咎人
たかがゲームと人は言う。
されどゲームと人は言う。
「はぁ・・・」
ゲームの出来事なんだけど、喪失感が半端じゃない。
あの後、気がついたらログアウトしていた。VRゲームになって、新しい現実を体験した結果、色々な問題が発生している。
ゲームのキャラクターに依存しすぎて、現実に戻れなくなった人もいる。
それらの対策は、色々とやっているみたいだった。
そのニュースを見るたびに、ゲームの話だから、割り切れよと思っていた。
「人の事は言えないじゃないか、これだと・・・」
今の気持ちを、他に人には話せない。だけど、このまま終らせるつもりは無い。
新しいスポンサー確保と言う理由で、始めたゲームだ、ここままやめるというわけにはいかない。
俺は、多分どこかで何かを間違えた。
その間違いが、よるを失う結果になった。
それを突き止めないと、何のために、よるがいなくなったのかわからない。
それは、こじ付けで、本当は違うとどこかで叫びたい。
でも、何かをしないと、この衝動を抑えきれない。
「俺は、何をすべきだったのかな?」
ここで考えていても仕方ない。かなり躊躇したけど、新世界へとログインする。
前回、どこでログアウトしたのか覚えていなかった。
どうやら、緊急ログアウトしたみたいなので、ログイン場所はホームではなく、街の転送広場だった。
「・・・」
ログインすると、微妙に雰囲気が違う。
気のせいと思いたいけど、微妙に空気が悪い。
住人から向けられる視線が、どこと無く冷たい。
「何故?」
よるを、救えなかったからだろうか?
その事を、住人は知っているのだろうか?
わからない事が多すぎる。
山羊の館に戻ると、そこには誰もいなかった。カイからの伝言があり、部活の遠征のため、1週間ほどログインできないらしい。
情けない姿を見られる心配が減り、ほっとしてしまう。
「猫達は、かわらずか・・・」
貢物に変化は無い。猫達の態度も変化していない。
相変わらず、マイペースだと思ったら、一匹の猫が近寄ってくる。
「どうした?」
言葉が通じるはずが無いのに、思わず話しかけてしまう。
「ステータスを確認するにゃ」
「喋れるのか?」
「今だけ、特別。お主の疑問を解決にゃ」
「ステータスか・・・」
そう言えば、確認していなかった。
>新しく、称号を得ました
ステータスには、前回の出来事で増えた称号が載っている。
咎人 精霊を失った物へ与えられる称号 住民からの高感度 減(大)
この称号の効果で、住人から冷たい目で見られていたのだろう。
ただ、他にもこの称号を持っているい人は多いはず。俺以外に、あそこまで冷たい視線で見られていた人はいない。
荷物持ちに関係したイベントなら、攻略者はいない。
「所持者は、5万人以上?」
データベースで、咎人を検索してみると、所持者の数字が5万人を越えていた。
その何人かが、ゲームをやめているか、休止状態になっていた。
「それだけの人が挑戦して、駄目なのか?」
それだけ、悲しい出来事があったのだろう。
おそらく、この称号の効果を減らす処置がどこかであるはずだ。
立ち止まるわけには行かない。
考えながら、行動を起こそう。
とりあえず、残りの称号を確認する。
鎧武者 剣をかざして稲妻を集めた人に贈られる称号 特殊職”鎧武者”へ転職可能。
音速の侍 音速移動をした者への称号。 必殺技の作成が可能。
超音侍 音速を超えた者への称号 現時点では、記念称号。アップデートをお待ちください。
咎人以外にも、3つの称号が増えていた。
無我夢中の一撃の結果みたいだ。
鎧武者と言う職業は、キーワードを唱えると変身できる特殊職だった。
称号から転職できるのは最初だけで、後は特別なクエストを経由しないとなれないらしい。
侍の初級が途中なので、レベルが上限になったら転職してみよう。
必殺技は、特定の動きを登録して、技名を叫ぶと威力が増加するパターンを作れるらしい。
流星斬りとか、満月斬りなど、必殺技を持っているプレイヤーは大勢いいる。
これも、考えて何か作ろう。
超音侍に関しては、今は考える必要なさそうだ。
「咎人は、お布施によって効果が減少するにゃ」
「そう言えば、心当たりがあるような・・・」
孤児院の前で会話を思い出す。
「ありがとう」
「猫神様の気まぐれにゃ」
それだけ言うと、猫は普通の猫になった。ニャーとしか言わない。
「気が重い・・・」
それでも、孤児院に行く必要がある。
とてとてと、重い足を引っ張りながら目的地を目指す。
「ついでに、色々と調べよう」
ユックリ移動する口実に、情報を集めるのだった。
もしよろしければ、ブックマークや評価をしてもらえると嬉しいです。
励みになるので、よろしくお願いします。




