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5 早苗 さなえ

 早苗 さなえ


 早苗が夏秋の家にやってきたのはとても珍しいことだった。

 なので、千鶴は夏秋の家の前で友達の早苗と出会ってすごくびっくりしてしまった。

 ……、早苗は相変わらずとっても、とっても、綺麗だった。(千鶴も見惚れてしまうくらいだった)

「あ」

 と早苗はやってきた千鶴を見てそう言った。

 それから少しだけ動揺した顔をしたけど、すぐに早苗はいつもの元気な(自分に自信のある人の)笑顔になった。

「こんにちは。千鶴」と明るい声で早苗は言った。

「うん。こんにちは。早苗」と千鶴は言った。

 早苗と一緒に夏秋の家に入ると、お庭にはいつものように五つ子の子犬がいた。

「お腹すいた! お腹すいた!」

 わんわん! と言って、五つ子の子犬たちは千鶴に甘えてくる。

 早苗は犬が(というか動物が)少し苦手なので、ちょっと遠くに立っていた。

 今日は、秋冬はどこかに遊びに行っているのか、あるいはお家の中にいるのか、お庭にはいなかった。

「よしよし」と五つ子の子犬たちの頭を撫でながら千鶴は言った。

 ……、早苗は夏秋くんのことが大好きみたいだった。

 隠しているようだけど、千鶴にはそれがなんとなくわかっていた。

 ……、一番仲のいい友達だったから。 

 そんなことを五つ子の子犬と遊びながら、千鶴は思っていた。

 早苗は夏秋に用事があるみたいだったので、千鶴は今日は帰ろうと思ったのだけど、「一緒にいてほしい」と早苗に言われたので、早苗と一緒に夏秋の部屋の前でいつものように「夏秋くん。いる?」と声をかけた。

 すると「いるよ。どうぞ」といつもと変わらない呑気な秋夏の声が、引き戸の向こう側から聞こえてきた。(ちょっとだけ、腹がたった)

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