其の二 大阪予選
そして試合の日が訪れた。これまで練習で積み重ねてきた事を実践に活かす集大成の日である。緊張が走る第一戦の相手は、東大阪市立日新高等学校定時制だった。
正直な話しこれまで練習を重ねてどれだけ実力を付けたといっても、オレ、三浦、柳井、進、プラティニ、北野の六名以外の選手の内、五名は試合に出さなければならなかったので、多少なりとも不安はあった。しかし試合が始まってみると、彼らは思った以上に実力を発揮した。これまで彼らが真剣に取り組んで来た結果が試合に活かされていたのである。それを点数で表すと100点とまではいかないが、厳しい評価だが65点は付けてあげたいほどだった。それほど彼らの実力は元々底の底だったのである。そんな彼らのフォローを皆で補いつつも、試合が終わってみると9対0と圧勝だった。そんなオレ達の勢いは止まる事を知らず、次の週に行われた二回戦の藤井寺工科高等学校定時制を3対2で降し、その翌週に行われた三回戦 長尾谷高等学校通信制も多少の苦戦は強いられたがまた3対2で勝ち進み、準々決勝の大阪府立今宮工科高等学校定時制との試合も4対1と3点差をつけて勝利した。そしていよいよ決勝戦に臨んだのである。試合は猛暑の中行われたその相手は、大阪府立吹田高校定時制である。これまで培ってきた、それぞれの厳しい練習に対する自信がその試合結果に表れた。オレ達のシュート数10本に対して敵のシュート数は僅か3本と、後半など柳井や北野までバックラインから上がりシュートを解き放ったが、結果試合が終わってみるとそれほど点差は開かず2対0だったが、充実した試合内容だった。
こうしてオレ達岸和田市立産業高等学校定時制サッカー部は、大阪予選を充実した試合結果で勝ち抜いて晴れて大阪代表となり、来たる8月5日から開催される第4回 全国高等学校定時制・通信制サッカー大会の出場権を手に入れたのである。