ジョーズが上手に大豆に坊主の絵を描いた
この前旅行に言ったとき、神戸の元町商店街であるものを衝動買いしてしまった。
それは、人の顔が描かれた、漆か何かでコーティングされた大豆みたいな豆だった。価格は税込1680円ポッキリ。露天の腐ったサンタクロースみたいなお爺さんが地べたで売っている時点で相当胡散臭いのだが、その商品の横にある説明に私は惹かれてしまったのだ。
「あの、ジョーズに命懸けで書いてもらいました。その代償として、親しい友人が食べられて、海の藻屑となってしまいました。どうか、この努力と犠牲の賜物をあなたの手に」
ジョーズってサメは映画の出てくる架空の存在なんじゃとツッコミたいところもあったが何せ鬼気迫る書体と、豆に絵を描いてもらうために死んだ友人の無念極まりなさに不覚にも心打たれ、私は豆を買ってしまったのだった。まあ、パチンコで負けるよりかはずっと価値ある出費だと思ったし。
お爺さんは、私がお金を渡し、豆を受け取ると、ニッカリ微笑んでこう言った。
「あんた、良い買い物をしたね」
この二日後、私はスーパーのくじ引きで、一等を引き当てた。景品は「シーサイド・キラー」と言う映画の無料ペア鑑賞券だった。