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強欲

 もう少しで孤児院と言う場所に、不信人物がいた。

 一見普通の行商品。いかにも、ゲームに出てくる商人という風貌の男がいる。

「そこの咎人さん、少しいいかな?」

 俺が近づくと、そう声をかけてくる。

「何故、俺が咎人だとわかるんだ?」

「私の名が、強欲の商人。私の特技で咎人が解るのです」

「それで、その商人が何の用ですか?」

「貴方が持っている、腕輪を売ってもらえませんか?」

「腕輪?」

「持っていますよね?」

 持っていると言うか、装備したままだった。よるのいた場所に残っていた腕輪は、回収してある。

 装備していた腕輪は、咎人の腕輪と名前赤割っていた。よるの腕輪は、生贄の腕輪になっていた。

「私に売って貰えるなら、セットで1億G払いましょう」

「1億Gですか?」

「即金ですよ」

「そんな金額で買い取って、利益でるのか?」

「おかしな事を聞きますね、勿論でますよ。そうでなければ、商人失格です」

 ここに、不信人物がいて腕輪の買取を求めると言う事は、一連のイベントの一つなのだろう。

 何か、意味があるはずだし、失敗は出来ない。

「参考に、どうやって利益を出すのか、教えてもらえますか?」

「聞いても、あなた方には加工できませんよ?」

「何かの、材料ですか?」

「お気づきかもしれませんが、私は悪魔です」

「・・・」

「気づいて、いませんでした?」

「怪しい人物だとは思っていましたが、悪魔だとは流石に・・・」

「まぁ、私が悪魔だと言う事は、禁則事項なので他の人に言っても無駄ですよ」

「解りました、その事には触れないようにします。とにかく、何の素材になるのですか?」

「空間収納の鞄の原料ですね。1つ3億Gで販売できます」

「そんな商品あったか?」

「悪魔の世界で、大人気ですよ」

 にやりと、商品が笑う。

「一時期、大量に入荷できて、大もうけできたのですよ。笑いが止まりませんでした」

 と言う事は、プレイヤーがこれを売ったというのか?

 正直、信じられない。

「ちなみに、貴方はこれから孤児院へ寄付に行くのですよね?」

「あぁ」

「寄付金額は最大1億Gまでです。最大の寄付をしたいと思いませんか?」

 孤児院が潤えば、荷物持ちになる子達は、幸せに暮らせるかもしれない。

「悪魔が、孤児院の事情を知っているのか?」

「商人は、色々と知っていますよ」

「・・・」

「もっと安くてもいいのですが、利益を削って、旅人さんへ貢献しております」

 悪魔が言うと、どこかに罠がある気がする。こいつは、自分から悪魔といっている。

 これは、何かあると思わないと駄目だろう。

「色々と事情を知っているなら、一つ聞いてもいいかな?」

「私は、精霊で無いので一つだけとは言いませんよ」

「寄付すると、どうなるんだ?」

「あや?しないおつもりで?」

「勿論、寄付はする。猫神様からのお告げもあったから」

「まぁ、問題ないので教えましょう。寄付をすると、咎人の称号が変化しますね」

「どのように?」

「高感度減(大)が、高感度(小)に変化しますよ」

「小になるだけでも、大きいか・・・」

 ここに来るまでの、住人からの視線は厳しい。居心地野悪さというものを、ゲームの中で感じるとは思わなかった。

 1億G寄付する事で、それが緩和されるなら、ここで腕輪をお金に変えるというのもありだろう。

 ただ、上限が1億Gなら、それくらいの所持金はある。この場合、オリオンに感謝したいぐらいだ。

「金額は、関係ないのかな?」

 悪魔の言う、上手い話と言うのは信じては駄目。

 悪魔に、2億Gの利益が出るとしても、疑う必要がある。

「おやおや、そこに気づきますか・・・」

「もっと、悪い事に気づいたよ」

 寄付の金額に関係なく、称号は変化するのだろう。1億Gもらって、1Gしか寄付しない。

 そんな旅人も、いたかもしれない。もしかすると、序盤の金策として、広まっているのかもしれない。

「ちなみに、称号ある?」

「私と同じ、強欲と言う称号があります」

「言っても良いのか?」

「こちらは、禁則事項に触れません」

「運営の罠か・・・」

 序盤で、大金の入るイベント。そう言う風に捕らえる人は多いだろう。荷物持ちに関しても、そう言うものと割り切って行動すれば、後から手に入る大金のために生贄にする人はいるはずだ。

 情報が広まれば、行動する人間は多いだろう。 

 称号情報に関しては、データベースに名前と所持人数の検索が出来る。

 強欲で検索すると、30万人もの所持者がいる。現在有効プレイ人数は100万人と言われている新世界。3割が運営の罠にかかったと言える。

「強欲の+の意味は?」

「交換した回数です」

「+3が最高なのか?」

「そのようです」

 交換できるのは、3回まで。荷物持ちのイベントは、3回がリミットと考えるべきだろう。

 これは、大きな情報だ。

「さて、どうしますかな?」

「悪いけど、これは売れない。あいつに関したものを、手放すと言う選択肢は無い」

「それは、残念です」

「そう?」

 なぜか、強欲の悪魔は嬉しそうだった。

「悪魔の商売は、まだまだありますから」

 そう言って、目も前から消える。出来れば、関わりあいたくないけど、今度もどこかで出会う気がする。

 そんな、悪魔だった。

もしよろしければ、ブックマークや評価をしてもらえると嬉しいです。

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