3 秋冬 あきふゆ
秋冬 あきふゆ
夏秋には秋冬と言う小学生の元気な妹がいた。(持って帰りたいくらいに、とっても可愛らしい子だった)
「こんにちは。千鶴お姉ちゃん」
日曜日に千鶴が夏秋のお家に遊びにくると、お庭で五つ子の子犬と楽しそうに遊んでいた秋冬が千鶴に言った。(まだまだ寒い冬なのにみんな元気だなと千鶴は思った)
「こんにちは。秋冬ちゃん」とにっこりと笑って千鶴は言った。
「夏秋くんいる?」と聞くと、「いますよ。ずっとお部屋で悩んでます」とくすくすと笑って秋冬は言った。
「悩んでるってなにを?」千鶴の足元には、いつのまにか、五つ子の子犬たちが集まっていた。(ごはんをくれると思っているのかもしれない)
「それは秘密です。お兄ちゃんに口止めされてるんです。私」と楽しそうな顔をして、ないしょの仕草をして、秋冬は言った。
お庭を駆け回っている五つ子の子犬と秋冬と一緒に少し外で遊んでから、千鶴は夏秋の部屋に行ってみた。
あの夏秋くんが悩んでいる。いったいなにを悩んでいるのだろう? 進路のことだろうか? うーん。なんだろう? 私が力になってあげられることだといいな。
そんなことを思いながら千鶴は夏秋くんの部屋の前で「夏秋くん。いる?」といつものように声をかけた。