前日
「武装、ほむら!」
「はい」
道場で、最後の調整をする。
新しく、精霊鎧武者という職業へと進化した。
キーワードを叫ぶと、鎧武者と言う特殊状態へ変身する。
この状態は、攻撃力と防御力が大幅に上昇する。
変身時間は、レベルが上がると延長され、精霊鎧武者になった事で、制限が無くなった。
レベルも無くなり、侍に関係した武具なら、どれでも装備できるようになった。
こういう状態の職業は、他にも色々とあるらしい。
こうなると、大事になるのはプレイヤーの腕となる。
「さて、死に神の刃、どこまで耐えられるかしら?」
目の前にいるのは、最強と呼ばれるプレイヤーの1人黒姫。配下としている、ドラゴンも3匹揃っている。
巨大な鎌を持ち、金色の鎧を身に纏っている。黒姫と言う名前の通り、普段は黒系の装備だけど、決戦と言うか、派手好きなので、ここ一番のときは、金色装備になる。つまり、本気だと言う事。
3匹のドラゴンは、小型の分類される。それでも、虎よりは大きい。
「ほむら、力を貸してくれ!」
「もちろん」
ほむらは、訓練の結果色々と力を貸してくれる。
「火炎斬!」
わざと言うか、剣に炎を纏い、斬りつける。
「どらちゃん」
「GYaaa]
ドラゴンは、それをひらりと回避する。見かけは重鈍だけど、動きは速い。
「まだまだ!」
炎の影にもぐりこむ。俺を見ていたドラゴンは、視界から一瞬俺を見失う。
「それを見逃す、私じゃないのよね」
楽しそうに、黒姫が鎌を振る。空間が引き裂かれるような、鋭い斬激が、襲い掛かる。
「相変わらず、良く見てる」
「そう言う貴方は、周りを見るようになったのね」
「そのおかげで、色々と気づけたよ、こん畜生!」
「あらあら、言葉使いが悪いわよ!」
お互い、動きを良く見て、濃い劇をかわし、弾き、凌ぐ。
「今だ!」
「無駄よ」
魔導銃を取り出し、後ろにいたドラゴンを撃とうとしたが、銃を弾かれてしまった。
「返してもらおうかな」
「返すかよ!」
黒姫の手元に落ちそうな銃を、ギリギリのところで蹴り上げる。
「あら、残念」
「本当に、残念だ」
上空の銃に向かい、ナイフを投げる。
「中々、考えたわね」
「たまたま、読んだ本にあったんだよ」
空中の銃の引き金に、ナイフが当たる。
飛び出した銃弾は、後ろにいたドラゴンに命中する。
「GYaaaaa!]
「どら君の、仇!」
「そう言う、キャラじゃないだろうが!」
「たまには、いいじゃない」
鎌を振り上げ、黒姫は切りかかってくる。
「フェイスフラッシュ!」
今が、好機だった。魔法を発動。
「な、ちょっとそれ反則!」
顔から、光が溢れる。目くらましの直撃を、黒姫は受ける。幻惑の効果もあり、顔の配置が狂い、相手の虚を作る。
「招雷超音突き!」
必殺技が炸裂する。黒姫はかわせずに、直撃を受けて、勝負は決まった。
「まだまだか・・・」
「そうね、70点はあげられないかな?」
試合が終わり、反省会を始める。
「一ちゃんは、真剣になりすぎです」
「シュガーだ」
「駄目?」
「マナーは守れ」
「仕方ない。久しぶりに、2人っきりなのに!」
「そう言う関係は、止めるってお前から言ったんだよな?」
「そうね。そうだった。私が悪い」
一時期、恋人関係だったけど、家庭の事情と、お互いの進路と就職で、揉めた結果別れた。
それでも、友達としてなんだかんだと連絡を取っている。
「だいたい、このゲームは私がいるのに、なんで来たの?」
「新しいスポンサー関係だよ」
現時点の事情を説明する。
「シルバーファングともめたのは?}
「それは、完全に偶然だ。逆に、お前の関与を疑っている」
「見た瞬間は、驚いたよ」
「あの瞬間で、判断した事に、俺は驚いた」
「上手く行きそう?」
「俺としては、黒が失敗していた事に驚きだ」
「あの頃は、色々あったのよ。むしゃくしゃしていて、正直普通じゃなかった」
「今思えば、逆にこれの精で黒がおかしくなっていたと疑うよ」
「あの子のおかげで、落ち着けたの。女の子の可愛さに、目覚めたし」
ちょっと、恐ろしい笑顔で笑う。
「期待してるのよ」
「何かあると思うか?」
「無いと思うほうがおかしい。ちなみに、GMの1人に兄がいる」
「それ、言っても大丈夫な事か?」
「伝えてくれって。減点分、もう少し、魅せるプレイを考えろって・・・」
「余裕がないと、出来ない事だな」
「余裕を持っていいと思うよ」
「重圧が凄い。咎人掲示板をみたら、それが増した」
「大丈夫?」
「それを確認するために、黒を呼んだ」
「なるほど」
「何とか、なりそうだ」
「なら良かった」
黒に関しては、色々と秘密がある。トラブルに巻き込まれた過去は、思い出すだけで血を吐きそうになる。
それでも、こうしてたまに話をしたいと思ってします。ある意味、精霊に使われているプログラムの減点がここにあるのかもしれない。
直接話した事で、あの恐ろしい記憶と今の状況を比較できる。うん、こっちの方がまだいい。
重圧は、少し減った気がする。
「頑張って」
「ありがとう」
素直に応援してくれる黒の髪を、思わず撫でてしまった。
その感触は、なぜか精霊たちと同じ感じがするのだった。
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