みんなの希望 その4
「すみません、動画の撮影を許可してもらえませんか?」
俺が行動を起こす前に、D-3が撮影の許可を求めてきた。
俺は、それに頷く。
「感謝します」
証拠は多いほうがいい。言葉だけでは、伝わらない事がある。
俺達の行動を、事情を知らないカイは不思議そうに見ている。
余りにも、単純な事だった。この手の、物語にありがちな出来事。
思い返せば、ヒントはあったと思う。
異世界に行ったら、その常識を学ばなければいけない。
最初から、色々と調べていたはずだった。図書館や、ギルドの資料室は、調べつくされていた。
隠し部屋を見つけて、隠された文献を発見した者もいる。
それでも、みんな見落とした。
白旗が白旗の意味でなく、それがきっかけで話がこじれ、戦いになり、その結果世界が崩壊した物語もあると聞く。
「ほむら」
ん?
いつもと違い、声に妙な緊張が混ざる。それを、感じたのか、ほむらが不思議そうな顔をする。
「指輪出して」
「はい」
それを、受け取る。思い返せば、よるも腕輪を渡しただけ。確認をしていなかった。
「駄目すぎるだろう・・・」
自分自身が、愚か過ぎて笑えない。装備はしっかりする。それは基本で、小さい子の確認をするのは保護者の務め。
「お父さんが心配するわけだ・・・」
基本的な事をしていない、旅人に、子供を任せることなんて出来ない。
そんなメッセージだったのかもしれない。
「手を出して」
「はい」
ほむらは、左手を差し出した。
その小さな手を握る。
と、ここに来て、大事な事に気づく。どの指に嵌めればいいな?
下手な事をしたら、とんでもない噂が広がりそうだ。
「・・・」
「・・・」
俺が悩んでいると、ほむらは不安な顔になる。
「大丈夫、ずっと一緒だ」
そう言いながら、人差し指に指輪を嵌めようとした。
「にへへへへ」
だけど、寸前で違う指に指輪が嵌る。
「ここじゃないと、だめですよ」
「ぐぬぬぬ」
どうやら、なにものかから指導を受けていたみたいだ。薬指に、小さな指輪が光っている。
「管理人から、預かった物だから、こっちにしなさい」
それを外して、中指に嵌めなおす。
「時が来たてら、自分で準備したものをちゃんと手順を踏んで渡すから」
「・・・はい」
今後どうなるかは解らない。でも、あの指輪は借り物だから。特別な物ではない。
>精霊と仮契約が成立しました。
>新しい称号を取得しました。
システムメッセージが流れる。称号を確認すると、今後必要と思われる事柄が増えていた。
その事を説明する。
「実行はいつですか?」
「少し、時間をください。いきなり本番は難しいです。確認と、調整をします」
「そうですね、これで失敗したら、困ります」
「失敗するつもりはありません」
「ですが、あの運営です。一筋縄ではいかないでしょう」
「勿論です、考えられる事、色々とあります」
「我々も、協力します」
「お願いします」
もう失敗は出来ない。
カイにも、出来るだけ説明して色々と考えてもらう。
「先輩、よるちゃんが戻ってきたら、二股で修羅場ですか?」
にやりと、意地の悪い笑顔で恐ろしい事を言う。
「それに関しては、多分大丈夫かと・・・」
二股をすると言う意味ではない。元々、付き合うとか言う話じゃない。
それでも、大丈夫な気がする。
「現実世界の3日後に、挑みます」
「解った。我々は、強力を惜しまない。何かあれば、連絡してくれ」
準備は出来る。後は、行くだけ。
新しい称号を確認して、覚悟を決めるのだった。
精霊契約者 仮 三分の一 精霊と契約した証。まだ未完成
精霊鎧武者 仮 鎧武者が、精霊の力でパワーアップした証
精霊に求婚した男 >ようじょにぷろぽーずしたおとこ< 認められたければ、現実世界の3日後、迷宮に来い。それまで、娘との別れを済ませて置くように。 by 精霊の王
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