みんなの希望 その3
「どしたの?」
「何でもない・・・」
知らない間に、流れていた涙を拭う。
「精霊の国に戻るのか?」
「そうだよ。お父さんが、しんぱいだから、みとめないとだめなんだって」
「みとめる?」
「いぶ・・ん?えっと、なんかあって、だめなんだって」
「駄目なのか?」
「たくさんの、おねえちゃんが、むこうでまってるの」
「・・・」
「だから、ほむらもがんばる」
「そっか」
誇らしげに、ほむらは言う。彼女達にも、色々とあるのだろう。
「シュガーさん、このこと掲示板に書いてもいいでしょうか?」
D-3が聞いてくる。
「情報屋として、販売しないのですか?」
「出来ません。これ以上、精霊関係で金儲けは出来ません」
「でしたら、お任せいます」
「任された」
そう言って、端末を操作する。
「ただいま戻りました」
このタイミングで、カイが戻って来た。
「何かありました?」
「丁度いい、可愛い服がありました。この子借りてもいいですか?」
「ほむら、ちょっと行って、着替えておいで」
「はい」
可愛い服と聞いて、ほむらが嬉しそうになる。小さくても女の子、おしゃれに興味あるみたいだ。
ほむらは、カイについていく。
「今のは?」
「ギルドメンバー候補かな?シルバーファングのメンバーで、何か納得行かないと言って、家出中です」
「オリオンの事かな?」
「処分が甘いと言っていました」
「あいつの事、知っている俺たちからすると、なんとも言えない・・・」
「何か、事情があったのですか?」
「あいつも、精霊関係で色々と追及している一人で、最初から諦めていないメンバーだ」
「それが、なんで24時間・・・」
「そう、24時間チケットは、精霊関係の救済処置かもしれないという仮説は前からあったんだ」
「運営は、基本的に一度決めた事を変更しない。強すぎるユニークスキルや、変な称号を、後になって調整する事は、一度も無い」
「それなのに、チートアイテムを初心者に配布する。何か裏があると、思ったのだろう」
「自分と、荷物持ち、2枚のチケットを求めてたよ、彼は」
「咎人レベル2なのですか?」
「いや、3だ。信用できる誰かに、託すと言っていた」
「猫使いの人かな?」
「あいつは、自分の試練の保険に必要だったはずだ。上手く行けば、自分も手に入れると言う所だろう」
「結局、24時間チケットは、精霊関係のイベントはとは無関係と立証されただけだ」
「中止ですからね」
「俺たちからすれば、それだけでも凄い情報になる。あいつには、感謝している」
「24時間チケットめぐって、PKが動き出す直前ですからね」
「今まで、無かったのか?」
「恐ろしい人物が1人、押さえに回っていたからね」
「首狩り姫が、初心者の影から守っているんだよ」
「暗殺者より、暗殺が上手な魔物使いって、冗談みたいだよね」
首狩り姫とは、黒姫の二つ名である。巨大な鎌を持ち、影から首を狩る。
魔物使いで、ドラゴンを使役しているのに、神出鬼没で、PK達の天敵扱いだった。
「シュガーさん、恐ろしい事とは言わないでください」
「そうです。あの人、俺たちよりも色々と情報を持っていて、どこに耳があるのかわかりません」
「多分、大丈夫ですよ。この屋敷の中はチェックして、仕掛けてあった魔法人は全部撤去しました」
「仕掛けてあったんだ・・・」
「当然でしょう」
「えっと、シュガーさんは黒姫さんとは知り合いなのですか?」
「リアルで、それなりに。細かい事は怖いので言えない」
「大丈夫です、私達も怖いので聞きません」
微妙な空気が、部屋の中に漂う。
「見てください、この子可愛すぎますよ!!」
そんな中、カイがやって来た。テンションがが物凄く高い。
「みる」
その後ろから、可愛く着飾ったほむらがやって来る。
「お姫様みたいだね」
てれてれ
ほめ言葉が出なかったので、変な事を言ったかも知れない。それでも、ほむらは嬉しそうに笑う。
「精霊のドレスと言うのを売っていたので、着せてみました」
「結構な値段じゃなかったのか?」
見るからに、高級そうな服だった。一見シンプルだけど、細かい部分に拘りを感じる。ほむらに合わせた、真っ赤な服だけど、派手な印象は受けない。可愛くまとまっている。
「あの変な仮面が高く売れたので、大丈夫です」
「そうか・・・」
まだ沢山あるから、金策が必要になったら売ってもいいかもしれない。
「それにしても、このゲーム大丈夫ですか?」
「何か、問題あったのか?」
「この子の着替えです。服を渡しても、すぐに収納して、着てくれないのです」
「え?」
「仕方ないから、受け取って、私が着せたけど、その、リアルな部分の再限度が・・・」
カイが、何か言っている。
でも、俺の耳には届いていない。
この子は、今何を言った?
3人を見ると、同じように気づいたみたいだ。
気がつけば、本当に単純な事。
もう失敗はしない。
だから、行動しよう。
迷う事は無いから。
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