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幻影道 第五巻    作者: SAKI
20/72

「サマーキラキララブラブサンシャイン」その1

 結局あの後ずっとキレてたゆいゆいは誰も手がつけられず私が懐柔すると漸く怒りが鎮まった。


「うぅ、そんなに怒らなくてもいいじゃない」

 

 挙げ句レヴィアサンが泣き出してしまった、ポロポロと溢れる涙に私は持ってきたバッグからハンカチを取り出して涙を拭いた。


「あっ、ズルい!!ユカリちゃんは――― 」


「ゆいゆい、少し黙ってて」


 少し腹立つから一度睨み効かせると今度はゆいゆいが落ち込んで泣き出してしまった、面倒臭すぎないこの人。


「うわぁぁぁん、ユカリちゃん嫌いにならないで〜お姉さんはユカリちゃんのこと大好きだよぉぉぉ!!!」


「サクラユカリ、まだ傍にいなさい」


 二人に腕を掴まれ胸に抱きかかえられと八方塞がり状態に陥る。大人二人を懐柔する子供って………


「良かったじゃないですか、巨乳二人に挟まれて」


「ノアちゃん、皮肉言わないで」


 そして少し楽しそうに笑うノアちゃんにボソリと呟く、これが仲良しだったら文句なしなんだけどな。


 このまま皆の元へ行くのは恥ずかしいから一度泣き止むまで二人の相手をする羽目にもなった。しかも誰も助け舟出してくれないし。


☆★☆★


「なるほど、レヴィアサンは地球の海を見にやってきたんだ、そこで色んな遊びが気になって実際に見に来たと」


 宥める合間にレヴィアサンの依頼内容を聞くと単なる人間調査だった、報酬も出るしそれなら断る理由は無いね。レヴィアサンにも休暇の夏を楽しめるように一緒に遊ぶことになった。


「ありがとうサクラユカリ、この頑固女が融通利かなくて助かったわ」


「いいえ、皇女様に暴言罵倒の数々お許しください!」


 百悪いのは私達だ、私は頭を下げようとしたがレヴィアサンに断られた。そして畏まらなくても良い、普段通りで話してと。


「ありがとうございます、えっと……取り敢えずレヴィアサンは私達に同行する形で依頼ということですが具体的にはどうすれば?」


 私は仕事内容について切り出すとレヴィアサンは“仕方ないから”私達に合わせるとのこと、貴族が従うとかどうのこうのとか鼻につく話が多々あるけどゆいゆいは終始イライラするのを宥めていたせいでちっとも頭に入ってこなかった。


「つまりは海で私達を観察したいと言うことですね?」


「ええ、凡人達は何が楽しくて海に来るのか、見せてもらおうじゃない」


 物凄い上から目線!でも貴族だからか報酬がとんでも無い金額に度肝を抜かれた。その金額はなんと家のお店の収益一年分以上。私達のお店は最近右肩上がりの黒字にまで辿り着き、特に美少女美人が売りなだけでなく店の雰囲気や街から少し離れた森の中にあるせいで【ファンタジー世界の喫茶店】と雑誌で紹介されていた。


 そんな私達のお店より数日で億単位を稼ぐレヴィアサンの報酬内容に私達は困惑している。


「もし不満なら行動次第で金額を上乗せするわ、サクラユカリを受けるわよね?」


 な、何故私!?なんかずっとレヴィアサンから声を掛けられてない!?


 私は一瞬あわあわしたけど断る理由は無いから快く引き受けることにした。


「ちっ」


 でもレヴィアサンに服従したと思わせてしまったのかゆいゆいは舌打ちする。きっと嫌われた、ごめんなさいゆいゆい。


 ハプニングはあったけどレヴィアサンの期待に応えられるように遊ぶ気持ちを忘れずその手を引いて合流することにした、けれどもゆいゆいとアスカちゃんからあまり良い顔色はされなかった。

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