表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
容姿や魔法の才能のせいで周りから良く思われておらず、信じていた人たちにも裏切られましたが……その後幸せへの道が拓かれました!  作者: 四季


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/16

4話「壊れるものは壊れるだけ」

 アミラのすべてにおいて雑なところが気に食わなくなったハーバーグは、周囲に「アミラの良いところは見た目だけだった」「トータルで考えるとガーネットのほうがましだったかもしれない。彼女はあんな下品ではなかった」などと愚痴をこぼすようになっていった。


 するとアミラはそれに反発。

 自分のことを悪く言われ、しかも大勢に言いふらされて、それでも黙っていられるほど慎ましい彼女ではなかった。


 そんなこともあり、二人は毎晩大喧嘩するようになる。


「どうしてまたあたしの悪口言いふらしたの!?」

「本心を話しただけだろう」


 特にアミラは非常に攻撃的だ。


 今や彼女は自身を保つことで精一杯で。

 相手を責めることで自分というものを何とか護っている。


 とはいえハーバーグに非がないかといえばそうでもなくて。


 互いに互いを傷つけ合っている――それが今の二人の関係だ。


「あたしのこと悪く言って楽しい? 楽しいんでしょ!? だからそういうことするんでしょ!? いっつもいっつも! あたしのこと悪く言って、悪い評判言い広めて、それで満足!?」

「楽しいとか楽しくないとかそういう問題ではない話だよ」

「でもまたあたしのこと悪く言うんでしょ!? 最低じゃん! そういうの! 最低最低最低最低!! あり得ない男!! ハーバーグがこんなクズだなんて思わなかった!!」


 攻撃的な言葉を吐かれたハーバーグはアミラの頬を片手で掴む。


「おい! 今、何と言った! 俺が何だって? 何と言ったんだ!」

「いにゃいってびゃ」

「直前に言ったことをもう一回言ってみろ! 何と言った? もう一度言ってみろよ! 言えることなら!」


 顔を掴まれたはアミラは暴れ出す。

 それによってハーバーグは一瞬驚いて手を離した。


 直後、アミラはハーバーグの腹を蹴る。


「ぐふぇ!!」


 腹を蹴られる展開はさすがに読んでいなかったらしく、ハーバーグは蹴りをもろに食らってしまった。


 ハーバーグはしゃがみ込み暫し震えていた。腹への一撃がかなり効いたのだろう。ただ、数十秒くらいが経つと震えは徐々に落ち着いて。痛みよりも怒りの方が大きく膨らんだらしく、ゆらりと立ち上がる。


 そしてアミラの茶色い髪を強く引っ張った。


「や、やめてよ! 引っ張んないで!」

「人を蹴るような女に髪の毛など不要だろう」

「離して!」

「いいや離さない」

「何なのもう……やめてよ、ちょっと、ほんとに」

「俺はこの毛を離さない」

「き、気持ち悪いって……もういい加減にしてよ!!」


 するとハーバーグは髪を掴んだままアミラの身体を引き寄せる。


「髪の毛全部なくしてやる」


 そんな風に耳打ちされ青ざめるアミラ。


「やだ! もう嫌! 大嫌い! ずっと嫌い!」

「今さら逃げるのか」

「関わりたくない! 離して! もう何も言わないから、離して!」

「逃がすわけがない」

「もう嫌なんだって! 関わりたくないの! もうやめてよ、こんなの、やめてって言ってんじゃん……離してよ!」


 ハーバーグはアミラの髪を掴んだまま彼女の身体を引き上げる。


「何すんのよ……」

「今から生意気な振る舞いをした罰を与える」


 引き上げたアミラの腹部に蹴りを叩き込むハーバーグ。


 彼は先ほどの一撃に対して怨みを募らせていた。


「髪引っ張んないでよ……痛いし、怖いし……ほんと無理だから……」

「謝るまで許さない、覚悟しろ」

「じゃ、じゃあ! 謝るから! 謝るから離して!」

「はは。謝って済むものか。謝るだけで罪から解放されようとは愚かだな」


 今のハーバーグは過去のハーバーグとは別人だ。

 彼はもはや鬼。

 憎しみの対象となった者は死んでも許さない、というくらいの、強い負の感情を胸に宿している。


「さっき……謝るまで許さないって言ってたじゃん……」

「謝っても謝らなくても許さない」

「言ってること変わってるし……」

「まず、罰の第一弾として、髪の毛をすべて奪う」

「は、はああ!? 何それ何それ嫌過ぎるんですけど!?」

「もちろん罰はそれだけではない。あくまで第一弾だ。他にも色々準備しているから心待ちにしているといい」


 その日、ハーバーグは数時間にわたってアミラを痛めつけ、アミラは搬送されたが搬送先の病院で死亡が確認された。


 婚約者殺しとなったハーバーグは拘束される。

 極めて悪質な行為が認められたこともあり即座に牢へ入れられた。


 そして数日後処刑されることとなる。


 ハーバーグの両親やアミラの両親はもちろんのこと、少しだけしか知らない知り合いや赤の他人である野次馬など、色々な人たちに囲まれながらの最期となった。

 最期の時、彼は、何度も「俺は悪くない!」「どうして俺がこんな目に!」などと泣きながら叫んでいた。


 ……こうして、ガーネットを裏切り傷つけた者たちはこの世界から消えたのだった。



 ◆



「――ということで、お二人は亡くなられたようです」


 城での暮らしにも慣れてきた頃、ラルフレットから報告があった。


「ハーバーグとアミラにそんなことが……」

「お二人は気が合わなかったようですね」

「そうですね、教えてくださってありがとうございます」


 二人は私を傷つけた。裏切り者。けれどもかつては支えてくれた人でもあった。それゆえ二人の死を聞かされるというのは何とも言えない展開で。ある種のもやもや感が胸の内に生まれる。……ただ、同情はしないけれど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ