惨劇への道 その6
気持ちを切り替えるために、道場で素振りをする。
雑念を追い払うためなのに、色々と思い出してしまう。
小学生時代、素振りは何でこんな事をするのかわからずに、ただ竹刀を振るだけだった。
あの時、もっと色々考えて行動していれば、違ったかもしれない。
勝った試合、負けた試合、その全てに色々と意味があるのに、その事を考えていなかった。
ただ、がむしゃらに動き回っていただけ。
中学、高校に進んで、多少は考えう様になったと思うけど、今思えばまだまだだろう。
当時の事だと思えば、それは仕方ない事だけど、今思うともったいないと思う。
こうやって、竹刀を振っていると、何であの時辞めてしまったのかと、思ってしまう。
人殺しになるのが怖かった。
それは偽りの無い気持ち。
ただ、ゲームとは言え、これだけリアルに感じられる世界で、人を斬ったときの感覚。
あれは、とても危険なものだ。
自分の力と感じてしまう色々なもの。現実世界で試したいと思って、道を誤る人が実際いると聞く。
おれ自身、そうならないと言う自身はあるだろうか?
あれは、ある意味快感だった。
勝つ事が、これほど嬉しいと感じた事は無い。
シューティング系のゲームとはまた違う、快感があった。
だから魔法を混ぜる。現実に無い要素を絡め、ゲームと現実の線引きをする。
ここは、現実ではないゲームの世界。
>山羊の館に、来客です<
素振りをしていると、メッセージが届いた。
誰かが、やって来たみたいだ。
「どちら様ですか?」
俺以外の立ち入りは、基本的に禁止なので門まで行く。そこには、先日戦った新撰組のコスプレ少女がいた。
「先日は、申し訳ありませんでした。私はカイと言います。少し、よろしいでしょうか?」
戦っていた時とは違い、何と無く可愛い気配を感じる。戦闘になると、正確が変わる子なのだろうか?
「どうかしたのかな?」
「お願いがあって、やって来ました。後、お土産を持ってきました」
「お願いとお土産?」
特に断る事もないので、屋敷の中へと招き入れる。
居住空間の、広間へと行く。和風の、のんびりとした場所だ。
「改めて、私はカイと言います」
「島田魁か・・・」
「本名が、その名前に近いですよ」
「去年の、高校総体の優勝者の名前が島田海だったな。確かに、カイと読めるか」
自分と、似た人がいると思ったので、何となく覚えていた。
「・・・」
あ、これは失敗した。相手は、こちらを不審者を見る目で、警戒している。
初対面に近い相手が、自分の本名を知っているとなると、警戒するのもわかる。
「あっ・・・」
ただ、警戒していた表情が、一瞬で変化する。
「もしかして、シュガーさん、一さんですか?シューティングで、日本一になった事のあるプロゲーマーの?」
「知っているのか?」
「剣道の先輩ですよね?雅人先生から聞いた事あります」
「あれ?君のあの先生の指導を受けたことあるの?」
「中学の先生は、移動しますから」
「そう言えば先生、卒業後別の学校に移動した気がする」
「私が、2年と3年の時の先生です。その時、高校総体の先輩の試合を見ました」
「世間は狭いな・・・」
「あのあと、剣道をやめたこと、先生悲しんでいましたよ」
「それは知ってる」
あのあと、何度かお会いした。先生と一緒に、警察官の道場に行ったこともある。部活としての剣道はあの時やめたけど、体を動かすための練習は、少し続けている。
「あ、だから山羊の館なんですね」
「中々、いい名前だろ?」
「怪しい、黒魔術の研究所だと思っていました」
「流石に、それは無い」
「そうですか?あの黒姫さんと、知り合いときいています。恐ろしい事をしていても、不思議ではありません」
「あいつ、ギルドの中で何をやっているの?」
「女の子お篭絡して、ハーレムを作っていますよ」
「君は、その一員?」
「違います。黒先輩は。尊敬してますけど、私はノーマルです」
「あいつと知り合いなのか?」
「はい。学校の先輩です。その関係で、シルバーファングに誘われました」
「そう言えば、あのギルドって、どんなつまりなんだ?」
「元々、もふもふさんの作った、テイマーの集まりです」
「黒姫、ドラゴンとか飼っていそうだな」
「3匹ほど、飼ってますよ?」
「そ、そうなのか」
「私は侍ですが、狼の獣魔持っています」
「やっぱり、狼なのね」
「勿論です」
「じゃぁ、あのオリオンも、テイマーなのか?」
「あの人は、確かスライム使いです」
「強いのか?」
「100のスライムを操る男と呼ばれていて、PKを探して、弱らせ、狩りつくすと言う、凄腕ですよ」
「そうだったのか・・・」
魔導銃で、一撃だったので、彼の活躍の場は無かった。
「そう言えば、彼はどうなったんだ?」
今回の騒動の原因だ。ギルド追放とかになったのだろうか?
「その事で、お願いがあってやってきました」
カイは、こちらと真剣な表情で向かい合う。
「私を、こちらのギルドに移籍させてください」
深々と頭を下げながら、彼女はそう言うのだった。
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