ひ、左甚五郎作の眠り猫と三猿だけでも!! 後
「しかし大変です、もし仮に建物に被害が出た場合、左甚五郎作と伝わる眠り猫と三猿が永遠に失われる事に!?」
「へっ和尚さん俺に任せな! 怪獣が来る前にペキッと剥がし取ってやるぜっ!」
そこに恐れ知らずのいなせな若者が現れた。
「おお、君の名前は?」
「へっ名乗る程の者じゃねーが、俺の名前は魚屋の一心太助15世ってモンだっ!」
「しかし和尚、もし建物が無事の場合はむしろ文化財に傷を付ける事に」
「へっ余計だっつうなら邪魔者はけえるだけさっアバヨッ」
くるり
「待ちなされこの和尚、三度の飯より眠り猫が好きでな、苦渋の決断だが前もって避難させようではないか」
「へっそうと決まれば、眠り猫よか可愛い度は下がるが、ついでに三猿も救ってやるぜ!」
シュババッ
一心太助15世は軽やかに立ち入り禁止中の東照宮に入ると、バキャッと眠り猫と三猿を外し終わった。
「おおっよくぞやってくれました。感謝申し上げますぞ」
「この眠り猫と三猿を握りしめながら東照宮の無事を祈ろうぜ!」
人々は迫り来る怪獣を見上げつつさらに後ろに避難した。
ーという訳の俺の家
「野生さん貴方がグズグズしてる間に東照宮がえらい事になっていますよ、早く搭乗しましょう!」
「……全裸だっ君が全裸になれば一緒に搭乗してやるよ!!」
俺が思わず言った条件は最低な物だった。
「全裸搭乗ですか? ふふふそんな程度で良いのですか、いいですよだって乗る時はいつも全裸ですから」
何っ乗る時はいつも全裸だと?
「いやいや操縦席が違うとか離れてるとかそんなだったら乗らないからな!」
「ご安心して下さい、同じ操縦室で同じ操縦席に座ります」
へっそれどんな状態!?
「ちなみに俺は?」
「貴方も全裸です。私が前に貴方が後ろに乗ります。ちょうど自転車の二人乗りみたいな感じです」
自転車全裸二人乗り……どんなんそれ?
「分かったよ、俺ようやくラヴジルhとやらに乗る決意がわいたよ。で、それはどこにあるんだい?」
「乙型-ラヴジルhです。常に亜空間で待機してて、貴方がラヴジールエーチ! と叫べば上空から現れて吸われて搭乗出来ます」
シィーン
「とりあえず外行こう!」
俺は裸が見たくて家族に気付かれない様に急いで外に出た。
「ラヴジルエーチ!」
シィーン
「何も来ないけど?」
「声が小さいです。死ぬギリギリ寸前くらいの大声で叫ばないと」
「どんな声だよ。そんなんご近所に聞かれたら次の日から軽く犯罪者扱いされるよ……そうだ自転車でデカイ公園に行こう、あそこなら誰にもバレないよ」
「どれくらいかかりますか?」
「30分くらい?」
「早くしましょう!」
チャリッ
俺とラヴジルは自転車に相乗りした。ゲゲッ俺女の子を後ろに乗せるの初めてだよ。何故だろう、こっぱずかしいが。
「早く早く!」
「はいはい」
俺は裸の為にひたすらペダルをこいだ。
チャリチャリチャリ!