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速攻、宇宙巨大戦士の中の人


「わぁーい夫婦ケンカだ! ラヴジルと野生夫婦ケンカだ~~」


 タオル一枚でひらひらして裸体が見えたり見え無かったりするズギャ子が、手を上げながら俺達の間に入ってくる。あれだな、犬が人間のケンカ見るとシッポ振って喜んで吠えてくる現象と同じだな。


「よーしよしよしよし、そうだぞ。ラヴと俺はもう肉体的には夫婦だからな。これは正に夫婦ケンカ」

「はぁ変な事言わないでくれますか? あれは一種の巨大ロボットの為のインターフェースの為ですからっ」


 ラヴジルが顔真っ赤にしながら言い訳しているが、お前が襲って来たんだろうがっ。


「あんた、その年で夫婦って? 肉体関係ってどういう事だい? やっぱり神待ち掲示板じゃないか」

「落ち着いてくれよ母さん、親のくせに子供の可能性を無視か? 俺達愛し合って肉体関係におちいったんだよ……なぁ?」


 どバシッ!

 ラヴジルに思い切り殴られる。


「いてっ何するんだよ?」

「今後その事に言及したら即、殺します」

「犯罪だろーが」


「宇宙では犯罪に当たりません」

「お前セクハラで宇宙大法廷とか言ってただろーがっ」

「うわーい夫婦ゲンカだっ!」

「あんた達どういう関係なんだい?」


 永久ループに入った。



 ー次の日


「じゃあラヴと母さん、ズギャ子の服を頼むわ。あと世話もよろしくな!」

「あ、こら待てーっ」

「あんたこの子の家に連絡しなくて良いのかい?」


 俺はズギャ子の世話を親とラヴに押し付け、学校に行く事にした。


 ー学校

 カーンコーン

 またたく間に授業は終わって放課後となった。充実した人類史に残る勉強だったよ。

 すくっ

 クラス委員の冬八木夏津子がいち早く立ち上がった。


「今日は皆さんにお知らせというか、お頼みしたい事がありますの。私はクラス委員兼、生徒会長兼、宇宙害獣退治部部長を兼任しているのですが、昨日の夜に栃木県に宇宙怪獣が現れ日光東照宮を完膚無きまでに粉砕した事はご存じの事と思いますの。それでっ生徒の皆さんには、この宇宙怪獣の一味かも知れない謎の巨大ロボット情報を少しでもあれば密告して欲しいのです。有力情報には我が父の財閥から金一封をお出ししますわ。庶民の者共には生活の足しになり大助かりの事でしょう!」


 おいおいケンカ売ってるのかコイツ? 誰が協力するかっていうか何怪獣の一味とか決め付けてやがんだよ。


「素晴らしいっ皆さんで拍手をぱちぱちぱち」


 おいおい多額の寄付を受けてるからってコビ売り過ぎだろ先生!


「俺も敵ロボットの情報を探すよ!」

「あれは見るからに悪い奴だわっ」

「わーわー」


 反対者は居ないのかよ。どんな歪んだ人気あるんだよ。こいつは学園を掌握してるのか?

 スタスタスタ、バンッ!

 澄ました顔で歩いて来た冬八木は突然俺の机を思い切り叩いた。実はこいつは幼稚園からの腐れ縁で、成績優秀・モデル並みのスタイルで美人・おまけに運動神経が良い、誰からも憧れられてる学園一の人気者美少女なのに、何故か俺にばかりちょっかいを出して来る。何故だよヤレヤレ、ヤレヤレヤレ。


「薫、今日と言う今日は宇宙害獣退治部に入ってもらうわよ! 帰りに部室にいらっしゃい、二人きりで作戦会議よっ」


 宇宙害獣退治部には冬八木の一人しか居ない。けっこう可哀そうな奴なのかもな。

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