火を噴く猫の鎧 その1
コスプレショップ猫の穴。
怪しい店名だけど、ここにしか精霊武装の強化できる人は、現在いないらしい。
仕方ないので、店内に入ると意外と人がいた。
「いらっしゃいませ」
チャイナ服を着た店員が、挨拶をしてくれる。何となく、どこかで見た感じがする店員だった。
結構可愛いけど、どこで見たのか思い出せない。
「あっ!」
その人は、俺の事を見て、驚いた顔をしてから、さりげなくその場から離れていく。
「主、そう言うの好き?」
「なんで?」
「目がいやらしい・・・」
「そんな事ないと思うぞ。知り合いに似た人がいたいがして・・・」
「ん?カイがいたけど、他にも知り合いいた?」
「え?」
そう言えば、いつもの凛々しい雰囲気ではなく、どこかぽわぽわした感じだけど、そう言われてみれば、カイだ。
「なんで、認識阻害の支援効果のある服の効果を見抜くのかな・・・」
恨めしそうな声を出しながら、カイが戻ってくる。
話を聞けば、ここはカイのお兄さんの知り合いの店らしい。時々、アルバイトをしているとの事。
「店長、腕は凄いですよ。新撰組の隊士服、あのレベルで再現できたのは店長だけです」
あの服は、この店の店長の作品だった。認識阻害に関しては、知り合いとばれないための処置らしい。
店長は、毎日コスプレでの接客をノルマとしていて、恥ずかしいのでつけた条件らしい。ただ、見抜いた場倍は効果が消える仕様だった。
「何で、そんな仕組みなんだ?」
「それは、精霊の存在を確認するためだよ」
奥から、1人の青年がやって来る。
「メカニック?」
その人物を、俺は知っている。俺の所属している蘇る伝説の、メカ狂いのメカニック。
現実の姿と、ほとんど変わっていアバターなので、すぐにわかった。爽やかな、やさしいお兄さん的な人だけど、メカものが大好きで、ロボット系のゲームで主に活躍している。
新世界にいるのは、正直意外だった。
「シュガーは、久しぶり」
「新世界やっていたのですね」
「あれ、空から聞いてない?」
「特には、話は聞いていません」
「例の企画、僕も協力する事になったから。僕はβテストから参加してるよ」
「メカニックは、機械系しかやってないと思っていたんだ」
「そっちも大好きだよ。でも、実はコスプレも大好きでね、今まで新作の参加する機会が無く、丁度開始するタイミングにもぐりこめたから、始めたんだ」
「なるほど・・・」
この人のこだわり、凄いからな。大絶海では、お世話になった事もある。機械の設定、ある程度完成しているから、直す必要がないとも言える。
「それなりに、ここも有名になったと思っていたんだけど?」
「俺の場合は、今まで余裕が無かったから。色々と巻き込まれて落ち着いたので、街を探索中です」
「ギルドの紹介かな?」
「はい」
「認識阻害を、見破ったなら合格。他にも、色々と隠しているものこの店にはあって、本当はそれを見つけるのが試練なんだけどね」
「なるほど。知り合いを探すなんて、普通じゃないですよね」
「その通り」
「あれの事?」
ティアが、店の隅を指差す。そこには、何もない。
「何もないよ?」
「主、良く見る」
「見る?」
それを意識して、空間を見る。それでも、何も見えない。
「メカニック、ここで精霊武装使っても大丈夫?」
「一応、試着室がある。そこでお願い」
カイに案内されて、試着室へ移動。
「店長と知り合いですか?」
「同じプロチームに所属しているからね」
「えっ?」
その言葉に、カイが驚く。そこで、俺は気づいた。
「もしかして、空さんの妹?」
確か、妹がいると言っていた気がする。
「はい・・・」
空さんからは特に妹の事は聞いていないので、深く追求はしない。
「武装、星の太刀!」
鎧武者へと変化する。外に出ると、中に他人達からの視線が凄い。
「このデザインは、シュガーさんがしたのですか?」
「これは、何もしていないよ」
「なるほど、色々ともったいないですよ!」
カイの、何かのスイッチが入った気がする。
「微妙に誤魔化していますけど、これ絶対あれをイメージしていますよね?」
「やっぱり、そう思うか?」
「知っているのですか?」
「調べた」
鎧武者になった後、色々と調べた事がある。過去のアニメすきなスタッフがいて、色々と遊んでいると言う話もある。
大体、キーワードが危険だ。ほむらの時は、赤い鎧。ティアになってからが、白い鎧。
「これ、私も出来るかな?」
「なりたいの?」
「精霊武装は、興味ありますよ。今のところ、精霊と契約できた人が増えたみたいですし」
「そうなのか?」
「私も、そろそろ挑戦するつもりです」
「鎧武者みたいなのは、他にもいるのか?」
「シュガーさんだけみたいですよ。特殊な変身は、称号でなれる特殊な職業が必要みたいです」
「カイは持っているのか?」
「残念ながら、聖なる闘士というのがあるらしいですけど、店長が既に取得して他の人はなれません」
恨みが200%以上こもった感じで、メカニックを睨む。
「なるほど、確かに箱があるな・・・」
先ほどは何もなかった空間に、謎の箱がある。星座の刻んである謎の箱。
「隠さないと危険だな」
「趣味で作ったものだけどね。堂々と飾ると、問題になりそうだから、隠してあるんだ」
「精霊と、同調していないと見れないんだな」
「そう言うこと。もっと話し合わないと、色々なこと見落とすよ」
「肝に銘じておく」
鎧武者にならなくても、見る方法はあるのだろう。精霊にできること、もっと話し合う必要がある。
俺は、まだまだ、まだまだ、未熟なようだ。
「さて、これは色々といじり甲斐のある面白い仕事がやって来たようだね」
メカニックの目が、妖しく光る。表現でなく、実際光っているから恐ろしい。
「それって、魔法か?」
「スキルが発動する時に、そう言う設定にしたんだ。面白いだろ?」
そして、もう一度光る。何のスキルなのか不明だけど、変な所に拘る。
「それでは、商談を始めよう」
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