目指せマ剣道 その1
「人の過去を知っている運営さんがいるとは・・・」
「誰かは、詮索しないでもらえると助かります」
懲罰天使さんは、どうやら俺の事を知っているらしい。斉藤一に憧れて、色々と馬鹿をやった中学時代の古傷が痛い。
あと一文字、いがあれば、新撰組になれたのにと、わけのわからない事を言っていた古傷が、うずく。
忘れていた、あの頃の情熱が、、物凄く熱を持って、蘇ったら危険だ。あれは、封印すべき出来事。この天使ごと、抹殺する必要もあるかもしれない。
「あの、微妙にこちらに敵意を向けるのは、止めてもらえます?」
「何の事かな?」
「えっと、脳波測定で、溢れている何かを感知しているのですが?」
「今の技術は、凄いねぇ・・・」
あふれ出そうな、何かを抑えてみる。
「お互い、この事は詮索無しと行きましょう」
「そうだな、そうしよう」
「試練の達成、おめでとうございます」
「あれで、試練と呼べるのか?」
相手の動きは遅いし、連携も微妙だった。
「いきなり、あれだけ動ければ、凄いです。さすがは、プロと言うべきでしょうか?」
「それも、知っているわけか・・・」
「あうっ」
「まぁ、その辺は聞かなかった事にしておく」
「あ、ありがとうございます」
「これで、ゲームの本編に行っていいのかな?」
「そうですね、折角なので、注意事項を説明します」
「注意事項?」
「他のゲームと違って、気をつける部分です」
「時間経過関係?」
「はい。この新世界は、ゲームの中の時間が現実の時間と違った流れになっています」
「これだけは、世界初だったよね?」
「似たような物は、ありましたが公式に安全と認定されたのは、本作が初めてです」
「3年間、事故は無かったのかな?」
「初期の頃にあります。その問題改善もかねて、接続時間に厳しい制限があります」
「連続4時間までだったかな?」
「はい。ゲームの中では8時間になります」
「それを経過すると?」
「強制的にログアウトになります。戦闘中でも、P×P戦の途中でも、強制ログアウトになります」
「その場合、勝負はどうなる?」
「ログアウトしたほうの負けになります。ゲーム内で、6時間経過すると、警告が出ます。それ以後は、細かく警告されますが、これは設定で消す事ができます」
「6時間の時に、止めるべきだと?」
「それを推奨しています」
「再ログインまでの間隔は?」
「1時間です」
「ゲームの中では2時間か・・・」
「この問題に対処すべく、ゲーム内では色々と対応しています」
「たとえば?」
「ダンジョン等へは、ギルドから転送で移動時間を短縮できます。ダンジョン内部も、こまめに休憩地点があり、安全にログアウトできるようになっています」
「それだと、ユーザーに不満が出るのでは?」
「その辺は、我々の腕の見せ所だと思っています。厳しい意見もありますが、何とかやっています」
「1日の上限あるのか?」
「4時間後に1時間空ければ、上限はありません。ただ、ログインの時に脳波チェックをするので、そこで疲労がありますと、ログインは出来ません。推奨は1日の上限は12時間までに抑えてもらえるとありがたいです」
「それは、仕方ないだろう。色々とありがとう。、とりあえず、いったんログアウトして、新世界に挑戦するよ」
「わかりました。新世界を楽しんでください」
「もちろん」
俺がそう返事すると、天使さんは消えてしまう。中身が誰なのか、何となくわかったけど追求はしない事にしたので、気にしないことにする。それほど、親しかった相手ではない。
丁度いいので、最後に獲得した称号を確認する。
裏試練の達成者 チュートリアルの裏の試練の達成者。情報を隠匿可能になる。
これ、結構大事な称号だよね?
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