1-02 突っ込み、突っ込まれ、風が舞う。
誤字脱字修正しました。(汗
・・・ああこうしているうちに、盗賊に追われていた方向から悲鳴が
聞こえる。・・・捕まっちゃった?これはいかん。
急いでそちらに向かう。移動している間に、女の子が誰かを呼ぶ叫び声が
聞こえていたが、やがて聞こえなくなってしまった。
ほんの数秒だろうか?間をおいて、森がざわつく・・・
・・・魔物の気配だ。・・・(あぁ、悪意に呼付けられたか。)
・・・2人の方へ向かうにつれ、臭いがきつくなる・・・。
眠らせた集団が襲われないようにする為にも、すぐに風術を発動させて、
結界と来た道の匂いをかき消す。
目の前の茂みを出ると、武装した緑色の小人?のような化け物が、
こちらに振り返り、下卑た笑みを浮かべて、こちらに襲い掛かって来た。
「残念ですが、もっと爽やかな笑顔で。今日は出直してください。」
・・・すぐに風術で吹き飛ばす。
「いつの時代でも営業は第一印象が大切ですよ?」
吹き飛ばした緑色の化け物の問題点を指摘する。
・・・まったく最近の若い奴は、って私もまだ若輩者なんですけど。
・・・おや?・・・・・その先を見やると、
地面に、ズボンを途中まで降ろしたみっともない姿で、
体中切られた男が絶命している。(先程死んだみたいな?)
まるで彼の墓標のように、剣が突っ込まれて刺さり立っていた・・・。
・・・腰を浮かせた状態で・・・ケツに・・・。
ナイスジョブだな、緑の化け物。少し見直したよ。
自業自得だ。こういう奴はぞんざいな扱いで結構だと個人的に思う。
最後の死に様として、下種野頂野郎らしさが出ている。
・・・・一体どうやって殺されたのか・・・。
そんな事を思いながら、考えていると、「ん?」
・・・更に変な臭いがしてくる。なんか臭い・・・。
墓標の少し先を見ると、右の大きな木の付け根、更に3匹の化け物がいる。
そこには女性が木の根にもたれた状態で寝かされていた。化け物達は、
その女性に何か香炉のようなツボから出る煙を嗅がせている。
臭いの原因はそのツボだった。
「・・・うっ!お香がくさっ!臭い!。」何かがしてんのよ!緑のヒト、
こんなのよく嗅がされるな・・・。
女性は上着は少しはだけ、片腕を切断された上、胸元も切られたのか
全身血だらけになっている。出血と精神的なショックもあるだろう。
意識が朦朧となっているのか、既に目の焦点が定かではない。
その側で化け物が切り落とされた女性の片腕を剣で刺して、
食おうとしている所だった。
私はツッコミを入れる。
「3匹自慢げになって、そんな臭いアロマテラピーを若い女性に
薦めないで下さい!」
「それにそこの緑!そう君!それはそこの女性の物で、
あなたのおやつではありません!」
・・・先ほどと同じ風術で吹き飛ばす。風術をそのまま利用し、
切られた胸と腕の止血を行い、片腕も回収する。間に合ってよかった。
「どんな教育を受けてんだか。今度魔王に会ったら注意
しとかなきゃ・・・。」「ん?」
今度は左の方から、別の緑の化け物が此方をのぞきに来た。
「のぞきは犯罪です。されて興奮する人もいるそうですが、
私にはありません。」
そう言って、そいつも吹き飛ばす。
さて・・・追われていたのは2人いた筈。
もう一人はそっちだね?と向かう。
・・・。
そこにはうつ伏せに寝かされた女の子がいた。
2匹の緑色の化け物が体と頭を押さえつけている。
別のもう1匹が背中に乗り、「ギャヒギャヒ」言いながら、
爪を立てて服を引き千切っている最中だった。
横に見える顔は何度も殴られたようで、酷い状態。
口からは嗚咽が漏れる程度で、もう抵抗する様子も無い。
近くには男が腰を抜かした状態で剣を振り回し、男の周りにもいる
緑色の化け物たちを牽制している。 が、男の背中には致命傷といえる
大きな切り傷があり出血が酷い。もう数分も持たない。
恐らく、この男が女の子を殴り続けたのだろう。
「襲う相手が違いますよ?服は千切るものではありません。着る物です。」
女の子の上にいた化け物を吹き飛ばす。
男の側は完全無視して、スタスタと移動。荷物のような状態だが、
女の子を片手で抱きかかえて、そして元来た所へ移動しはじめる。
その様子を男と共に緑色の化け物達も動きが固まって凝視していた。
視線に気が付いた私は(あっ、お構いなく。)って感じでそのまま移動する。
背後にいるその男が何か言ったようだが、それはどうでもよかった。
この国の言葉を私は知らないから都合がいい。だが言いたい事はあった。
どうしようもない怒りと憤り、殺気を開放し、牽制する。
・・・コレまでもこういう事をやって来たんだろう?
『貴様とそこで死んでいる、下種野郎が魔物を呼び付けた。貴様らの方が
余程化け物だ。彼女らに詫びて己の所業を永遠に悔いるがいい。』
魔物は醜悪な奴が大好きなのだ。ワルは徒党を組む。
薄汚い、そういう所に魔物は派遣、呼び寄せされる。
腕を切断されると、30秒で意識が飛び、2分で出血死してしまうそうです。