新人潰し その5
「立ち止まっている、場合じゃないよっと」
刀を抜き、棒立ちになった男を蹴り飛ばす。
蹴りのレベルが上がっているから、そのまま吹っ飛んでいく。急所攻撃が成功したみたいで、相手のHPは0になている。派手に壁にぶつかって、消えていく。死体は残らないみたいなので、少し安心する。
「面からの・・・」
まだ状況を相手が理解できていないみたいなので、もう1人狙いをつける。面を放ち、頭にダメージを与える。そのまま体当たりをして、吹き飛ばす。
「胴ぅぅぅぅう!」
腕を弾き上げ、がら空きになった胴を薙ぎ払う。相手は、鎧とかつけていなかったので、これで倒すことが出来た。この2人は、生産職だと思って狙ったので、予想通りだったという事だろう。
レベルが上がったと言う通知が来ているけど、確認は後回し。
囲まれた状態から、距離をとり、道場の端へと位置を取る。後ろを壁にして、不意打ちを警戒する。
すると、魔法陣が出現して、2人の男が転送されてきた。この場所にいられるのは5人までなのかしれない。
「何やってんだよ、オリオン」
「これから、落ちるまでの時間はチームの練習なんだぞ。残り少ないのに。無駄な時間を使わすな。こんな雑魚なんて、一撃だろ?」
そう言って、出てきた男が、魔法の準備をする。杖をかかげると、魔法陣が出現する。
おそらく、逃げられないし、耐えられない。
「俺は、油断なんてしないから、ご愁傷様」
そう言った次に瞬間に、巨大な光が生まれ俺を貫く。
その一撃で、俺のHPは0になる。体の中心に、穴があくなんて貴重な体験が出来たと驚くべきなのかな?
その瞬間、痛みは無かったけど、全身を衝撃が襲い、ぐりぐり、ぐにゅあ~~んとした、なんとも表現しがたい感覚が、体を襲う。
慣れられると思えないけど、猛しばらくこれが続くと思う、心が折れそうになる。
だけど、負けるのは嫌だからね。勝算は、ギリギリだけど存在する。分の悪い賭けだけど、始めた以上は負けたくない。
勝つための、準備を始めよう。
「っち、これは不味いかも・・・」
今の状況を考える。
ギルド防衛戦を仕掛けたのは、相手のほうだという形を作った。
24時間チケットの確保は、今後の戦略に必要だった。現在総合5位まで上り詰めた俺達が、上に行くために必要なもの。
チートアイテムに頼るのを嫌うリーダー達に内緒で、今回の計画を進めたのは俺たち5人だった。
そのうちの2人が既に倒されてしまった。
今回の仕掛けのために、色々と仕込んでいた事が、裏目に出てしまった。道場には5人しか入れない。やられた場合は、ランダムでギルドメンバーが補充される。メンバー内で、上位に入る2人がここに来てしまった。この2人は、リーダー派ではないので、ここは素直に状況を説明する。
「お前は、馬鹿か?」
「こっちから、停戦は出来るのか?」
説明をした後、2人に怒鳴られた。それは仕方ない。
「チケット2枚が和解の条件。こちらからは、設定していない」
「今から、設定できるのか?」
「可能だ」
「それは、一度設定したら、変更は可能なのか?」
「やったことがないけど、おそらくできない」
このゲーム、一度決めた事をあとで変更する事に、恐ろしいほど規制が入っている。一度決めたら、変更は出来ないだろう。
「なら、この状況で終りに出来るか、交渉してみろ」
「ちょっとまってくれ、今終るとあの2人の装備と、アイテムはどうなる?」
「それくらいで、終ればいいだろ?」
この時点で倒された二人の装備は、ここで囚虜した場合相手のものになるでしょう。
「それは困る」
確か、鍛冶師に色々と預けてあったはずなので、彼が負けたとなると、そのアイテムをロストしてしまいます。
「相手が、降参するまで繰り返せば言いだけだろ?」
「それが出来なかったら?」
「やってやるよ」
「出来ればいいけどな・・・」
「オリオン、この始末は重いですよ。いろいろと覚悟して置いて下さい」
「っち、そのシュガーとやら、気づいているな」
「でしょうね。時間ギリギリまで復帰をしないとは・・・」
「最悪を考える必要があるか」
「そうですね。時間は少しありますが、急ぎますか」
「そうだな」
そう言って、2人はログアウトしてしまう。防衛戦中派、ログアウトすると敗北扱いになる。この場合、若干の救済処置として、所持アイテムの全てではなく、勝者が3つ選べると言うことになる。それでも痛手になる。
「ど、どういうことですか?」
「なにこれ?」
次の2人は、女の子2人組みだった。白姫と、黒姫。シルバーファングの最強コンビ。
「2人とも、逃げろ!」
状況を掴めない2人に、逃げろと叫ぶ。
「え?」
だけど、一瞬遅かった。
次の瞬間、黒姫は、背中から一突きで心臓を貫かれ、そのまま退場してしまうのだった。
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