新人潰し その3
「さて、説明はしてもらえるのかな?」
現状、周りを囲まれていて、逃げ場はありません。相手のほうがレベルが高いですし、装備も良い物を持っているはずです。
「そうですね、ギルドの施設の防衛戦を知っていますか?」
「拠点の奪い合いのイベントを、定期的にやっていると言うことぐらいしか知りません」
「それは、常時行える事なんだよ。君が、今回の挑戦者」
「そんな事、した覚えは無いのだが?」
「こちらの、拠点防衛用のゴーレムを、破壊しただろ?」
「訓練だと、言われたからだけど?」
「誰がそんな事を言ったのかな?」
オリオンは、そのことに関してとぼけるつもりらしい。
「ゴーレムの警告を無視して、破壊したのはそっちだろ?」
「警告?」
「ゴーレムは、自分を攻撃したらギルドと敵対関係になり、防衛戦が始まると、ちゃんと警告したよ」
「・・・」
確かに、何かを言っていた気がした。あえて、微量の音を流し、こちらの動きを止めるという先方だったのかもしれない。確認できなかったのは、遮音結界のせいでもある、一から、計算された出来事だろう。
「何故、こんな事を?」
「襲撃者が、偉そうにごちゃごちゃ言うな!」
そう言って、背後から切りつけられます。正直、レベルの差と言うのを甘く見ていました。
動きが、速すぎます。認識して、頭では理解できても、体がついていきません。あっけなく、背後からダメージを受けました。相手の武器のレベル等を考えると、一撃でこちらが死亡すると思ったのですが、ギリギリの所で、死にませんでした。
相手も、殺すつもりではなかったのか、上手くて加減をしたみたいです。
「うがぁぁぁ、うっ・・・」
しかし、斬られたからだがとても痛いです。痛覚は、VRゲームなので抑えられているはずなのに、苦しいと感じるレベルまで痛みを感じます。
「弾罪人に斬られると、PKや犯罪者は痛みを数倍に感じるんだよ」
背後の男が、笑いながらそういいます。
「俺は、犯罪者では・・・ないはず・だけどぉ?」
「ギルドを週で記した場合、そのギルドのメンバー全てに、敵対者として登録されます。ギルドのメンバー限定で、犯罪者扱いされるんです」
黒い笑顔で、嬉しそうに話すオリオン。
「現在、シルバーファングのメンバーは500人を越えています。ずっと貴方は狙われます」
「そ、それを、かぁいひぃ、する、ほぅほぅぐぁ」
「敗北を認め、こちらが設定した物を手渡せば、襲撃は失敗で終了します」
そう言うと、目の前にメッセージが浮かんできます。
”24時間チケット2枚を譲渡する事で、シルバーファングと和解できます”
「も、ものの、へぇんこぅあ?」
「一度設定したら出来ません。まぁ、ここで死亡しても、復活後に追いかける事が可能です。目的を達成するまで、貴方は逃げられませんよ」
「こっちの、しょぅりぃ、は?」
「無駄だと思いますけどね。あの牛の置物の破壊か、防衛戦に参加したメンバー全員を倒す事ですよ。それが出来れば、この施設と負けたメンバーの装備やアイテムは全部貴方の物です」
「ぐぁぁぁ」
この痛みは、結構来るものがある。上手く考えが纏まらない。と言うわけで、眼をつぶる。倒れて、動けないと偽装する。
その結果、称号が働き、痛みが消える。この称号、優秀です。HPの残りは少なく、逆転するのは無理でしょう。レベルの差がある相手の攻撃から生き残ったので、新しい称号を得ています。ギルド防衛戦に関しての称号もあります。
九死一生 高レベルの相手の攻撃で生き残った証。低確率で、即死効果のある攻撃を無効にする。
無謀な者(一つ目) 戦力差のあるギルド相手に、戦いを挑んだ証。無謀な者シリーズは、数を集めるといいことがあるかもしれません。
このまま、負けを認めるのは職だから、意地を見せましょう。
「ぐらぁぁぁ」
叫びながら立ち上がり、駆け出します。
眼を開けた瞬間、痛みが蘇るので、夢から覚めた気分です。
「めっ!」
面と、牛の置物に斬り付けようとしましたが、何かに弾かれました。
「防御用の障壁ぐらい、準備するのは当たり前でしょ?」
言われてみれば、その通りです。これだけリスクのあるものです。対策が無いはずがありません。
「そうやって、足掻くのを見るのは面白いからね」
狙えば、出来る気がしたので攻撃してみましたが、全て考えての位置取りだったのでしょう。
「楽しい、鬼ごっこの始まりだ」
そう言って、オリオンが攻撃してきます。ナイフと思われる物が、突き刺さります。一瞬、体に衝撃が走りました。痛いというより、生理的に嫌な感じが体を駆け抜けます。
これが、死に戻りの兆候と言うのでしょう。
新世界での、始めての死に戻りは、ナイフで死亡と言う事になりそうです。
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