精霊の宴 完
そして、精霊王との勝負が始まった。
といっても、その前に色々とありました。劇場版の先行上映が、ダイジェスト形式でありました。
荷物持ち事件、裏の事情を知らない人もいたみたいでその因縁の試合と言う事を知り、会場は盛り上がりました。
もっとも、荷物持ち事件は、プレイヤーのミスが原因です。多少、意地悪な仕掛けではありますが、気づかなかった方の責任は大きいです。
「では、はじめようか」
精霊王が、部隊の上に上がります。その横には、綺麗なお姉さんがいます。
「我が子たちを託せるか、今一度見極めましょう」
その女性は、精霊王女でした。
「融合、精霊神!」
その掛け声と共に、二人は一体化した。外見は、精霊王だけど、オーラみたいな物を纏っています。
「武装、星の太刀!」
こちらも、精霊武装を展開します。会場は盛り上がり、大声援が沸き懲ります。
「主、落ち着いてください」
「これは、慣れてないから、ちょっと緊張するね」
「では、私がサポートします」
「頼む」
ティアの意思が、形となって現れます。目に見える景色に、アドバイスが加わります。
「助かる!」
目の墨に、ティアの姿が見えます。SD風の、可愛い姿をしています。それを見ることで、心が落ち着きました。普段から、その姿を見て、会話して生活した効果です。パートナーとして、頼れる存在となっています。
「全速、全開!」
小細工は、しますよ。正面から挑んでも、勝てる気配がありません。
速攻でで接近して、上段から斬りつけます。
「無駄である!」
それを、手甲で受け止め、反対の手で正拳突きを放たれました。ギリギリ、回避はできました。
「格闘家でしたか・・・」
無手の相手は、このゲームの中にあまりいません。経験不足なので、少し焦りました。
「この世界の情報は、精霊を通じて集めておる。格闘系は少ないので、やりづらかろう」
「獲物持っているこちらが、有利だと思いませんか?」
「我は、そなたより5段は言えと心得よ!」
確か、素手で刀と戦うには、それくらいの段位差が必要と言う言葉が会った気がする。
「首狩り!」
そう言いながら、鋭い蹴りが襲い掛かってきます。曲線を描き、それが微妙に変化します。危険信号を、ティアから受けたので、後ろに下がらず、前に突っ込みます。
「娘に救われたな」
「助かっていますよ」
「お主にとって、娘は道具か?」
「道具ですよ」
俺がそう返事をすると、精霊神は、怒りの表情になる。
「せいっや!」
距離を取ろうとした俺に接近して、鋭い突き、蹴り、蹴りと、連続攻撃をする。
「怒ると、判断が低下しますよ!」
突きは交し、蹴りは刀で受け流す。
「ティア!」
「主」
相手が素早いので、こちらも余分な鎧を排除します。これは、打ち合わせていたので、一瞬で軽装になります。背後のバックパックと、両肩のバーニアが外れます。
「結界、展開!」
「任されました」
精霊神の周辺に、細かい結界ができます。
「道具ですが、仲間でもあるし、家族でもある」
結界は、そこに触れると速度が増す仕掛けがしてあります。
「見切られますかな!」
結界に触れるたびに、速度が増します。周辺を回るように、上から切りかかったり、横からなぎったり、攻撃を連続で仕掛けます。
「なるほど、よい絆だ!」
それを、手甲で受け流し、精霊神は嬉しそうだ。この一連の攻撃は、俺1人では成立できない。ティアのサポートがあって初めて出来きる攻撃です。お互いが、出来ることを理解していないと、ここまでの攻撃は出来ません。そのために、時間をかけて練習しました。
「な、なんだこれは?」
精霊神が、驚きの声を上げます。
「分身?」
高速で動く俺の体が、分裂します。実際は、そうではありません。光魔法を使い、虚像を残しています。
それが分身のように見え、敵を惑わします。
「質量のある、ぶ・・・」
危なかったです。危険な台詞を言われる前に、こちらの突きが、正面から精霊神の喉に突き刺さりました。
「見事なり!」
突き抜けた刀を抜いて、精霊神が称えてくれました。まだ、平気そうなのですが、これで終わりみたいです。
ただ、自分で気には納得できません。本来なら、フル武装の状態で、高速戦闘をするのが理想でした。
ただ、今の俺たちでは、フル武装でのこれは出来ないので、余分な部分を排除したのです。理想の完成までの道のりは、まだ長いです。
色々と、課題はありましたが、精霊の宴はこれで終了。
この様子は、映画にはなりませんでしたが、公式動画の再生はかなりの数になったそうです。
精霊の力を借りて、戦う姿が公式動画では詳しく説明されていました。
精霊武装を手に入れた人は、基本的にその制御に力を入れていました。精霊と心を通わすという最初の気持ち、少し焦っていたみたいです。
動画を見て、反省した人たちは、新しい力を手に入れています。妖精との共存を拒んで、独自の道を行く人もいます。
動画や、評価を見て、新しく参戦する新人もいれば、潮時だといって去っていく人もいる。
そんな中、映画などで有名になってしまい、俺の周りは騒がしい。
ギルドに人が増え、毎日楽しく遊んでいる。その傍ら、動画を作り、話題を提供する。たまにGMから依頼されてミニイベントのような物や、公式イベントに参加している。
「さて、今回の仕上げはドラゴンか・・・」
目の前には、巨大なドラゴン。迷宮の地下に封印された名もなき神今回は、ソロでの戦闘。
「主、1人じゃない」
俺の気持ちを読み取って、ティアが文句を言う。
「そうだな、なら一緒に頑張ろう」
「おー!」
そして、ドラゴンとの死闘が始まるのだった。
次が最終話となります。
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