お父ちゃんとお母ちゃん
ホショウハイッサイイタシマセン
ある学校の国語の時間のことでした。『家族』というテーマで作文を書きその中から先生が選んでそれを書いた人が発表するという授業で、正直私は、さされないことを祈っていました。
授業時間はあと、十五分程度指名されるのは、おそらく2人、多くて3人だから私さされないだろう。現にもう2人さされた。時間もぴったりだ。そう思ったとき先生はこう言いました。
「では最後に、時間がおしてしまいますが、薫さんお願いします。」
もともと、クラスでイジメられていた私は逃げ出したい気持ちでいっぱいいっぱいでした。でも、読まなければいけません。意を決して私はよみ始めました。
「題名、家族のカタチ、3年1組 、生川薫、みんな私のお父ちゃんとお母ちゃんのことを年取ってるなジジイとババアとじゃん、全然似てないしとバカにしますが、それは当たり前だと思います。私のお父ちゃんとお母ちゃんは私の本当の父と母ではありません。私は養子です。私を産んでくれた父さんと母さんは、私が小さい頃、事故で死んでしまいました。そして、私はお父ちゃんとお母ちゃんに引き取られました。最初は戸惑いました。父さんと母さんが死んで寂しくて、恐くて仕方ありませんでした。でも、お父ちゃんとお母ちゃんは根気よく私に付き合ってくれました。そして、少しづつ少しづつ、親子になっていきました。呼び方もおじさん、おばさんからお父ちゃん、お母ちゃんに変わっていきました。そして最近、私は思うのです。血は繋がってなくても、親子になれるのではないか、親子ではないのかと。もちろん父さんと母さんのことを忘れたわけではありません。でも私はお父ちゃんとお母ちゃんのことも親だと、どれだけ馬鹿にされようと自慢の父と母だといいきれます。皆さんはどうでしょう。今か、過去か、どちらが正しいとは言えないし、どちらも大切なことだと思います。現に私は選べませんどちらも私にとって大切な父と母だと思っています。いつか大人になって仕事をするようになってお金を貯めたら、2人父さんと母さんの分まできっちり、2倍、それ以上の親孝行をします。」
少しづつ少しづつ教室は教室が静まりかえっていくのを感じました。
そして、読み終わったとき教室はしんと静まりかえっていました。
「薫さん、ありがとうございました。ぜひ、ご両親に恩返し、頑張ってくださいね。過去か、今か、難しい話ではありますが、みなさんも考えてみてください。」
このあと家にかえって、2人の顔をみるのがとても照れくさかったです。でも、もうバカにされることはないのだと思うととてもスッキリしました。
あざした