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暴走超特急・美佳【第4駅】ハロウィン便は本気のサービスで魔物たち阿鼻叫喚でした

※この作品は暴走超特急です。途中下車はできません。あらかじめご了承ください。

【アナウンス】本日はハロウィン便をご利用いただきありがとうございます。

次は聖水ドリンク駅ー、聖水ドリンク駅ー。

ダァシエリイェス!!


その日、美佳の親友の須磨子様が窓際の席で優雅に紅茶を召し上がりながら、乗り合わせ、車内の様子をみていた。


美佳「喉カラカラでしょ?」


ゾンビたちは我先にとカップを受け取り、ひと口。

瞬間、白煙をあげて蒸発。座席は一気にガラガラに。


須磨子様は悠然とカップを掲げる。

「……清涼感あふれるお味でしたわ」



---


【アナウンス】次はスタミナ餃子定食駅ー、スタミナ餃子定食駅ー。

ダァシエリイェス!!


美佳「これで元気モリモリだよ!」


ニンニクの香りが車内に充満。ドラキュラ一行が悲鳴をあげて窓ガラスに張り付く。

一斉に「ア”ァァァーーッ!」と夜に消えていった。


須磨子様はハンカチで口元を押さえ、涼しく一言。

「……少々、香りが強烈ですわね」



---


【アナウンス】ただいま読経駅を通過しております。

この間、車内には般若心経が流れますので、ご清聴ください。


スピーカーから低く響く読経。魔物たちは耳を押さえ、座席下に転げ落ちて悶絶する。


美佳はきょとん。

「ねえ、眠くなる子守唄みたいじゃない?」


須磨子様は組んだ手をほどき、軽く瞑目。

「……落ち着きますわね」



---


【アナウンス】呪詛駅にて安全確認のため一時停車いたします。

線路に五寸釘が多数確認されておりますので、点検終了までしばらくお待ちください。


停車した瞬間、妖怪たちがざわめき、全身に痛みを訴えて崩れ落ちる。


美佳「えっ、五寸釘ってそんなに効くの!? 万能じゃん!」


須磨子様は優雅にうちわをあおぎながら、静かに微笑む。

「……万能ではございませんのよ。呪いの相性、というものですわ」



---


【アナウンス】十字架キャンディ駅ー、十字架キャンディ駅ー。

ダァシエリイェス!!


美佳「ハッピーハロウィン! 甘いの食べて元気出して!」


手渡されたキャンディを口にした悪魔たち。

「ぎゃああああ!」

車内に絶叫が響き渡り、床に転がりのたうち回る。


須磨子様は紅茶をひと口。

「……後味が、少々ビターですわね」



---


【アナウンス】次は御神酒と護符クッキー駅ー、御神酒と護符クッキー駅ー。

ダァシエリイェス!!


美佳「お疲れさまー!これで一杯どうぞ!」


御神酒を口にした幽霊たちは一斉に白煙を上げて昇天。

護符クッキーを囓った妖怪は悲鳴をあげながら溶けて消えた。


須磨子様は皿を受け取り、クッキーを優雅にひと口。

「……素朴でいて、深みのある味わいですわ」



---


【アナウンス】ただいま讃美歌エクスプレスが通過いたします。

当列車は安全のため徐行いたします。


車外から流れ込む荘厳な讃美歌。残った魔物たちは耳を塞ぎながら断末魔の声をあげ、次々に灰となって崩れ落ちた。


美佳「うわぁ!大人気!みんなノリノリじゃん!」


須磨子様は頬杖をつき、窓外に目をやる。

「……安らぎに満ちていましたわね」



---


【アナウンス】次は終点、昇天ー、昇天ー。

どなた様も思い残しのないようご注意ください。

ダァシエリイェス!!


美佳「……あれ? みんないない?」


須磨子様は残りの紅茶を飲み干し、静かに笑う。

「皆様、気持ちよく成仏なさいましたわ」



---


【アナウンス】終点昇天ー、終点昇天ー。

本日も暴走超特急をご利用いただきまして誠にありがとうございました。

ダァシエリイェス!!

※本作執筆中、著者はかぼちゃスープを飲んでいました。

※栄養満点!と安心していたら、横に置いてあったクッキーがいつの間にか全滅。

誰の仕業でしょう…… ←お前だ。

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