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某異邦人の放浪記  作者: 明々後日の咆哮
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1-07 自己紹介と盗賊の捕縛。そして言葉の壁

 そういえば自己紹介がまだだった。

「私の事は『リシュー』ってみんな呼んでいる。君の名前は?」

「エルシー。」「お姉さんは?」「エリス。」「了解した。」

「襲ってきたのは盗賊?」「うん、女と荷物をよこせって」

「・・・馬鹿だね、こんな魔物の住む森の中で、そんな事して。

 悪意に寄せられて化け物が現れるに決まってるじゃないか。」

「そうなの?」「そうだよ」「悪い奴の近くに悪い事が起こるんだ。」

(世の中のバカってどうして無くならないんだろう?)って

思いながら移動する。


 術が解ける前に最初の場所についた。化け物に気付かれないように

風術を張りなおす。「みんな、寝ている?どうして?」・・・胡麻化さんと。

「・・・『スイマー』って魔物知ってる?」「スイマー?」「そそ、

 混沌に呼び出される魔物だよ?」「エルシーは眠っちゃいけない

 時に眠くなる事って無い?」「ある!お勉強の時とか!」

「そういう時に襲われてるんだよね。」

「そうだったんだ・・・」エルシーは(へぇー・・・)っていう様な雰囲気を

出していた。顔が美容パックと包帯であまり見えないからだ。

「ここのみんながスイマーに襲われた後、私は偶然通りがかってね。

 怪我人を治療中に悲鳴が聞こえたから、すぐに行って君達を

 見つけた。間に合って良かったよ。」「・・・ありがとう。」

「いいえ、どういたしまして。」

胡麻化し完了。平泳ぎだかバタフライだかは良く知らないけど、

文字通りに襲われたのだ。間違ってはいない。


 「さて。エルシーまだ大声出しちゃ駄目だよ?」「うん」


 エルシー達が乗っていた馬車の近く迄、移動する。汚れたタオルや、

エルシー、エリスの服だった物はサウンドバックのような鞄の中に入っている。

(ホントは次元空間術があるから、何でも出し入れできるが、隠蔽しないと。)

 先にカバンを置いて、それを背もたれにエリスをゆっくり置く。

「エルシー、盗賊は縛るから、敵味方の判断をしてくれる?」「・・・うん」

エルシーを背負ったまま移動し、寝ている人が悪人かそうでないか?

小声で相談し判断をしていく。

「この人は?」「知らない人。」「じゃぁ盗賊だろう。」「いいの?」

「間違ってたら解けばいい。」「縛らないで盗賊だったら大変。」

「分かった。武器は?」「縛る方が先。」「うん。」

「・・・この二人は盗賊じゃないよね?」「違う。」「この人は?」

「商人と一緒にいた人。」「・・・怪我人も縛るの?」「盗賊だったらね。」

「盗賊じゃない。」「了解。」「この人は?」「叔母さん。」

「この人は?」「・・・しらない。」「じゃあ盗賊だね」

「・・・死んでる人も縛るの?」「それは無いわぁ。」

死んでいる人を見てエルシーはショックを受けている。

「嫌だろうけど、もう少し我慢してね。」

「・・・うん・・・。」「この人は?」「わかんない・・・。」

「・・・一緒に来たんだけど襲われた。」(こいつが最悪な奴ね。)

目をつける。「じゃあ裏切り者だな。」「裏切り者・・・。」しっかり縛る。

「・・・エルシー頑張れ。」「うん。」「この人は?」「用心棒。」・・・

「縛られてるけど?」

「来る前に盗賊っぽいから縛っちゃった、テヘペロ」「・・・えー。」

この人だけ、何この世紀末ファッション?って感じだったから無理もない。


 一通り終わった所で、「今度は信用できる人を起こしたい。教えてくれる?」

「この人。」「ほいきた」「?」「分かったっていう意味だ」「・・・」


その人は肩に矢じりが刺さっている状態の40代位の男性だった。

太ももにも毒矢が刺さっていたが先に処置しており、命に別状はない。

「この人は?」「叔父さん。『逃げろ』って言ってくれた。」

「ケガしてるからちょっとまだ喋れないだろうなぁ。」

「ほかは?」「隣の人。」「この人は?」

「商人の叔父さん、この中で一番偉い人。」「わかった。」

「いいかい?、この人を起こしたら、エルシーはすぐこの人に、

 『静かにして』という事を伝えて。」「え???」

「盗賊は確かに縛ったけど、武器はまだそのままなんだ。

 気づいて暴れられたら困る。」「うん。」


「あとこれが本当に大事な事なんだけど、いい?」「・・・うん。」


「今、普通にエルシーと喋っているように聞こえてると思うけど、

 私の言葉はエルシーにしか分からないんだ。」


「・・・どういう事?」「私はこの国の人じゃない。言葉が分からない。」

「エルシー達を助けるため、エルシーと喋れるよう道具を使った。」

「『神楽鈴之根付』のこと?」「そうだよ」(首飾りになってるけど)


「その道具のおかげで、今エルシーとの会話はできるけど、私は

 この国の言葉を元々知らないから、エルシー以外の人が私に喋って

 来ても分からないんだ。逆に私の言葉もエルシーにしか分からない。」


「・・・私以外とは会話ができないの?」「そういう事。」

「だから、相手が私に伝えたい事、私が相手に伝えたい事は

 エルシーが代わりに伝えてくれる?」


「そうしないと、みんなを助けられない。」

「・・・大変だけど・・・わかった。」「じゃあ起こすよ?」


エルシーの通訳が始まる。



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