61/141
其の八 儚い初恋
二学期が始まると悲しい情報が飛び込んで来た。愛しのかわい子ちゃんが二学期半ばに転校するという内容だった。その情報を聞いたオレは無性に彼女の顔が見たくなり、彼女が居る一階の教室に駆けて行った。かといって彼女に話し掛ける訳でもなく、それとなくそのクラスの男子と話しながら彼女の姿を一目見ただけである。
時は瞬く間に過ぎ中間テストがやって来た。自慢じゃないがオレは小学生時分、漢字の穴埋めテスト(〇肉〇食)で弱肉強食と記入するところ、焼肉定食と記入した男である。なのでオレは中間テストなど蟯虫検査ぐらいの勢いで、期間期間にその都度行われる定期健診のように思っていた。当然テストはそれなりの結果であるが、やれば出来る男である。やらないだけである。一度IQのテストをさせられた事があったが、百科事典に載っているアウストラロピテクスより勿論IQは上である。
そして中間テストが終わると、我が愛しのかわい子ちゃんにさよならの言葉も告げれぬまま、彼女は次の学校へと転校して行った。岸和田祭りが終わった翌月の事である。