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惨劇への道 その2

 迷宮を歩く。

 転移装置があるので、攻略済みの階層までは転送でいける。

 俺は初めてなので、1階から順番に降りていく。敵は、色々と出現すると聞いている。

 上層の階層では、強い魔物は出てこない。定番のスライムや、ゴブリン、ウルフ系の魔物達。

 苦戦する相手でないはずだけど、面倒な相手ではある。

 剣道の動きで、普段訓練していないことと言えば、腰より下への攻撃。

 元々、剣道は対人戦の訓練。魔物相手の戦闘なんて、考慮していない。

 新しく、効率のいい攻撃方法を考えないといけない。

 振り下ろす攻撃は、次に繋げにくい。居合いみたいな攻撃は、効果的だと思うけど、それだと剣道ではない。変なこだわりだと思うけど、そこは守りたい。

「これは、ありかな?」

 蹴りで相手を浮かばせて、胴の要領で切り裂く。もしくは、籠手の感じで打ち付ける。

「これも、使えそうかな?」

 爆発魔法を、発動する。最初に、自分を加速するのに使ったので、爆発でダメージを与える魔法ではなくなってしまった。

 物を吹き飛ばす要素が強くなってしまった。なので、相手の足元に、地雷のようにして発動させる。

 それを踏んで吹き飛んだ所を、刀で切りつける。

「あとは、これを使うか・・・」

 魔導銃を取り出す。小型のハンドガンなので、片手で簡単に使える。

「これは、簡単すぎる・・・」

 シューティング系は得意なので、次々と現れる狼の群れは、額に一撃を受けて簡単に倒せてしまう。

 迷宮は、通路と広間の繰り返し。気配察知で、何となく周囲の敵の場所がわかる。

 視界に入れば、見るの効果で動きがわかりやすい。

「よる、頼む」

 こくこく

 彼女は、上手く喋れないらしい。

 安全を確認してから、一緒に行動する。確認できるまでは、後方で待機してもらっている。彼女が一緒なので、敵が落とす魔石の量が増えている。

 新世界では、敵を倒すとアイテムになる。自動で回収できるアイテムもあるらしいが、現状手作業で拾う必要がある。

 荷物持ちは、これを手伝ってくれる。後ろをついて、一生懸命アイテムを拾う姿は、癒される。

 戦闘が続くと、心がやさぐれるので、癒し成分があるのは非常に助かる。

 難点があるといえば、彼女達は非常に弱いと言うこと。

 攻撃力は無い。防御力も無い。彼女専用の装備があれば、大金を叩いてでも手に入れるだろう。

「何か無いのですか?」

 1日の探索を終え、管理人に聞いてみる。

「50層を超えれば、アイテムの貸し出しがあるぞ」

「50までいかないと駄目なのか?}

「最初から道具に頼ると、良い結果にならないからな」

「なるほど」

 荷物持ちを意識しながら、戦闘をするのは実は結構苦労した。

 敵が回りこんでいた事が、実は一度あった。あの時は、かなり焦った。走るのレベルが低かったら、間に合わなかった可能性がある。

 20階までは、何とか降りる事ができた。敵のレベルは、まだ低いと感じるので大丈夫だろう。

 戦闘の経験が、色々と不足している実感はある。

 ためしで、荷物持ちを借りたけど、無理をしすぎた。

「先に、1人で50階まで行っても、その道具は借りられるのか?」

「それは、残念だけど出来ない」

「どうしても?」

「どうしても」

 そう言うことなら仕方ない。一度1人、もしくは誰かとパーティを組んで練習しよう。

「今日はありがとう」

 こくこく

 よるは何も言わない。感情も、今ひとつわからない。

 今日一日、一緒に行動したけど、一生懸命仕事をしている姿は、とても和ませてもらった。

 どういう設定があって、こうなっているのか解らない。

 荷物持ちに関しては、その全ての情報が禁則事項になっている。

 新世界で、禁則事項を解除するには、特定のイベントを誰かがクリアする必要がある。

 サービス開始から3年、このイベントは誰もクリアしていない。

 ゲーマーとしてなら、挑む価値のあるイベントだが、この子を失いたくないと言う気持ちが既に芽生えている。

 もしかして、精神的に何か細工されているのではと思えるほどだ。


 じーーー

 

 何も言わず、ただこちらを見つめる瞳。

「また、一緒に頼むぞ」


 こくこく


 今度は、見てはっきり解るほど、嬉しそうに笑うのだった。



もしよろしければ、ブックマークや評価をしてもらえると嬉しいです。

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