逆襲 その4
道場に戻ると、人員が入れ替わっていた。
オリオンと白姫はいる。猫使いさんはログアウトしたらしい。猫神様の使いと言う存在に、呼び出されたそうだ。
その代わり、似た装備の3人組がいる。新世界の闘技場では、個人戦、3人混戦、6人混戦のルールがある。
3人混戦のチームなのだろう。シルバーファング所属で、3人混戦のエース、チームブラックだろう。
「で、どうする?」
刀を構え、挑発する。
オリオンは、動かない。3人組も同じ。最初は、白姫が相手なのかもしれない。
「不本意だけど、私は負けでいい。黒の装備のこともあるし、相談に乗ってもらえると助かる」
両手を挙げて、白姫は降参の意思表示をする。
「降参するなら、両手を挙げるだけじゃなくて」
「あら?脱げとでも言うの?」
「後ろに背負っている武器を捨てろ!」
「っち!」
やっぱり、武器を隠していたか。こいつは、そう言う人間だ。信用してはいけない。
「人を、詐欺師みたいに思っているでしょ?」
「やっている事は、だまし討ちだろ?」
一気に加速して、突きを放ったけど、ギリギリで回避された。背中に隠していた杖は、弾き飛ばす事に成功している。
「もう、仕方ない・・・」
そう言いながら、動きを止める。
「何のつもりだ?」
「一度だけ、抵抗したの。だって、黒がそう言うから・・・」
「お前達の、強力はいらないぞ?」
「こう見えても、私は高レベルで、経験の塊だよ?」
「装備に関しては、相談に乗る。後であいつに連絡するように伝言頼む」
「了解」
「癪だけど、贈り物を見つけたから、それだけ先にもらうと伝えてくれ」
「むーーー。言っておくけど、黒は私のだからね」
「あんな怖いやつ、欲しいとは思わない」
「本当?」
「今はな」
「信じる」
黒姫の中の人とは、昔の恋人だった。色々とあって、別れたはずなんだけど、今でも色々と付き合いがある。白姫の中の人は、今の黒姫の恋人。あいつ、いつの間にかそっちの道に進んでいた。しかも、複数の彼女がいるらしい。恐ろしい女になっている。
2人とも、プロゲーマーで新世界に参加しているのは知っていた。シルバーファングにいることも知っていたので、この戦闘に出てくる可能性を考えていた。
見つけたので、真っ先に勝負を挑んだのだが、相手のほうが上手だった。
自分で、防御を解いて、俺の攻撃を受け入れた。そうでなければ、あの装備を貫けない。所持アイテムの中には、俺宛のメッセージもあった。
こういう可能性を、考えていたのだろう。その行動力は恐ろしい。
「じゃぁ、また」
そう言って、白姫はログアウトする。
今までなら、ここで白姫のアイテムを選べるはずなのに、通知が来ない。
「経験値の上昇も無しか・・・」
「当たり前です。不正な行いをするプレイヤーは、排除されるべきだ」
チームブラックのリーダーが、怒りながらやって来る。
「不正?」
「24時間チケットの乱用。まさかギルド防衛戦を仕掛ける側が使ってくるとは思わなかった」
「それは、不正な行いなのか?」
「防衛戦は、ギルド同士が己の全てをぶつける神聖な行い。それを汚すとは、許される物ではない」
「そう思うなら、GMに通報したらどうだ?」
「既に行った。現在、確認作業中との事。それ故に、この間の行いはペナルティが生じない」
「死んでも、罰は受けないと?」
「こちらは、退場しても何も失わない。お前は死亡時の痛みが消える」
「この場合、時間切れになったらどうなる?」
「それは、確認が終り次第、判断される」
「それで、どうするつもりなんだ?」
「我々に、正義がある。不正な行いには、罰をあたらる」
そう言いながら、装備を展開する。リーダーはガイ、大盾使い。弓兵のルームと、槍使いのオルトの3人組だ。
「死なない程度に、痛めつけて、汝の愚かしさを後悔させて見せよう」
今ひとつ、状況が理解できない気もするけど、敵として戦うつもりらしい。
「そう言えば、追加は無いんだ・・・」
「今なら、ログアウトしてもペナルティーは無いからね。残りは我々だけですよ」
「この場合、俺があんたら倒したら終りになるのか?」
「GMの判断次第です」
自分に不利なのを、オリオンは知っているのだろう。その顔色は悪い気がする。
「われらが、罰せられるはずが無い」
反面、ガイは自分達が正しいと持っているみたいだ。
「まぁ、訓練にはなるだろう」
実際、俺の場合多人数との戦闘の経験は無い。剣道は一対一。刀以外の武器を持った相手のとの戦闘経験も無い。ここで、その経験がつめるのは正直嬉しい。
「いざ、尋常には行かないけど、勝負!」
俺は、隠し持っていた武器を構える。
「な、卑怯だぞ!」
それを見て、相手は顔色を変える。
「俺は、不正行為をする、卑怯者なんだろう?」
悪い笑顔を浮かべながら、黒姫の装備にあった、ハンドガンの引鉄を引くのだった。
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