20
徐々に明かされる大島の姿。
自分は何者かになろうとして競馬、パチンコ、競艇などあらゆる賭け事に手を染め始めた。自分の中に眠っていたギャンブル欲が目を覚ました。欲に目が眩んだのには原因がある。
一つ目は、自分の年齢が実名報道される年齢である20歳になったことだろう。20と言う数字は日本の社会の中では大きな意味を持つ。
子供から大人へ。
責任も全て自分にのしかかるが大いなる自由を手に入れることができる歳。酒、タバコも合法になり、自分の欲のままに行動できる土壌が与えられる。そんな魔法の数字である。20になった自分をまず突き動かしたのはコンビニに行って酒を買うという購買意欲だった。自分の思ったことができるそんな自由を噛み締めながら、親にせびってもらった金でコンビニへと向かった。おなじみの入店音でさえいつもと違う風に聞こえる。聴力も自分の身体機能の何もかもが一段上に洗練されたかのような気分だった。飲料のコーナーに整然と並べられた商品を見て人間社会に適応していない自分とは違うきちんと整理整頓されて陳列された商品を見て、無機物と有機物の差の様なものを感じた。冷えたケースに手をかけて開ける。俺はおもむろに日本でおそらく一番馴染みのある銀色の缶ビールを手にとった。缶からは銀色の重厚感と冷たい鉄を触っているような気持ち良さがあった。秋学期とはいえ、まだまだ暑い。最高の気持ち良さを提供している悪魔的な飲み物ではないかと思った。レジで会計をすませ、缶を開ける。プシュっという空気の抜ける音が心地よい。一口目を口に含んだ時、喉に辛めの刺激が来る。あ~~たまらないこの刺激。これが大人の味か。人生にも似た味を噛み締めながら俺は一気に飲み干した。飲み慣れていないせいか心地よい気分に浸ることはないが、自分が抱える悩みを吹き飛ばしてくれるかのような爽快感に病み付きなった。それからというもの毎日のように酒を飲む日々。一人で飲むのが自分の中での日課だった。日常生活では味わうことのできない生きているという感覚を酒を飲むことによって取り戻すそんな感覚。たまの休みに居酒屋へ行く。そこで相席になった人と話す会話は、作られた言葉じゃなく本音で語ることができていた。これは酔っているのか正常か。そんなことなどどうでもいいのだ、非日常の世界に浸れるのなら…。
そんな自分がひょんなことから、グループワークのリーダーになってしまった。どうすればコミュニケーションを取ればいいのかまるで分からない、大学の授業で人との対人コミュニケーションを学ぶ時間が欲しい、そんなことを考えながらグループワークの席に着く。自分の適応能力の下手さが露呈し、その場の環境に耐えきれなくなって逃げた。アルコールに、、。人と話せていた唯一の時間を自らの手で作り出すことにした。酒を喰らいまるで居酒屋のおっさんと話す感覚で知らない他人と話した。それが功を奏したのか、はたまた案外自分の会話能力がいけてたのか、なぜか周りの人からの支持を集めることになってしまった。そして自分が関わった班は、なんとか単位は取れそうな発表になった。授業が終わり、俺はホッとした気持ちで他の班員に表面上の感謝を伝え、俺はその場所を離れた。発表が終わって何日語った後、俺は授業で会った人に上辺だけの感謝の意を示していた。一週間のうち、唯一ある5限目の授業を終え、帰路に着いていた。その時、偶然俺がおそらく今後会うことはないだろうと思っていた班員に会ってしまった。どちらかというと会いたくなかった。俺は上辺の言葉だけで造られた関係は、あまり長く継続させたくないとおもっていた。しかし、こういうこともあることには、一定の理解を示すべきだとおもっていた。俺は班員の人に軽く挨拶をして、走って電車に飛び乗った。ようやく逃れられた。数分間の出来事が何時間にも感じる体の疲れが俺の体に襲いかかってきていた。俺はこの出来事から目を背けたかったのか、疲れからくる眠気なのか深い深い眠りに落ちて行った。
最近、手をつけれてなかったので、内容がぐちゃぐちゃ。書き上げるときは一気に書こう。