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現実世界でこんにちは

「やっぱり、アメリカは遠いなぁ・・・」

「なまじ。VRで色々といけるから、実際の旅はゆっくりとと言うのが、今の流行ですよ」

「なるほど」

 現在、大絶海の世界大会のため、アメリカへと移動中です。

 現地集合だけど、マネージャーである空さんと、蘇る伝説のメンバーが一緒に行動している。

「現地まで1日以上かかるとは・・・」

「空港から、遠い場所が海上ですからね」

「はぁ・・・」

「何か不満?」

「そんな事は、無いよ」

「むぅ」

 隣に座っているのは、結構可愛い女子だった。その横にいる人の視線が怖い。今回、空さんの妹の海さんが同行している。個人で、観戦ツアーという名目で同行している。彼女も、プロを目指しているみたいで、チームから誘いも受けているらしい。

「新世界で遊ばないのが、辛いんだろ?」

 隣に座っているメカニックが、からかうように話しかけてくる。現実だと、この人物凄く好青年なので、色々と頼みづらい。今回、お願いがあるので、時間を見て話さないと駄目だ。

「辛いと言うか、ちょっと、もったいない気がして・・・」

 そろそろ、闘技大会になる。準備は万全とは言えないけど、手ごたえはある。もっと、やりたいことがあるのに、ここに来て1週間時間があいてしまうのは辛い。

「そう言えば、うちの妹にいかがわしい格好をさせたらしいな?」

「チャイナ服だよ、大丈夫、問題ない。データ欲しい?」

「データはもらうが、あまり変な事をさせるなよ」

「もらうんだ・・・」

 空さんは、結構なシスコンだった。メカニックとは、高校からの同級生と聞く。

「一君、君のデータパッドの容量に空きはあるかい?」

「個人のですか?それともチームの?」

「出来れば、個人の」

「基本ソフトしか入れていないので、空きは充分です」

「あるところから頼まれた物があるんだ。渡しても良いかな?」

「あるところ?」

「脳研から」

「何で、そんな所から?」

「あれの権は、このメンバー知っているのかな?」

 メカニックは、空さんに確認を取る。

「一応、海も出演要請が来ていた」

「はい。映画の事ですよね?」

「それなら、良いかな。それに関係して、時間調整や、確認があるから、管理ツールを渡して欲しいと頼まれたんだ」

「それなら、直接渡してくれれば良いのでは?」

「僕は、これでも脳研の研究に参加しているからね。正社員じゃないけど」

「そんな人が、ゲームに参加してもいいのですか?」

「だから、色々と禁則事項あるし、役割もあるんだよ。結構、そんな人いるよ」

「そうだったんだ・・・」

 この事は、海さんも知らなかったみたいだ。

「アメリカ行きの話をしたら、その時に渡して欲しいと頼まれたんだ」

「ゲームの中では駄目だったんですか?」

 データパッドを渡しながら、確認する。

「機密事項の塊だからね。一君のデータパッド、一度スキャンしても良いかな?」

「その辺は、専門家に任せます」

「信頼してもらえて、嬉しいよ」

 このご時勢、どこにウイルスがあって、知らない間に感染しているかわからない。定期的にチェックはしているけど、大事なデータをやり取りする前に、専門家にチェックしてもう事は当たり前の事だった。

「異常は無いね。容量大きいから、空きスペースほとんど使うけど、良いかな?」

「そんなに容量使うのですか、それT単位でかなりの空きありますよね?」

「実験ツールだからね、色々と無駄があるみたいなんだ」

「まぁ、よろしくお願いします」

「頼まれた」

 そう言って、メカニックは作業に没頭する。

「一さんは、今回も大将ですか?」

 カイは、現実だと俺の事を一さんと呼ぶことにしたらしい。VRで知り合うと、大抵向こうの名前が定着してしまう。メカニックが良い例だ。彼の本名を、俺は知らない。だから、俺はカイの事を海さんと呼ぶことにした。

「どうなんだろう?」

 全開、最後だけ先鋒をやった。大会に出るなた、本音だと試合に出たい。

「今のところ、現状維持と聞いています」

 マネージャーである空さんが言うなら、その通りなのだろう。ちょっと残念だ。

「君がそんな反応するなんて、珍しいね?」

「そうですか?」

「今までだと、そこまでこれにのめり込んでなかったよね?」

「そういわれると、そうかもしれませんね。ただ、今回は頑張ってと応援されたので・・・」

「今までは、無かったの?」

「今までも、応援はあったよ。今回は、ちょっと違うかな」

「ゲームの中の存在に、特別な感情を抱くのは不衛生だよ」

 ちょっときつめに、海さんが言う。

「特別と言うか、妹みたいな存在が出来たのが嬉しいから、ちょっと頑張りたいだけだよ」

「妹なの?」

「守りたいと言うか、応援されたいと言うか、そんな感じかな」

「恋人にしたいとかじゃなくて?」

「そっち方面は、しばらく要らない。男が好きとかじゃないからな」

「そ、そんな事はおもっていませんにょ」

「とにかく、前よりは頑張ろうかと思ったんだよ。セッティングとか、メカニックに教えてもらうとも思っていたし」

 今までは、その辺に工夫をしていなかった。出来る事を優先して、手が回らなかったと言うのは、言い訳だ。もし、何もしない事で、よるのときみたいな別れが起きたら、後悔してもし切れない。

「だったら、丁度良い」

 作業が終わったメカニックが、データパッドを渡してくる。

「丁度良い?」

「起動してみ」

「ん?」

 言われるままに、パッドを立ち上げる。

「え?」

 画面から、立体映像が飛び出す。この技術は、確立されていて今では普通の技術だ。

「超AI搭載の、サポートツールですよ。あちらの世界から、こんにちはです、主」

 デフォルメされ、更に小さくなったティアが、そこにはいたのだった。



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