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新人潰し その4

 チートアイテム。

 それは、世界のバランスを狂わす存在だった。

 新人向けに配布された24時間救済のチケット。

 新人が、世界に馴染むためのアイテムとしては、破格の性能だった。

 死に戻りのペナルティがなくなるだけでなく、相手の再戦まで出来ると言う恐ろしい性能がある。

 もっとも、最初は初心者だから、仕方ないと言う認識だった。

 先に進んでいたプレイヤーは、初心者を警戒しつつ、温かく見守っていた。

 そこで、一つの事件が起きた。

 このチケットを、崇めていたプレイヤーに贈呈した初心者がいた。

 ある程度の、見返りを期待しての行為だけど、譲渡できると知った先行者は驚いた。

 PKで、奪おうとした物はかなりいる。その結果、このアイテムはPKしても奪えないと言う事は判明した。

 だから、譲渡できると判明した瞬間その価値は物凄く上昇した。

 大手ギルドは、初心者勧誘に積極的になり、その見返りにチケットを求めた。2枚配布されるから、そのうち一枚でももらえれば、莫大な利益になる。

 未知の場所で、無茶が出来るのだ。今まで、停滞していた場所も、思い切って挑む事が出来た。

 もっとも、VRゲームにおいて、死に戻りに繋がる行為は危険視されている。

 自殺願望のある人物が、VRゲーム内で自殺を試して、こんなに簡単に出来るのならと、勘違いして実際に自殺してしまった事例が多く確認されていた。

 自称癖のある人物が、延々と自分を切りつけ、痛みを感じていた。

 最初は、ゲームの中なら問題ないと思われた行為も、現実に戻った時の反動で、より深い傷を現実でつけるという事件が起きた。

 これらの事から、VRゲームの中では、自殺に繋がる行為はできない様になっている。自傷に関しても、出来ない様になっている。

 高所から飛び降りても、謎の力で助かってしまう。自分にナイフと突き刺しても、何も感じない。

 その代わり、システムを通じて精神的な色々な作用が行われる。

 五感を感じるという事は、それを操作できると言う事。

 恐怖心を増大させたり、表現できない不快なイメージを維持すると言う事も可能になった。

 もっとも、これは拷問に利用できる技術なので、システム的に厳しき制限されている。

 VRゲームの医療的利用に関してガイドラインで、厳しき定められている。これを利用して、ゲーム内の犯罪者に罰を与えると言うのは、ある意味躾とされている。

 暴力による、体罰は現実では厳しくなっているけど、VRの世界では逆に推奨されている。

 非現実だからといって、逸脱した行為を繰り返すと、現実にそれが侵食される恐れがある。

 だから、厳しく対応される。


 死に戻りをした後、謎の空間でそんな講義を受けることになった。先生は懲罰天使さんだ。

「あの連中のした事は、問題なのでは?」

「ギリギリ、システム内の出来事ですからね。ギルド防衛戦に関して、知らなかったシュガーさんが悪いと言う判断です」

「騙されたのに?」

「新世界の中での犯罪行為は、結構独自の判断がされています」

「これも、社会実験なのか?」

「おや、ご存知でしたか。そうですよ。セクハラや、リアルマネーに関しての不正行為は、私達懲罰委員会の監視対象なので、遠慮なくコールしてください」

「その代わり、プレイヤーが犯した罪に関しては、自分達で解決する必要があると?」

「そうです。こういう、力こそ全ての世界で、人間がどういう事をするのか、社会実験を兼ねてますからね」

 VRゲームの世界では、頻繁に行われている実験らしい。仮想世界を作るのに、1000年単位のシュミレーションをして舞台を作ったゲームもあるらしい。

「そう言うことなら、最後まで足掻いてみるよ」

 そう言いながら、目の前のメッセージを確認する。


”24時間チケットでの保護中です。戦場に復帰を選べは、死亡した場所に戻り、再戦が可能です”


 このチケット、ギルド防衛戦でも効果があったみたいだ。何となく怪しかったので、武家屋敷に入る前にチケットを使用しておいたので、助かったようだった。

 ここで、戻らないを選べば、戦闘は終了するらしい。それではもったいない。

 正直、死亡した時の感覚は何度も味わいたい物ではない。なんとも表現しにくい、どろどろとして、にゅーーーんとした独特の間隔は、気持ち悪かった。

 対応次第ではあれを何度も経験することになりそうだ。

 でも、このまま終るという選択肢は無い。上手く行けば、短時間で強くなれるかのせいもある。あとは俺次第。

 復帰を選ぶと、一瞬で景色が変わり、先程までいた道場に転送される。

 驚いているオリオンたちを見ると、俺はにやりとした気分になる。鏡があれば、先程のオリオンみたいな、黒い笑顔をしている自覚はある。

「さて、もう一度やり直そう」

 相手が驚いてる間に、奇襲をかける。それは上手くいき、呆然としていた男の首に、俺の放った突きは、深々と突き刺さるのだった。



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