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新人潰し その1

 寝て起きて、色々と雑務をこなす。

 新世界以外にも、やる事は色々とある。シューティングゲームの世界大会も近いので、こちらも頑張る必要がある。その練習に時間をかけすぎてしまったので、新世界へのログインは遅めの時間になってしまった。

「この時間が、一番人が多いのかな?」

 平日の午後8時。街は人が溢れ活気に満ちていた。

 迷宮に行くには、冒険ギル後に行く必要がある。

 その前に、この街を歩いてみるのいいかもしれない。

 街関係のイベントは、定期的に増え、色々と充実していると聞いている。NPCのAIは高性能で、色々な受け答えができるという。もっとも、そうできないNPCも各所にいるらしく、それを探す人もいると言う。

「何故、ここだけは和風?」

 ふらふらと、街を歩いていると、不思議な建物を見つけた。

「ギルドシルバーファング?」

 街の片隅に、武家屋敷見たな場所があった。そこには、そう書いた立て札もある。

 どうやら、プレイヤーのギルドの建物のようだ。最初の街にも、色々なギルドが存在している。

 有望な人材を求めて、監視して引き入れる事を主な任務としているらしい。

 この建物も、その一つだろう。シルバーファングというギルドは、新世界の中でも有名なギルドだ。

 攻略組みの5番目ぐらいのランクだけど、色々と有名なプレイヤーを抱えている。

「何か御用ですか?」

「通りかかっただけです」

 門の前にいた人物に、声をかけられた。武家屋敷に似合わない、西洋の鎧を身にまとった人物がいた。

「新人さん?」

「わかりますか?」

「ここを見て、不思議そうな顔をするのは、新人さんですからね」

「なるほど」

 確かに、この街を歩いて驚く人間は、新人だと判別できるだろう。ある意味、新人を識別するには良い方法かもしれない。

「ここは、シルバーファングの初心者道場だよ、良ければ見学しない?」

 鎧の騎士風の男はにこやかに話しかけてくる。

「それは、ギルドの勧誘?」

「それを決めるのは、君次第。この街には、色々なギルドの支部があるけど、道場はここだけだよ」

「訓練が出来るということかな?」

「そう言うこと。他のギルドは、勧誘したら次の街へ誘うからね。あっちの方が、いろいろと設備があるし、お店も豊富だから」

「なら、この街に道場作る意味は?」

「最初の街から、新世界を楽しみたいと言う人向けかな?最初の街にも、色々とイベントはあるし、強くなるためなら、急がなくても我々がサポートするよ」

「サポート?」

「道場の中だと、特殊な模擬戦ができるんだ。そこで、先輩達と訓練すれば、あっという間に強くなれる」

「それは魅力的な話だな・・・」

 先行している人と、訓練できると言うのはある意味魅力的な話だ。ただ、こちらの手の内を見せるのは出来れば避けたい。

 それでも、どんな事をしているのかは気になる。

「見学だけでも出来ますか?」

「勿論、えーと」

「シュガーです」

「シュガーだね。僕の名前はオリオンだよ」

「えっ?」

「どうかしたのかな?」

「オリオンって、断罪人と呼ばれるPKKのオリオンさん?」

 新世界の中では、色々と有名な人だった。PKを倒し続けることで得られる称号がある。それが断罪人。

 100回以上、PKをキルする必要があるらしい。名誉初号らしいけど、これを所持している人は周りから色々と信頼されている。

 シルバーファングは、断罪人が一番多く所属しているギルドでもある。

「そうだね、それは僕の事だよ」

「いきなり、有名人に会えて嬉しいです」

「シュガー君は、見かけより若いのかな?」

「老けて見えます?」

「侍を目指しているのかな?和風の装備だと、若干そう感じてしまってね、失礼」

「実際の年齢は、ノーコメントでお願いします」

「それもそうだね。ただ、どこかで見たことのある気がするんだよ。もしかして、有名人だったりする?」

「オリオンさんほど、有名ではありませんよ」

 心の中で、新世界ではと呟く。一応、シューティングゲームの大会で顔は出ているので、知っている人が見たら似ていると思うかもしれない。

「それじゃぁ、見学する?」

「お願いします」

「了解、ついてきて」

「はい」

 オリオンについて、武家屋敷の門を潜る。

 前を歩くオリオンの顔は、醜く歪んで言うた。心の中で、鴨が来たと喜んでいる。

 そんな事に、当然気づくわけ無いのだが、この時俺は、保険としてある事をしていた。

 この事が、あんな事にあるとは、流石に思ってもみなかった。


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