逆襲 その5
「馬、馬鹿な・・・」
「使ってみて思うけど、俺も馬鹿なと思うよ」
ハンドガンの一撃は、傍観していたオリオンの頭部を吹き飛ばした。
残酷描写は抑えられているけど、一瞬で頭が無くなり、棒立ちの人間は、充分ホラーだった。
「牽制のつもりだったんだけどな・・・」
ハンドガンを、懐に仕舞う。黒姫からのメッセージだと、魔力を弾にする魔導銃らしい。黒姫スペシャルと言うことなので、恐ろしい改造がしてあるのだろう。頭を使う事に関して、アイルのレベルはそれこそチートと言えるレベルにある。
「どうする?」
「決まったいる」
続けるのかと言う問いかけに、武器を構える。
「ならっ!」
懐から、ナイフを取り出し投げる。意識すれば、出し入れできる仕様になっていた。
「甘い」
ガイは、その大盾でナイフを弾く。その間に、ルームは後ろに下がり、弓を構える。オルトは、上手い具合に大盾の影に隠れ、姿が見えない。
「銃は使わないのか?」
「俺は、侍志望だからね・・・」
中段の構えから、盾目掛けて切りかかる。
「無駄な事を!」
その一撃は、簡単に弾かれる。相手にダメージは無い。
「吹き飛ばし!」
ガイの盾が輝き、衝撃波を放つ。それを受けて、俺は後ろに飛ばされる。
「喰らうがよい!」
吹き飛ばされた俺を、オルトの槍が襲う。盾の後ろにいると思ったのに、正面ではなく、左からの突きだった。
「流石・・・」
かろうじて、その一撃を刀で凌いだが、右肩に矢の直撃を受けていた。山なりに飛んできた矢は、少しずれていれば額に命中していただろう。
相手は、俺を痛めつけるつもりのようなので、正確な攻撃だった。
「まだまだ」
オルトは、一度下がると、その場で足を止め連続で突きを放つ。その一撃は、微妙に飛ぶ。
「必殺の、乱れ突きだぁ!!」
この場合、殺したら駄目なのでは?と思ってしまうが、微妙に手加減されているのか、痛みはあるけど、死亡ダメージには届かない。
後方に距離をとりたくても、微妙なタイミングで矢が飛んでくる。
後方への奇襲を狙っても、その都度道を盾にふさがれる。連携の練度は高い。シルバーファングは、ギルドランクは5位。チームブラックは、3人混戦なら常時3位以内に入る実力派だ。少し、夕馬鹿みたいだけど力はある。正義と言うか、かっこいい好意に酔っている感じもある。
黒姫がいて、ギルド5位と言うのは不思議だったけど、新世界の情報を調べている間にそのなぞは解けた。
トップが黒姫じゃない。あいつがトップなら、不思議じゃないけど、粉のギルドのトップではあいつを制御できない。個性的なメンバーを集めすぎて、まとまりがなくなったのが敗因だろう。
現在トップのアガルタは、息のあったメンバーで固められ、チームワークによって色々な大会で勝利を収めている。ここのメンバーはそれなりなのに、ブレインの影響が強い。
2位の銀河帝国は、逆に個人プレイを極めたメンバーで固まっている。
銀河皇帝の下、銀河元帥と名乗っているプロゲーム集団でもある。誘われた事もあるけど、ジャンルが違ったのでその時は断っていた。後で知られると面倒なので、一応話は通してある。
3位は、眠らずの国。廃人と呼べるヘビー集団。攻略情報のため、色々な事を検証している。
4位は、入れ替わりが激しい激戦区。上位3位は1年間変動していない。差がありすぎると思われている。
5位のシルバーファングも、実は1年間変動していない。誰かが、上手く調整している。その辺の事情、オリオンは気づいていないのだろう。白姫に対しての対処が、ぞんざい過ぎた。ギルドマスターの、もふもふさんを、崇拝しているのだろう。
ここまで考えて、猫使いがこのギルドにいた理由に納得。もふもふさんは、テイマーとして崇拝されていたから、その関係だろう。組織が大きくなりすぎて、その弊害が出ているのかもしれない。
「中々、やるな・・・」
最初の矢以外は、大きなダメージは受けていない。避けることに集中して、被害を減らしている。
「そっちの、連携も中々だよ」
隙が無く、防御が上手い。相手は、魔導銃を恐れて、守りに徹している。侍だからと言って、銃を仕舞ったのに、疑っている。これは、嫌だけど黒姫に感謝しておこう。
「俺達相手に、これだけやれるんだ。裁きを受けるのは、こっちと言うわけか・・・」
オルトが、手を止めてつぶやく。
「でしょうね。オリオンは、どちらかと言うと罠に嵌めるほうですし」
ルームも、攻撃の手を止める。
「でも、勝てば官軍だぁ」
嫌な笑みを浮かべ、ガイが立ちふさがる。
「まぁ、これだけの相手は中々いませんからね」
「奥の手を、試してみましょう」
3人が、一直線に並ぶ、巨大な盾に隠れて、姿が消える。
「いくぞ、ドライアタックゥ、タイプ3」
ガイが叫ぶ。次の瞬間、盾が輝く。
「残念、眼くらましは通用しない」
見るのレベルが上がった時、視界を妨害する要素を軽減と言う効果を得た。暗い所で見えるようになっただけでなく、まぶしい所でも見やすくなった。
つまり、眼くらましは効かない。
勝負を挑むなら、こちらも奥の手を使おう。俺の目指すのは、魔法を使う侍。
魔導銃もてに入れたので、魔剣導と名乗ろう。
いざ、参る。
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