精霊の宴 その4
そして、決勝戦が始まった。
同じギルド同士の対決は、お互いが精霊武装を展開して始まった。
「武装!星の太刀」
「武装!五稜郭」
カイの精霊武装の名前は五稜郭。城という属性なので、今ひとつ対応が難しい。防壁を作り出したり、隠し銃座を展開したりと、トラップ系の技を使う。
罠は面倒だけど、こちらには力ずくで何とかできる大技がある。
「でぃすいず、まじかるわーるど!」
先に動いたのはカイです。今まで見たことのない行動です。
「城?」
カイの呪文と共に、お城が2つ出現しました。意外な事に、洋風の城です。
「変形、攻撃です!」
次の瞬間、城は変形して人型のゴーレムになりました。全長3メートルほどの、巨大なゴーレムが2つが動き出す。
「意外と、素早い?」
攻撃を交しながら、距離をとります。巨大なゴーレムなので、動きが遅いと思ったのですが、意外と素早く動きます。
「ティア」
「主に力を」
こういう相手は、躊躇わずにサテライトバスターで吹き飛ばしたほうが良い。長期戦は不利になる。
「させない!」
ゴーレムに意識が集中していたので、カイへの対応が甘くなっていたみたいです。
サテライトの充填ポイントを狙われ、背後から攻撃を受けました。
「しまった!」
サテライトバスター様の砲塔が、片方切り取られてしまいました。片方でも使えますが、バランスが悪くなります。少し、考えた事があるので、ここは引きます。
「強制排除!」
背後のバックパックを強制的に外します。ダメージが多いように偽装して、斬られた方は爆発させます。
「一番警戒するのは、強力な火力。シュガーさん、今日こそは勝たせてもらいます!」
そう言いながら、カイは切りかかってきます。道場での模擬戦は、俺の方が勝ち星を重ねています。
「バックパックを、失ったぐらいで俺に勝てると思うなよ!」
カイの剣戟を、凌ぎます。見る能力の上昇は、冷静に剣筋を対処できる事に繋がりました。
「今です!」
カイの剣を弾いたタイミングで、ゴーレムが大砲を発射します。
「それは、予想できました!」
ティアにお願いして、ゴーレムの監視と解析は行っていました。遠距離攻撃の可能性もあったので、警戒していました。
跳んできた大砲を、魔力シールドで防ぎます。
「そこ!」
その瞬間を狙い、カイが攻撃してきます。狙い俺ではなく、魔力シールドの発生元でした。
「しまった・・・」
狙いは見事に成功して、根元から発生装置が飛ばされます。
「これで、防御力は大幅に低下しました、今です!」
ゴーレムからの砲撃が激しくなります。
「ティア、弾道の予測補助頼む」
「了解」
自分の目と精霊の目、二つの目が砲撃を集中して見ます。
「誘われていますね」
「そう思うか?」
「あの子、訓練の裏でしっかりと主への対策を練っていたのですね」
「教えた事、忠実に守ってるからな」
一緒に訓練しながら、戦い方を色々と考えた物です。特に対人戦は、初見殺しが重要です。ここまで、ゴーレムを温存していたのは見事です。
「それでは、こちらも取って置きを披露しましょう」
一端刀を鞘に納めます。
「これなら、どうです?」
取り出したのは魔導銃の新型です。今までのよりも大型で、威力があります。
「シューット!」
一撃で、ゴーレムのお腹に穴があきました。
「無駄です!」
お腹に穴があいても、ゴーレムは消えません。移動するのを止めましたが、砲撃は可能で、どうやらそれに専念するみたいです。
「全弾発射、一斉射撃!」
カイの命令で、物凄い量の砲弾が向かってきます。
「最大出力で、迎え撃つ!」
鎧の目が光ります。猫の口から、大量の炎が噴射されます。火を噴く猫の鎧の本領発揮です。
「この瞬間を、待っていました」
「それは、こちらも同じ事!」
こちらが、迎撃のために足を止めた瞬間、背後からカイが切りかかってきます。これは予想済だったので、魔導銃で迎撃します。
「流石ですが、甘いです」
こちらの攻撃は、紙一重で回避されました。最大出力だったので、魔導銃のエネルギーが切れました。威力はありますが、弾数が少ないのが欠点です。
「ここまで読まれていたとは・・・」
「色々と、研究しましたから」
エネルギー切れになった魔導銃を投げます。
「その手も、無駄です!」
投げた銃の引き金を狙って、ナイフを投げます。引鉄にナイフがあたり、残っていたエネルギーが照射されます。隙を突く、最後の手段でした。
「私の勝ちです!」
勝利を確信したカイが、大降りの攻撃を仕掛けてきます。
「その油断が、命取りでしたね・・・」
その攻撃が、俺に当たる事はありません。カイが、魔導銃の攻撃を避ける事は、予測できていました。
カイの背後から、サテライトバスターが襲いかかり、直撃しました。
「何で・・・?」
一撃で、カイのライフは0になりました。とても不思議そうな顔。
魔導銃の一撃は、カイに交されましたが、最初に排除したサテライトバスターにエネルギーを充填すると言う役目を果たしていました。これ、遠隔操作で作動できるのです。
後は、カイを射線上に誘導するだけですが、中々手こずりました。
見ていた人も、何が起きたか理解できていません。俺が負けると思っていたのでしょう。会場は静まり返っています。
「勝者、シュガー!」
アナウンスが流れると、会場が沸きあがりました。リプレイ動画が軽く流れ、最後の出来事を理解したみたいです。
本当は、あと二つほど仕掛けがあったけど、使わなくてよかったです。
沸きあがる会場の中心で、こちらもじっと見ている瞳があります。
さて、次は精霊王との試合です。あの時の借りを、返すとしましょう。
後2話ほどで、この物語は終る予定です。
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