火を噴く猫の鎧 その3
「何故ここに?」
「これが仕事だからだよ」
迷宮の管理人は、今までと同じ人だった。つまりは、精霊の王様。
「どの迷宮に行くんだ?」
今まで同じ態度なので、裏があるのかと疑ってしまう。
「安心しろ、ここでは何もしない」
「他の場所で、何か仕掛けてくるのですか?」
「それは、まぁ、色々とあると思ってくれれば良い」
「わかりました」
話しても、教えてくれないだろう。時間を無駄にしたくないので、行き先を告げる。
「一年迷宮郡?」
「俺たちがそう呼んでいるだけ。睦月に行きたい」
「了解」
精霊の王は、普段どおりに仕事して、俺たちは迷宮へと移動した。
睦月から始まる12の迷宮。季節ごとの魔物が徘徊していると聞く。
難易度は、中程度で、ソロで何人も制覇している迷宮だ。
「敵が、変わった?」
情報だと、ここにいるのは雪兎シリーズがメインで、雪だるま将軍がボスと言う事だった。
目の前には、白い人型のゴーレムがいる。
「強さは、それほどでもないか・・・」
ゴーレムは、良く見れば核の場所がわかる。それを狙って、破壊すれば一撃で倒せる。
ただ、その場合魔石のランクが落ちる。核を攻撃せずに、他の場所を破壊すれば、魔石のランクは上がるけど、手間がかかる。
目標は最下層なので、ゴーレムは最短で倒していく。
「主、後ろ」
「任せた」
精霊武装状態だと、ティアは一体化しているので念話が出来る。ダイレクトに情報が伝わるので、後方の警戒を頼んだら、前と後ろが同時に見える不思議な感覚になった。
なれないと危険なので、視野を分割して、後ろ方面はティアに任せ、何かあったら教えてもらっている。
「星の力を試してもいいかな?」
「勿論、これは主のもの」
「使い方は?」
「まずは、星を感じるの」
「この迷宮で?」
「出来ない?」
「やってみる」
夜空に輝く星を、イメージしてみる。迷宮は、地下にあると思う。転送装置で移動しているので、正確には不明だけど、塔は上に、迷宮は下に進む。
思い返せば、星をじっくり見たのはいつの事だろうか?
プラネタリウムで、凄くきれいな景色を見た事はある。VR宇宙旅行で、擬似宇宙空間を旅した事もある。
大絶海は、宇宙世戦うゲームだけど、星をじっくり意識した事は無い。
それなのに、何故、ティアの事を星と思ったのか?
それは直感だった。
「身近にありすぎて、外に意識を伸ばすのは無意味?」
すぐ側の、ティアを意識することで、星のエネルギーみたいな物を感じた。
「大正解。精霊を感じれば、それは力になる」
「そうだな、これなら夜明けが来ても、俺には見える!」
自分の中の星。それを通じて、外に広がる宇宙の星を感じた。気のせいかもしれない。それでも、ここに星はある。
「精霊力の充填完了」
「精霊力?」
「魔力の、精霊版だと思えばいいよ。この、鎧、精霊力で能力を開放するみたい」
「メカニック、どこでこんな技術を得たんだろうな・・・」
「主、考えるのは後。敵が来た」
「了解」
鎧の機能は、まだ完全ではない。お試しとして、火炎放射が出来るらしい。
「猫の炎!」
にゃ~~~~~~!
少し、気の抜けるような可愛らしい鳴き声と共に、鎧の猫の口から、炎が噴出す。
「ぎゃぁぁぁぁ」
その直撃を受け、白いゴーレムは溶けていく。
「威力は結構あるな・・・」
「まだ、敵が来るよ」
「なら、燃やし続けるだけだ!」
そのままの状態を維持して、次々と敵を溶かしていく。どうやら、白いゴーレムは雪の人形らしく、次々と消えていく。
「なるほど」
炎を出しながら、精霊力の消費量を確認する。徐々に減ってはいるけど、ティアから次々と補充されている。
「力を、貸して」
ティアが願うと、空の星々からもエネルギーが集まってくる。
「これは、あれだな」
天から一筋の光がやって来る。
「主に、力を・・・」
「任せろ!」
その光を、猫の額で受け止める。
「丁度良い、これを使わせてもらう」
背中に背負っていた大筒を構える。これに爆発魔法を使う予定だったけど、普通に武器として使おう。
「サテライト・ランチャー!」
通路を埋め尽くす光。
純粋なエネルギーの塊が、敵を飲み込みながら通過する。壁に直撃して、そこから爆発が起こる。
「凄い威力だな・・・」
その衝撃は、フロア全体にいきわたり、敵に大ダメージを与えた。
「威力の代価は、これか」
その一撃で、大筒は壊れてしまった。
>新しい称号を得ました
何かを、踏んでしまったらしい。
・炎の男 空からの力を受け取った証。サテライト攻撃が可能になる。
・女神の歌 星を感じた証。時間に関係なく星の力を得られる。
微妙な名前の称号だった。炎の男って、関連が気づきにくいけど、一連のやり取りを思い出すと、彼の事だろう。
昔のアニメに関して、称号の影響があるからと色々と見ているけど、狙っていると難しい気がする。
何気なく直感で行動したほうが、手に入るのかもしれない。
ティの協力もあり、迷宮の攻略は短時間で終了した。
6個の迷宮を攻略した時に、おまけで魔石が追加でもらえた。
これで切り上げるのは、もったいない気がするるけど、先にメカニックと合流しよう。
魔石を渡せば、この鎧はは強化される。
その後で、残りの迷宮に挑戦しよう。
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