孤児院にて
「ようこそ旅人さん」
そこには、修羅がいた。ニコニコと、笑顔だけど、背中に鬼を背負った、修羅がいる。
「寄付をしたい」
孤児院の入り口には、先日はなしたシスターがいた。
「この事を、誰から聞きました?」
「猫神様の使いから聞いた」
「そうですか・・・」
そう言うと、若干圧が下がった。
「寄付の金額は、一口1G殻で最大1億Gまで可能です」
「この金額に、意味はあるのか?」
「旅人の、器を計っています」
「金で?」
「そうですよ。人間の本性が、色々と出てますから・・・」
シスターは、黒い笑顔を浮かべる。
「と、とりあえず金額は1億G寄付しよう」
俺がそう言うと、周りの空気が変わる。物凄いプレッシャーを、このシスターが発している。
「承りましょう」
俺は、システムを操作して、1億Gを支払う。大金も、システムを通じれば簡単にやり取りできるので便利だった。
「多大な寄付を、孤児院にありがとうございます」
感謝の言葉だけど、感謝している雰囲気は無い。
「莫大な寄付をいただきました。貴方は、この孤児院に何を望みます?」
「どういうことだ?」
「大金を寄付してくれたお礼に、こちらが何かお返しを少しだけしますと言う話です」
「例えば?」
「孤児をくれと言う、恐ろしい事を言った人が30人いました」
「そいつらは、どうなったんだ?」
「見えませんか?」
シスターの視線を追うと、そこには小さな林がある。何気なく、木の数を数えると30本の木が生えていた。
「・・・」
旅人を、木に変えるなんて、そんな恐ろしい事は出来ないだろう。
「まぁ、ほとんどの方が、孤児たちが元気に過ごせるように使って欲しいと言われました」
「少数の意見は?」
「美味しい物を食べされてあげてとか、ふかふかの布団で眠らせてとかもありますね」
シスターと話すことで、出来るだけ情報が欲しい。
「荷物持ちは、あの子達なんだよな?」
遊んでいる孤児たちを見ながら聞いてみる。
「全てが、と言うわけではありません。神からの試練と聞いているので・・・」
「孤児院の中を見る事は出来るのか?」
「・・・何故?」
「もしかして、何か無いものがあるのかなと思っただけだ。自分の目で見て、確認したい」
「そう言うことでしたら、どうぞ」
シスターにに案内され、個人の中を歩く。
ひび割れた壁とか、割れた窓、壊れそうな机と言うものはなかった。
「ん?」
その途中、1人の子供がこちらに近づいてきた。
「お姉ちゃんの匂いがする」
そう言って、抱きついてくる。
「・・・」
俺は、何も言えない。
「お姉ちゃん・・・」
「ほむら、お客様が困っています。離れなさい」
「はい・・・」
この子は、お姉ちゃんと呼ぶ存在がどうなったのか、理解しているのだろうか?
「ほむらと言うのかな?」
「はい」
「君も、荷物持ちをやるのか?」
「はい」
良く見ると、よるに似ている気がする。精霊は、みんな似ている気もするので、俺の思い込みがそう見せているかもしれない。それでも、色々と思い出してしまう。
「この子も、生贄にするつもりですか?」
小さくも、怒りのこもった声がする。
「俺は、それを望んでいません。ただ、このままでは終れないだけです」
再び、孤児院の中を歩く。てとてとと、ほむらと呼ばれた子が、後ろをついてくる。
「ここは?」
「図書室があった場所です」
「今は無いのか?」
「必要がなくなったので、撤去されました」
「必要がない?」
「子供たちは、元気に遊びまわっています。その結果です」
「勉強は?」
「子供たちが嫌うので、あまり積極的に行っていません。ただ、旅人の願いが、元気に遊ぶことと言うのが多すぎて、方針は変えられないのです」
「勉強、嫌い・・・」
ほむらが、後ろで呟く。
よるの事を思い出すと、会話が少なかった気がする。もしかして、勉強嫌いで孤児院の子供たちの、学力が低下している可能性がある。
「勉強に関して、投資すると言うことでいいですか?」
「子供たちに嫌われますよ」
「かまいません」
「むーーーー」
すぐ側に来て、ほむらがこちらを睨んでくる。
「沢山、喋る事が出来たかもしれないからな・・・」
頭を撫でながら呟く。ここで、孤児院をうらんでも仕方ない。道場に姿を現すことがあった。
だったら、その時、色々と聞けばよかった。
後悔しか浮かばない。出来た事は、確かに色々とあった。ありすぎた。
でも、それをやらなかったのは自分自身。
「お姉ちゃんの事、話したいから、勉強してくれ」
次に、荷物持ちを選んだとき、この子がやって来るだろう。だから、お願いする。
こくこく
俺の態度から、何かを感じたのかうなずいてくれた。
「解りました、学習室の設置と、図書館の少しだけ復活を実行します」
「少しだけなのか?」
「寄付金が、足りません」
「いくらあれば、完成する?」
「2億Gは必要ですね」
「所持金を、見れるのか?」
「何のことでしょうかな?」
現在の所持金、2億G。細かい数字を覗くとそうなる。黒姫に委託している資産運用は、手持ちにカウントされていないみたいだ。
「確かに、承りました」
システムを操作して、2億Gを支払う。色々なルートがあると思うけど、これも一つの道だと信じたい。
>新しい称号を取得しました
孤児院の偽善者 孤児院に多額の寄付をした者への称号 孤児院の子供からに高感度増加(大)
孤児院の悪魔 孤児たちに勉強を示唆したものへの称号 孤児院の子供からの高感度減少(小)
闇に触れた者 闇に触れた証
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