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妄想男の結末

フラグはありましたが…




7月17日終業式。


オレは幼なじみの三宅優花(みやけゆうか)ことゆーちゃんを校庭の裏に呼び出していた。



もちろん何のようかとか聞かないでくれよ?

これからこの気持ちを彼女に伝えるんだから。



この夏休みは部活の夏の大会参加(きょうせいさんか)が決まっており、部活三昧が確定してしまっている。


そんな中オレはゆーちゃんと恋人同士になって、部活+夏のイベントを満喫する!!

あと勉強もね。



自信はあるのか?

もちろんある。ある。絶対ある!


毎年バレンタインにはチョコ(てづくり)を貰っているし、小学校の将来の夢の作文には


「わたしのゆめはけーちゃんのお嫁さんです!」



当時のオレはその作文の内容を理解していなかったが、今思うとなかなか恥ずかしい内容だと思う。


まあ、オレの作文の内容も


「ゆーちゃんと結婚することです!」


まさしく相思相愛。

その一言である。


教師を含む大人たちは微笑ましいと思っていたと思うが、クラスの皆には冷やかされたものだ。


悪い気はもちろんしなかったけどね。




そういった経緯もあり、オレはこの告白は絶対上手くいく。

そう確信していた。


彼女が来るまでに色々と妄想する。


絶対に成功して、デートとかも回数重ねてさ。


一緒に登下校とかしたり。


て、手とか繋いだりとかしたり。


それでどんどん仲が深まっていっていつかは…




わぁーーーー!!変な想像しちまったーーーー!!




でも健全な男の子なんだから許してね。

って、誰に言い訳してるんだオレはーーー!!!




「お待たせっ」




悶々としていると彼女(ゆうか)がやってきた。

平常心だオレ、平常心!



優花「けーちゃん話ってなーに?相談事??」


優花は首を傾げながら聞いてきた。



彼女の見た目についてだが。

肩まである彼女の髪はこの学園の規則に乗っ取ったものである。

別に守る規則でもないらしいが、彼女は校則違反は絶対にしない。

昔からである。

校則だけではなく、彼女が決めたルールがあるらしく、それに反することは絶対にしない。


そして彼女は小柄ながら何事にも積極的であり、教師陣と一部の男子たちに絶大な人気を誇っている。

もちろん顔についてはクラス中でもトップクラスだ!!


ただ部活には入ってない。

多分だが、家の手伝いをしているからだと思う。

親思いのいい奴だ。


そんな幼なじみにオレは告白しようとしている。



優花「ねえ、聞いてるのけーちゃん?」


秋山「う、うん!ごめんぼーっとしてた!!」




さて、言うぞ。すぐ言うぞ。他の男たちに取られる前にオレは言うんだ!!

フラグは散々出来てる!!!

自信をもてっ!!



秋山「お、オレさ…夏休み入ったら部活で忙しくなるんだ」


優花「うん、知ってる」


秋山「それでさ、色々とさ遊びにいこうって約束してたよな。クラスの皆でさ」


優花「そだねー。楽しみだなー」




よし、ここだ……ここで言うんだ!

ずっと考えてた最高のセリフを今っ!




秋山「でもオレは皆じゃなくて、優花と二人きりで過ごしたいんだ…。オレと付き合って下さいっ!!!」




言った。言っちゃったよオレ…


さぁー後は二人は結ばれて最高の夏が、



優花「ごめん、私はけーちゃんとは付き合えない!」



ぇ?



彼女はなんと言ったのだろうか?

オレにはわからなかった。



優花「本当に、本当にごめんねっ…」


優花はオレに死の宣告を告げて走り去って行った。




ぁあ、オレは振られたんだな。



気づいたのは彼女が去ってから一時間くらいたってからだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


気づいたらオレは独りで帰っていた。



虚しく、独りだ。



予定では二人で帰るはずだった。

だが隣には誰もいない。



これからの夏休みの予定を二人で決めながら帰るはずだった。

予定も糞もない、部活三昧の夏休みだ。



次に彼女に会った時、オレはいつものオレでいられるのだろうか。

無理だな…そう思う。



信号が赤だな。

赤とか青とかもうどうでもいい…死にたい……



死んだら彼女には会わなくて済む…



トラックが横からやってきている。

もうすぐ楽になるのか……




そして、


秋山啓一はトラックに跳ねられて死んだと確信した


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


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