惨劇への道 その5
精霊に関しては、特に来た形跡が無いと思っていた。
精霊の木は、果実の予兆があるけど先は長そうだ。
岩や、置物に変化は無い。門灯に火を入れ忘れたので、それが原因かもしれない。
門灯専用の油は、意外と高価だった。資金があるから、遠慮する必要は無かった事に、今更気づく。
明かりの色は、儚くて、精霊が好きそうと言えば、こんな感じと思える色をしていた。
少しの間、見とれてしまい、気がつくと館の中から音がする。
もしかしたら、精霊が来たのかもしれない。
驚かしたら悪い気がして、そっと静かに移動する。
この時、俺はすっかり忘れていた。自分の称号のこと。
覗き厳禁。
だから、狙ったわけじゃない。そのインテリアも、精霊関係だから購入しただけで、深い意味は無かったのです。
現在、精霊達の入浴を除いたとして、懲罰天使による、懲罰会議が開かれています。
見えない壁で、直接見ることは出来ませんでした。
ただ、何となく心眼を使うとどうなるかと言う、好奇心には勝てませんでした。
全年齢対応で、色々と規制のあるゲームですが、年齢に応じてのサービスも色々とあります。
入浴中の精霊さんは、全裸でしたが肝心の場所は不思議な湯気と、長い髪でがっちりガードされていました。
ちょっと、残念と思った瞬間、首筋にちくりとした痛みを感じました。
にっこりと笑う、懲罰天使さん。その手には、巨大な鎌がありました。刃は、首筋を皮一枚ほど切っています。
ただ、被告側が、こちらをかばったので、重い罪にはなりませんでした。
逆に、水着着用の上、一緒に入浴する事になりました。
精霊は、5人いました。お風呂が好きで、色々と巡り歩いているそうです。精霊のお風呂は、設置していると、自由にはいっていいことになっているみたいです。
ただ、人に気づかれないように、素早く逃げるのを楽しむ遊びだそうで、見つかったら一緒に入浴するルールらしいです。
一番年長の精霊は、こちらの言葉を理解しているようでした。
「精霊って、不思議なルールがあるんだな・・・」
ゲームの中で、ここまでリアルに入浴を体験できるとは思わなかった。効能とかは不明だけど、不思議とリラックスできる。
「私達は、神より色々な役目を授かっています。このルールも、その一つです」
「何で、こんなルール作ったんだ?」
「ご褒美イベントと聞いています」
「なるほど」
精霊さんは、みんな美人さんだ。水着着用でも、一緒に入浴となると普段体験できない事なので、どきどきしてしまう。
「迷宮の前から、移動できるんだな・・・」
こくこく
精霊の中には、よるもいた。すぐ隣で、入浴中である。
「こういう場には、縁の強い物が集まりやすいと、神は仰っています」
「君とは、初対面だよね?」
「私は、刀の精霊です。初対面ですが、侍職の人に、加護を与えることもできますよ?」
「どんな?」
「私の加護は、色々と種類がありますが、残念ながら貴方はまだその資格がありません」
「そうか・・・」
「幾つかの試練を超えたなら、再び出会えるでしょう」
「解った。頑張ってみる」
「今はまだ、ですがこの場の縁で、何か知りたい事はありませんか?」
「試練に関しては?」
「一度だけ、全ての問いにお答えしましょう」
これは、禁則事項にも答えてくれるという意味だろうか?
何を聞くべきか、考えてみる。
「と、大丈夫なのか?」
気になって横を見ると、よるが顔を真っ赤にして茹で上がっていた。
「ほら、無理をするんじゃない」
???
よるは、何を言われているか解っていないようだった。
「この子、会話できないのか?」
「精霊は、勉強が苦手です。学ぶ場所があれば、意思の疎通も強固になりえましょう」
「もしかして、今のが質問になったのか?」
「一つの問いに、答えました」
何となく、騙された気がするが、それが世霊のルールなら仕方ない。
「精霊の学ぶ場所か、俺が教えても駄目なのか?」
「残念ながら、それ相応の資格が必要です。今の貴方には、それがありません」
「どんな資格が必要なんだ?」
「申し訳ありませんが、質問に答えられるのは一度だけです」
もしかして、俺は何か間違いを犯しているのかもしれない。何となく、寒気を感じる。
「解った。茹蛸になったこの子はどうすればいい?」
「私が、ケアしますから、ご心配なく」
「そうか、では頼む」
精霊たちは、その場から消えていく。風情が無いなと、少し思ってしまった。
少しだけ、そのまま湯につかる。
やはり、禁則事項に関する事を精霊に聞いておくべきだっかなと、少し後悔する。
時間は、撒き戻せない。それが、ゲームの中でも無理だろう。
考えても仕方ない、湯船から出て、装備を変更する。これだけで、着替えられるから楽でいい。
>称号を入手しました<
このタイミングの称号は、ロクデモない気がする。
混浴せしもの サービスイベント経験者。 運の値が+10
覗きしもの 不可視の聖域を覗いたもの。 懲罰天使からの監視レベルが上昇 危険度S
思ったより、危険な称号じゃなかったと安堵したけど、これが原因でトラブルに巻き込まれるとは、予想出来ましたよ?
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