チュートリアル その2
気合を入れて、刀を振り下ろす。
刀術のおかげか、それなりの動きをするけど、違和感がある。微妙に動かされている感じがして、嫌な感じだ。
”もう一度挑戦しますか?”
一撃で、一角兎は消えてしまった。チュートリアルなので、簡単になっているのだろう。
「他の敵は出てこないのか?」
”次の魔物は違う魔物です”
「なら、次に進む」
”了解しました。この魔物を倒してください。相手は攻撃してきます。ダメージは無いので、落ちついて対処してください”
次に出てきたのは、狼だった。と言っても、一見だと犬に見える。初見でこれを狼と見抜ける人たちは大した物だと思う。
狼は、こちらに襲い掛かってくる、試しに、攻撃に当たってみても、痛みを感じない。
「やっぱり、動きぬくい・・・」
いっそ、スキルの効果を止めてみるのも良いかも知れない、確か、ONとOFFは設定できたはずだ。
刀術のスキルをOFFにして、足関係もOFFにする。
その結果、足関係は意味が無かった。すり足に関しては細かい部分で再現できない。動かし方を工夫すれば、擬似的に再現できたので、折角なのでONにしてスキルレベルを上げることにする。
刀術は、使わないほうが自由に動かせる。スキルを一つ無駄にしたけど、無くても問題ない。攻撃力の上昇とかの補正はない。刀術スキルが上がれば、色々な技を覚えるだけだ。最終的には、斬激を跳ばす業とかあった気がする。それは無くてもかまわない。上位の刀術になれば、NINJA,SAMURAIムービーナビの理不尽な攻撃もあるけど、無くてもいい。自分の思うままに動かせたほうがやりやすい。
「小手、面っと」
今までやって来た要領で、狼の前足を切りつけて頭を勝ち割る。何とかなる物だ。
”次の相手に移りますか?”
狼は、色々試したので20匹ほど倒している。
「頼む」
”この魔物を倒してください。攻撃は痛みを伴います。注意してください”
ファンタジーの定番、ゴブリンの出番だ。
人の姿の魔物と戦うと言うのは、結構勇気がいる。実際、リアルすぎるゲームの弊害はこの部分にあると思う。新世界では、この手の魔物と戦わなくても良い救済処置が取られている。生産職や、サポートメンバー専門の職業があり、魔物と戦わなくてもゲームを楽しめる。
もっとも、俺は戦うためにこのゲームを遊ぶわけだから、今更ゴブリンごときで怯みはしない。シューティングゲームだと、ゾンビ相手に撃ちまくるゲームなどやりこんだ事もある。
「まずは、これからっ!」
これを、いずれ極める。
そう思いを込め、突きを放つ。チュートリアルで、動きが鈍い敵なのか、こちらの攻撃に対して反応も無く、俺の突きはゴブリンの首に突き刺さる。
手には、何となく嫌な感触を感じた。こういう部分は、リアルに創ってあるのか、俺の思い込みなのか、不思議な気がする。
魔物と戦うのは、ここまで見たいで、後はスキルに関しての補足説明だった。
結界魔法に関しては、街にいる魔法使いギルドに行って、細かい事を聞く必要があるらしい。
今の時点では、壁と言う結界を作れるだけだった。大きさは、イメージで決まり、予め設定も出来る。強度も同じ。大きさと強度で、込める魔力が変化する。この辺は、予想通りだった。
違反行為に関しての説明も、色々と聞かされた。
細かい事は、冒険ギルドに資料があるとの事。常識のある行動をしていれば、問題ないらしい。
”試練を受けますか?”
チュートリアルの最後に、そんな質問が出てきた。
これは事前情報がある。戦闘系のプレイヤーで、ある程度戦えそうなプレイヤーに出てくるイベントらしい。
だから、返事は決まっている。
「断る!」
「何でよっ!!」
俺が断ると、怒鳴り込んでくる存在がいる。それは、先程の懲罰委員会の天使だった。
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