其の七 負けられぬこれからの人生
その日の夜、家族で晩飯を食べ終わった後、じいちゃん(喜作)の膝の上に乗って、一緒に野生の王国というテレビ番組を見ながら、今日一日の幼稚園であった出来事を話して聞かせた。えっちゃんという子とのケンカの件になると、オイラの頭の後ろでじいちゃんの鼻息が急に荒くなった。
「でっ、勝ったんか? 負けたんか?」
じいちゃんの声色が急に変わり、振り向くと、眉毛を片方吊り上げた『鬼の喜作』の形相になっていた。もちろん勝った負けたで言うならば、あの場合は勝ったという事に値すると思ったのでそう報告すると、
「そうか、そうかぁ~っ!」
と、オイラと遊ぶ時だけによく見せる、『仏の喜作』の顔にみるみる変わっていった。
「さすがわしの孫じゃわい!」
頭を撫でられたが、これが仮に「負けた」と報告していたならばどうなっていた事だろう……。言うまでもない。間違いなく嫌がるオイラを引きずってでも相手の家へ連れて行き、じいちゃんの見ている前で再戦させ、勝つまで家には入れてもらえなかった事だろう。想像しただけでも一滴ちびってしまった。
ブラウン管の中では百獣の王ライオンが、雌ライオンにちょっかいを掛けようとする縄張りに入って来た雄ライオンを、物凄い牙を剥き出しにして縄張りから追い払っていた。
岸和田㊙物語シリーズとは別に、ローファンタジーの小説、
海賊姫ミーシア 『海賊に育てられたプリンセス』も同時連載しておりますので、よければ閲覧してくださいね! 作者 山本武より!
『海賊姫ミーシア』は、ジブリアニメの『紅の豚』に登場するどことなく憎めない空賊が、もしも赤ちゃんを育て、育てられた赤ちゃんが、ディズニーアニメに登場するヒロインのような女の子に成長して行けば、これまでにない新たなプリンセスストーリーが出来上がるのではと執筆しました。