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クゼルバイク国史 リルフィナ騎士姫伝  作者: アル・ソンフォ
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プロローグ

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 クゼルバイク王国、その国土の中央には南北160ファルジート(約53㎞)、東西750ファルジート(250㎞)に及ぶアッシェンド内海と呼ばれるヴァストーク大陸最大の湖がある。

 アッシェンド内海は、大陸のほぼ中央に位置し、オアシスが点在する東のタフール砂漠を通じて東の大国ナイカ帝国に、この国の名前の由来であり内海唯一の流出河川であるクゼル河によって南の大洋の玄関といえるコルニ王国の港湾都市ライラムと経由し海路で南の大国クレイア帝国へと通じる主要な大陸交易路の中継路であり、内海の南西、クゼル河の源に位置する王都パールバートにはアッシェンド内海沿岸の産物である鉄や銅、石炭などの鉱物、穀物、岩塩、ワインやエールのみならず、ナイカの絹や磁器、クレイアの香辛料やガラス製品、タフールの宝石、コルニの真珠など様々な交易品が集まっている。

 大陸歴七〇〇年という節目を迎えたこの年、交易による繁栄を謳歌するクゼルバイク王国を統べるのはジェンドル・ヴァス・ハウフクレツ、ハウフクレツ家の国王として六代目にあたり、七年前にはアッシェンド内海の支配権を長年争ってきたパルジェニア王国を併合、歴史上はじめてアッシェンド内海沿岸一帯の統一支配を確立させた王である。

 ジェンドル王にはエシュリナ第一王妃との間に昨年成人し王太子に正式に冊立されたヒューメル王子と一歳年下のリルフィナ王女がおり、ナスリーン第二王妃との間にも六歳となるサフィル王子がいる。

 アッシェンド内海沿岸の統一を為したジェンドル王は、その偉業に驕ることなく内海沿岸の港や沿岸各地の街道の整備よる交易の安定化、殖産興業など内政を中心とした堅実な統治と行い、王太子であるヒューメル王子も文武に優秀な才能を有しており、品行にも全く問題はない。国内に目を向けても、三年前に発生した旧パルジェニア王族による内乱が速やかに鎮圧され、それに並行して潜在的脅威が一掃されたことにより安定した状態であり、また、周辺諸国とも交易を通じ互いに利益を得る互恵的な関係にある。

 豊かで安定し強大な国力を有するクゼルバイク王国の繁栄、それはハウフクレツ家のもと末永く続く。誰もがそれは当然であり、疑うことのない確約された事実であると誰もが思っている。

 だが、ある日王宮に持ち込まれたものが、ある者の眠らせていた願望を呼び覚ました。それまで順風との言える人生を歩んできたその人物の心に中に持つべきでなかった野望が生まれたことが、王国の繁栄を揺るがすことになる。その瞬間は誰一人自覚することなく訪れようとしていた。

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