CASE.1 交通事故【ひき逃げ】その4
やっぱりね...
椿は白夜が調べてきた斎藤剛の情報の紙を見ながら思った。
ちなみにこの紙はどこから仕入れているのかは知らない。聞いても、
『ひ・み・つ』
と言って教えない。このドヤ顔殴りたい…
それは置いておいて彼の情報だ。事細かに書かれているが、必要な情報を拾う。
斎藤剛 17歳
県立皆神学園高等学校2年5組
家柄 裕福(父親が政界の人間)
ここまではまあ普通……政界の父親がいるとなるとかなりお金持ちだなとは思うが、まあいい
問題は次から……
繁華街のBARでドラッグ(デタントという薬)をやっている。
煙草、飲酒、無免許運転……
まあ出てくる出てくる。
(彼女の悩み……どう考えてもこれだ、これを突きつけて、彼女がなんて言うか…かな。彼女をひき殺した犯人……たぶん……)
椿は自分の考えていることを確信へ変える為に再び彼女のお墓に向かった。
「リナさん。姿を見せて下さい。」
椿がそう言うと、リナはゆっくり姿を表す。
相変わらず髪で顔は見えない。
[なに……?]
リナが言う。
椿は持っていた剛のことが書かれた紙をリナの前につき出す。
「ここに書かれている彼……リナさんの彼氏だったみたいね。これ……リナさん気がついていたんじゃない?」
ここまで言うと椿は黙る。
紙を見て(髪で見えないがたぶん見ている)しばらく沈黙したかと思ったら、リナはカタカタと震え出す
[ああ…あ"あ"あ"あ"あぁぁ!!!]
リナは顔を両手で覆い叫びだす。
幽霊が発狂するのはよくあること…
椿はリナの肩に手を置き少し落ち着くのを待つ。
「知っていた…のね?」
椿はリナが少し落ち着いたところで話を切り出す。
リナは黙ったまま頷く。
[しんじられなかった…かれがこんなことしてるなんて…がっこうでも……ゆうとうせいだった……なの…に……なのに……]
絞り出すような小さな声で話始める。
◆◆◆◆◆◆
リナから話を聞き出した。
繁華街のBAR近くで彼を見つけてこっそり後をつけたこと、そして煙草や飲酒、薬物をやっていたこと、そして……見ていたことが彼にバレたこと……
誰にも言わないから別れて欲しいと言ったこと、駄目だと薬を口にねじ込まれて飲んだこと……これで同罪だと言われたこと、薬で頭がおかしくなりそうだったがそれでも別れてくれと頼みこんで別れたこと、そして……別れた次の日に...……彼が運転する車でひき殺されたこと……。
リナの脳裏には次々と今までのことがフラッシュバックしていた。
[それでも…それでも…しんじたくなくて...……だ…だいすきだったから…]
リナは両手で顔を覆いながら泣き崩れる。
「そっか…それで信じたくない気持ちがあなたの心に蓋をしていて最初は犯人が捕まるだけでいいって言葉になっていたのね…」
リナは頷く。
[かれにひきころされたぶぶんだけ…かすみがかかったようにおもいだせなかった………でもさっき…みたかみをみてすべておもいだした]
椿頷く。
そして彼女にもう一度質問をする。
「あなたの未練を果たします。望むことはなに?」
リナはゆっくりと話だす
[かれ………に…おなじおもいを…くるしみを!!]
その言葉に椿はニッと笑う
「オッケー分かった!」
椿はそう返し神社の中へ戻っていく。
それを見てため息をつく白夜
『ちゃんと最後まで説明していきなよ…全く……』
そう言い白夜はリナに向き直る
『あのね…未練をたちきる為に彼に痛い目にあわせるのは止めないんだけど、一つだけ問題があるんだよ。……それはね…』
白夜は真剣な表情で説明する…………
それでもいいとリナは了承した。