスを突き刺し矢じりが取れるぐらいに肉を切り落とし引っこ抜いてきました。


 正直に言うともっと別な方法はなかったのかぐらい痛すぎて涙と唾液が止めどなく流れ痛すぎて失神してお恥ずかしいことに失禁してしまいそうになるところでした。


 こんなに無理矢理肉をブロック状に切り落として引っこ抜く人初めてで危うく骨と臓器が見えるとこだったらしいです。意識を取り戻した時には包帯とユカリさんとアヤさんに手厚いサポートして貰い歩けるようにはなりましたが恐らく武器は使えないでしょう。


☆★☆★


「はぅ………恥ずかしい……」


 女の子たるもの皆の前で漏らすなんて苦痛過ぎるそれ故に私は弱々しく泣いてしまった、地球では確か穴があったら入りたいという言葉があった気がしますが深淵まで辿り着く深さであって欲しいです。


「ふふ、手当中あんなに可愛い声発しながら痛くしないで痛くしないでって言ってたの萌えるわね♪」


 悪意ある笑顔に私はむっと怒る、アヤさんは意地悪な女性です。ですが最後は謝ってくれたので許します、アヤさんは優しいお姉さんです。


「ふふ♪」


 すると先程の事でユカリさんが笑ったので私は太腿にある包丁ケースから刃物を抜いてお腹を指す寸止めする。顔面蒼白のユカリさんに私は笑顔でこう言いました。


「謝るなら刺しませんがどうですか?」


「ひっ、ご、ごめんなさい!!」


 笑われたのが少し癪なのでユカリさんには脅しと暴力で解決出来るので私は武器をケースにしまった。


「あんまりふざけたことすると怒りますのでご了承を」


「はう………ごめんなさい」


 ユカリさんには労って欲しくて苛ついてしまいましたが後日私も謝りましょう、馬鹿にされるとつい殺したくなってしまうんです。


「さ、行きましょう。うぐぅ………」


 腹に力を入れると激痛が伴う、二人は心配してくださり戻ろうと提案もありましたがユイさんからの命令です、逃げる訳にはいきません。


 私は痛みに耐えながらも着実に前進することにしました、道中罠だらけでしたが死ぬ気で回避し中心地点まで無事に辿り着くことが出来ました。

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