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7 すき焼きだよ。

 すき焼きだよ。


 とてもいい匂いがする。

 どうやら、今日の晩ごはんは豪華ですき焼きのようだった。(なにかよいことがあったのかもしれない)ぐつぐつとすき焼き鍋の中で、野菜(白菜、しいたけ、しらたきなど)それにお豆腐が煮えている。夏秋のお母さんは、ご飯を炊きながら、牛肉の用意をしていた。

「今日はすき焼き! すっごく嬉しい! ね、お兄ちゃん!」と秋冬は本当に嬉しそうな顔で言った。

 確かにすき焼きは嬉しかった。

 溶いた卵につけて、炊き立てのご飯と一緒に食べるすき焼きのお肉は本当にぽっぺたが落ちるくらいに美味しかった。

「うーん。美味しい!」と家族のみんなで「いただきます」をしてから満面の笑みでお肉を頬張っている秋冬は言った。

「すき焼きってどうしてこんなに美味しいんだろうね。本当にいくらでも食べられるよ。ね、夏秋お兄ちゃん!」とすき焼きのお鍋をはさんで、反対側の椅子に座っている夏秋に口いっぱいにすき焼きをご飯と一緒に頬張っている秋冬は幸せそうな顔で言った。

「うん。たしかに美味しい。いくらでも食べられる」と夏秋も大きな口をあけて、おいしそうにすき焼きのお肉をといた卵につけて食べていた。

 それから、家族のみんなでぐつぐつと煮えている美味しいすき焼きを食べていたのだけど、突然、なにかを思い出したように、はっとした顔になると、こそこそと席を移動して、秋冬は夏秋の隣にやってくると、「夏秋お兄ちゃん。千鶴お姉ちゃんとなにかあったの?」

 と小さな声で夏秋に言った。

「どうしてそんなこと聞くの?」

 少し驚いて、箸を止めて、夏秋は言う。

「千鶴お姉ちゃん。隠れて泣いてたよ」ときょろきょろしてから、夏秋の耳元で、やっぱりとっても小さな声で秋冬は悲しそうな顔をしながら、そう言った。

「え?」

 そう言ってから、じっと考えごとをしている夏秋の足元では、五つ子の子犬たちが元気いっぱいで、いつものようにご飯を美味しそうに食べていた。

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