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勇者の死霊術  作者: 山本さん
幕間 金色の死神
193/212


 人間とエルフの混血、女、赤目、小さい尖り耳、金の髪色

 テスラ・パタリウスは、ただそれだけでも周りと違った。

 どんなに才能があろうとも、努力をし続けても

 全体主義な社会は、周りと違う彼女を忌避した。

 誰より優れた存在になろうとも、永遠に差別されてきた。


『その片意地さえなければ美しいのに、勿体ない』


 僅かに目尻が下がり、特徴的な深紅の目を見せないような糸目、線の細い身体つき。黄金色の長い髪を束ね、いつも大きな小麦色のマントの内側に入れて隠した容姿でいながら───テスラは、温和な顔に似合わないほど強情だと言われてきた。


 ただ、受け入れられた社会の中で生きたい……。

 彼女はそれ以上を、望んでいたわけではなかったのに―――。


 黄金の竜の導きは、それを許さなかった。





 空に月はなく、分厚い灰色の雲の底が木の枝を掠める。魔物の遠吠えが反響する。

 レコン川沿いの深い森には風も吹かず、鬱蒼とした空気が留まっていた。ひどく、重い空気だった。


「はっ はあ、はあ……」


 テスラは必死に逃げていた。

 ろくに眠る事もままならず三日三晩ふらつきながら走り続け、彼女の体力は限界に達していた。

 草むらをかき分ける音が四方八方から響いてくる。

 彼女は牽制として魔術を放った。それでも、暗闇から迫ってくる足音は止まらない。

 ―――もう既に、遅すぎたのだ。


 ヴォン。まるで深海に入り込んだかのよう重苦しい圧に包まれ、テスラはハッと、急ぎ魔術を唱えるが、その魔術は発動しなかった。

 テスラは、封印術の結界の中に入ってしまったのだ。


「自ら囲いに入り込んでくれたな、大きな金の魚が」

「――――っ」

 影の中から現れたそいつらは、息を切らしたテスラを囲うように現れた。

「例え賢者だろうと、魔術が使えなければただの女。

 抵抗しようなどと考えるなよ」

「あなたたちに屈するつもりはありません! 失せなさい!」

 テスラは十数人の兵士たちから十字槍の矛先を向けられた。それでも膝を着こうとはしなかった。

「はあ……噂には聞いていたが、この状況でも強情な女だな。

 頭を垂れろ、不信心な奴め! 神の御前に跪け!」

「っ!」

 膝を裏から突かれ、テスラは膝をついた。その首に十字槍の刃を当て、頭を下げるよう強要する。それでも頑なに彼女は拒んだ。

 周りを囲む複数の兵士に取り押さえられ、手にガッチリと嵌め込む鉄枷をつけられ、左右を鎖と錠で閉じる。その重い鎖の端を握る―――兵士たちを束ねる一際目立つ鎧の男は、その鎖を乱暴に引っ張って、テスラを前のめりに倒した。

 その男は中肉中背で、白髪混じりの灰色の結い髪と切り揃えられた髭、深い眉間の皺、疲労の貯まった褐色の目は細められ、舌打ちを繰り返す口はひん曲がっている様などは、年よりも老けて見えた。

 

「“オーバル大神教主”はお前が持つ魔術の知識を欲しておられる。

 神徒のお言葉に素直に従うのならば、例え不敬なお前でも許してくださるであろう」

「人から生まれておいて何が神徒ですか!? 都合の良いように解釈しただけの存在に救いなと求めて誰が応えるというの!

 ましてや自分でどうにかしようなどと考えもせず、人以下エルフ以下だって罵られてきたハーフエルフの知識を欲するだなんて!」

「黙らせろ」


 槍の持ち手で四方から受け身も取れず殴られても、テスラは誰に懇願することもなく、奥歯を噛みしめて痛みに耐えていたが、一発、ガツンと脳裏に火花が散る後頭部への打撃をくらうと、テスラの額が地面に着いた。後頭部から頬を撫でるように一筋の血が流れ、地面に伝う。


「頭と顔はやめろ。曲がりなりにも御前に出すものだ。これ以上醜くしてはならん」

「すみません、バイデン様」

「……人を、なんだ と 」

「だが、この女の反抗心には辟易する。

 少しは自分の立場を分からせてやらねばな」


 そういって、そいつは如何にも装飾品のようだった腰の短刀を抜き、テスラの背後に回った。

「ああっ!!!」

 その短刀は、テスラの右の足首に突き立てられ、力尽くで足首の腱を引き千切った。

「お前は歩ける必要がない。立ち上がれずとも良かろう。」

「―――この  人でなし ッ  地獄に 落ちなさい!」

「まだ言うか」

「あああッッ!!  ッッ!」

 左の足首にも同様に刃がめり込み、強引に腱を千切る。

「あなた たち は……神徒なんか じゃない……。

 ただの、悪魔 よ ……」

 こびりついた血をテスラのマントで拭い、そいつは兵士たちに指示した。

「この女に魔術を使われないよう注意しろ。でなければ全員死ぬことになる。猿轡は遊びなく噛ませろ。気絶させて運べ。いいな」





「ラタ! 起きろ!ったく!酒臭ぇな!

 沖合いで船が海竜に襲われたんだ! 助けに行くぞ!!」


 空になった酒瓶に囲まれた家で、飲んべえは干しイカを頬張りながらだるだるしく体を起こした。

 成人男性の2倍近くは大きい体つき、海風に湿った、染めた黒髪をかき上げて適当に束ねて縛る。清潔感のない無精ひげに藍色の目、鼻が高く、顔もデカい。

 その人間の大男は人並みにデカい銛を担いで外に出た。

「何処の船だありゃあ?」

 吹き荒れる雨風、絶え間なく落ちる雷、荒れる波、逆立つ船と船を喰らう海竜……。

「知らん! だが、海竜と魔術みたいな何かで抵抗していた! エルフの連中が此処に来たりしねぇから、きっと神国のお偉いさんだぜ!

 助けてお礼金がっぽがっぽ貰おうぜ!」

「その金で酒を買うかあ……へへへ。

 うし!行くかっ!!」

 ラタたち漁師は荒れた海に向かい、海に沈んでいく船に向かって泳いでいった。



「いい御身分っぽいなあ」

 溺れていた人々を浜辺に連れていき、救護班に渡し、再び海へ出る。その繰り返し。

「はあ!ああ!疲れた! 俺三人でもう無理!」

「だらしねぇなあ!言い出しっぺのくせに! 俺はもう8人目だぜ!」

「た、頼む あんた―――女が」

「女がいるのか?! ぃいいよしっ! そいつは俺が助ける!! 誰も手を出すなよ!!」

 ラタは意気揚々と再び海へ飛び込んだ。


(もしかしてあれか?)


 転覆した船の近く、海竜に襲われて静かに沈んでいく男共を無視した奥に、暗い海の中でも目立つ金色の髪を持つ女が沈んでいた。

 彼女は後ろ手に重い鉄枷を嵌められていて、まるで荷物であるかのように布で包まれ、上から縄で括られていた。

 彼女を地表に上げようと泳いでいくと、ラタに向かって海竜が牙を向けてきた。まるで彼女を渡さない、とでも言いたげだ。


(お前さんも人魚が大好きってわけだ、ははーん)


 ラタは人間にしては強い大男だった。

 普段はイカにマグロにタコ、カニ、サザエの海の幸を取る漁師だが、そんな漁師の船を襲う海竜のライバルでもあった。獲物を狙い合う仲、お互いに相手が強いことを認め合っている。


 水中での激突、歴戦の海竜の牙がラタの腕を掠めては、ラタの巨大な銛が海竜の目を貫く。

 海竜はたまらず海底へと逃げていき、戻ってこなかった。

(よし、このまま人魚ちゃんを……)

 水底で沈んでいる彼女に手が触れた……そのときだった。


 ピカッ!! 水中だというのに激しい閃光がラタの視界を覆った。


 〈聴け!!!〉


「ぼがぼぼぼ!?」

 突如脳を揺さぶる雷の様な轟音に、驚きで口から空気が抜け、急ぎ海上へと浮上しようとしたところ

「あれ?」

 謎の力によって、水中にいるというのに呼吸が出来ていることに気が付いた。

 〈我が名はゴルドー!〉

 脳に直接叩きつけられる、衝撃波の様な声。

 〈我が声を聴け! 貴様の行く末に導きを与えん!〉

 ピカッ!! 再びの雷光に思わず目を瞑る。


 〈汝、この女、金の賢者と共に魔王を討つべし!〉


 目を開けると、暗い海の中で金髪の女が煌々と輝いていた。

「俺、まだ酔ってんのか?」

 いくら見直しても女は光り輝いている。まるでラタが触れるのを待っているかのように。

 恐る恐る、女の身体に手を伸ばし……触れると「ぼがぼぼぼ」突如、水中に引き戻された。すぐさま気を取り直し、急いで女を抱き上げて―――。


「ぷはっ!おい、大丈夫か? 生きてるか?」


 ラタは女を水面に出し、息を確認した。ゲホッ、と大きく咳き込み、飲んだ海水を吐き出すのを見て、ラタは少し安心したが


(……奴らの“奴隷”ってことか)


 女の胸には、まだ血が滲む焼き印が捺されていた。身体中にも人の手の痕がくっきりと残るぐらい酷い痣だらけだ。

「ごめんな、一先ずこのまま浜に連れてくからな」



「おお!よくぞ助け出してくれた!その女さえ生きていれば」

 浜に戻ると、乗組員の一人がそう言って駆けつけてきて、ラタから女を取り上げようとしたが、彼はそれをやんわりと拒んだ。

「この女、血塗れですぜ、旦那。

 海竜に引っ掻かれたせいですかね? 治療してやらなきゃあコロッと死んじまうかもしれねえ」

「…………。」

「うちで少し介抱してやれますぜ。知り合いの薬草師がいるんでね。ピンピンに元気にしてお返ししまっせ。

 こんな時にじゃらじゃらせがんだりしねぇ、これぐらいで?」

 その乗組員はまだ渋い顔をしていたが、ラタの無垢な表情に根負けしたのか

「……分かった、頼もう」

 諦めて、ラタに女の治療を頼んだ。




 女は元から糸目なのか、僅かに目を開いただけだった。

 少し周りを見渡した後、女は急に起き上がろうと腕に力を入れたが

「   」後ろ手で鉄枷が嵌められたまま、そして両肩が外されたままなのに気付き、ぐったりと脱力した。


「悪いが、鍵は預かってなくてな。ただ、しばらくはゆっくり療養していいぜ、俺の人魚ちゃん」

 ラタの声を聴いた瞬間、ビクッ、と震えて女は少しでも逃げようとラタから身を逸らした。そうしながらも、言葉は強気だった。

「放っておいてください……私は誰の手も借りません」

「心配するなって、俺は何もしねぇよ。

 キンキラキンの鎧着てた奴らがどうかは、お察しだが」

「―――奴ら 」

「助かった十数人は別のところで療養中」

「助かった? ……助けたのですか? どうして」

「どうしてって、助けたら金くれるだろ? まあお前から何かをせびる気はないけどな」

「…………。」

 女は再度身動ぎした。だが、体の態勢すら変えられず、重い溜息をついた。

「……一つだけ、頼みがあります」

「なんだなんだ? 俺にできる事なら何でもござれだ」

「うつ伏せにしてください……仰向けだと、上手く動けないのです」

「動くって、なんだ? 運動するにはまだ早いぞ、あばらも折れてんのに」

「這っていきますので、構わないでください」

「馬鹿言えよ。例え一日中這っていったって歩く奴に数分で追い着かれちまう」

「なら、そこにナイフを立てて置いてくれませんか?

 私が勝手にベッドから落ちますから……」

「そら断る」

「なら私を殺してください……。

 奴らに引き渡されるぐらいなら……ここで」

 ラタが首を横に振ると、女は深い溜息を吐き

「……魔術さえ使えれば」と、呟いた。

「魔術? 魔術が使えるのか? 人間なのに?」

 女はラタを睨み付けた。薄く開かれるその目は飛竜の目のように赤く、ラタは少しだけ怯んだ。

 ちょうどそのとき、扉を叩く音が聞こえてくると、女は急いで眠っているふりをした。

「おう、こりゃどうも」

 扉を開くと、渋い顔をした乗組員たちが部屋の中を覗き込むように首を長くして立っていた。

「まだ起きないか」

「そりゃあもうぐーすかぐーすかとなあ、いびきがひどいのなんの」

「…………。」

「それはそうとバイデンさん、あの奴隷ちゃんは誰かさんに売却済みなんで?」

「生憎、あれは商品ではない」

「といいますと?」

「たかが漁師が勘繰ることではない」

 キッ、と、目付き悪くバイデンに睨まれるも、ラタは何食わぬ顔で探りを入れ続ける。

「まあまあ、俺たち皆さんを助けたじゃあありませんか。おまけに介抱まで。世の中は助け合いっすよ」

 そう言われると、キツい顔のバイデンがハの字に眉を曲げて困った表情を浮かべた。

「……、……その女は“賢者”だ。言うなれば魔術の権威だ」

「ほう、権威とな」

「お前のような一般人は知らないだろうが、魔術の発動には、基本的に2つの方法がある。1つは声による発声法。もう一つは術式を描くことで発動する魔法陣。そのどちらにもかなりの量の魔力が必要の為、人間にはほとんど扱えなかった。

 だが、その賢者は三つ目の魔法を生み出した。

 空気中に常に一定量浮遊している魔力の流れを操作することで、声も魔法陣も必要なく指先1つで発動する魔術を」

「……な、なんかとんでも難しい話っすね」

「今現在、その方法で魔術を発動出来るのはあの女だけだと言われている。

 それ故に、あれは貴重なのだ。我々人間がエルフとの戦争に勝つために、あの女の魔術は、魔力が少ない人間にとっての救世主になる」

「そんでもって、救世主の扱いが、あれですか」

 刺のある言葉をわざとらしく言い「おっと、失礼。ちと酔ってまして」酒の空瓶をひらつかせた。

「……ともかく、その女を逃がすなよ。隷属化の封印術によって魔術を封じているが、相手は賢者だ。封印が解ければ、この漁村諸共俺たちを殺しかねないからな」

 そう告げて、バイデンは立ち去っていった


「よくも平然と嘘を並べられるわね……何が救世主よ。アイツらに何かくれてやるぐらいなら死んでやるわ……」

「お前が賢者だって言ってたが……」

 ラタが海の中で聞いた轟音と同じ、賢者だと。

「そうだった……だけど、もう……そんな肩書きなんかないも同然です。

 もう魔術が使えません……立ち上がれもしない。

 自分で死ぬこともままならない……」

 バイデンが去ってからというもの、女の声は震えていた。ラタはしばらく黙った後、カーテンを締めて、なんだか怪しげな壺を持って女にずけずけと近付いた。

「何、何よ、何なの……余計なことしないでください……」

「お前さん、何も食ってねぇだろ。俺の自慢の漬けイカを食わせてやるぜ」

「漬け、イカ? イカ? なんで?」

「腹減ってるから悲観的になるんだ。俺だって酒が飲めなくなっちまったら死にたくなる」

「一緒にしないでください」

「ほら、酒と醤油で味漬けた、永遠に出汁と酒が滲んだ柔らかいイカだ……ほれほれ、旨みが滴り落ちてるぜぇ」

「結構です。何も食べたくありません……何も」

 しかし、ぐぅ……と静かにお腹が鳴るので、ラタは笑みを浮かべて、女の目の前でイカを頬張ってみせた。

「毒なんて入ってねぇよ。くぅー、酒が欲しい……酒飲みたかったら一杯だけくれてやる」

「食べません飲みませんやめてください」

「ほぉ~れぇ~よぉ~そろぉ~イカでぇ~す~ぞぉ~」

「――――」

「ったく!強情な女め、くらえ!」

「むぐっ」

 ラタが執拗に女の口にイカを押しつけるので、女は遂に諦めて口を開き、イカを咀嚼した。

「…………。」

「どうだ? 美味いだろ? これだけは美味いってよく言われるんだ」

 女はしばらく何も言わなかったが「ん?美味すぎたか?」急に鼻を啜り、泣き出した。その涙を見られたくない、と拭いたいようだったが、手が動かないので首を捻って顔を背けた。

「もう一個食うか? 酒飲むか?」

「……結構です」

「なんでい、一個で腹いっばいなのか?」

「これ以上……優しくしないで」

「あんだって?」

「たえられなくなる」

「ちゃんと食わねぇと体力回復しねぇぞ?」

「もう黙っててよ何もしてくれないくせに……助けてくれるわけでもないくせに……無責任な事言わないでください」

「かーっ!いちいちうるさい女だなあ!助かりたいのなら助けてくれって言えばいいだろ! そっちこそ言わないくせに助けてくれるのを待っているなんて性格悪いぜ!「はあ?」

 いいか!?俺はなあ!

 抱いてくれ!って言われたいんだ! 守ってくれって言われたい!

 助けてって泣きつかれたい!

 それにこう自信満々に応える! おうよ!やってやンよ! と!

 分かるか!?「分かりません」 お前が俺に言うべきなのは『どーせ助けてくれないんでしょ?』じゃない!『いいのよ、もう全部諦めたもの』じゃあない!『もう疲れた、死にたいの』じゃあねぇんだよ!」

 ラタはそういって、残っていた最後の酒瓶の余りを飲み干した。


「俺に縋り付け。

 助けてやる」


 女はしばらく放心状態だったが、正気に戻り

「冗談じゃありません。酔っ払いの道楽の如き不貞、不埒な言葉に誰が縋り付くとお思いですか。

 あなたみたいな粗暴な人間と―――いえ、例え相手がエルフだろうとも、私は誰のものにもなりません。失せなさい」

「う、おぅ、おうぅ……なんつぅ強情な女だ……しかも俺の家で、俺に出て行けとは」

「……すみません、それは言い過ぎました。私が出て行きます」

「しかし……そうだなあ、そうだよなあ……うんうん」

 明らかに酩酊している赤らんだ顔と、酒臭い呼吸をしながら、ラタはじーっと女を覗き込んだ。

「……何ですか 気持ち悪いです」

 女の言葉は常に強気だった。だが、目元は赤く、体は布団の下で微かに震えている。そして、彼女が熱を出している事もラタは分かっていた。

「俺はラタ。この町の漁師だ。

 お前さんの名前を教えてくれよ」

 女はしばらく、なんで教えなければならないの?と視線で抵抗していたが、ラタもめげずに見返していると、彼女は抵抗を諦めた。

「テスラ・パタリウス……」

「そうか、よし。オーケーだ。うし。

 待ってな、テッちゃん 氷嚢を持ってきてやる」

「……、……テッちゃん? まさか、私のこと?」


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