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第三十八章『夢実現に向かって!』 其の一 先を見据えて

 テレビの影響とは恐ろしい物である。『男女8人恋愛ツアー! TOKIOのな・り・ゆ・き!』が放映されて間もない頃、マウ二に一本の電話が入った。電話の主は、テレビを観てオレに片思いした伊勢在住の女の子が、オレの自宅の電話を調べて掛けて来たのである。電話の内容は一度会って欲しいというもので、まず先に顔写真を送るのでそれを見た上で返事してくれればいいとの事だった。自称レースクイーンをしているというその女の子は、後日二枚の写真を送ってくれた。友達と一緒に映るその女の子は正直言って可愛かったが、どちらかと言えば友達の方がオレのタイプだったので、一度会うという話しは丁重にお断りした。

 そんな事があって数日後、ケンちゃん(第十八章『競い合う二人』参照)から電話があった。電話の内容はケンちゃんの奥さんが、『男女8人恋愛ツアー! TOKIOのな・り・ゆ・き!』を観て非常に面白かったので、暇があれば遊びに来てやって欲しいとの事だった。知り合いからそう言われると照れ臭いものであるが、そこは付き合いの深いケンちゃんの頼みである。オレは仕事が終わってからケンちゃん宅にお邪魔した。お茶をよばれながら和気あいあいと三人でなりゆきの話しで盛り上がった後、自然と祭りの話に移り変わり、互いに祭りに熱い二人は、これからの春木地区の祭りについてどうあるべきかと議論が交わされた。ケンちゃんは先を見据え、この時分はまだ祭り本番のラパーク前には、屋台の出店(でみせ)出店(しゅってん)していなかったのに対し、


「俺は行く行くラパーク前を、出店で埋め尽くすような春木を活気ある祭りに替えたいんやぁ!」


 と熱く語ってくれた。ケンちゃんは行く末を考え、子供たちが今以上にもっと春木の街を好きになれるような近未来の事を考えていた。オレはケンちゃんのこの意見に感銘を受けた。これまでオレは八幡町の事は人一倍考えて来たが、春木の行く末を考えるケンちゃんは男として大きく見えた。小学校時分に生徒会長に立候補していたケンちゃんは、何も面白い演説をする男だけではなかったのだとこのとき知った。未来の子供たちの事を考え、今よりもより良い街造りを目指していたのである。こういった男が国を支えて行くべきだとオレはこのとき思った。しかしオレのこのとき思った事は、案外間違っていなかった事を近い将来知る事になる。それはケンちゃんが後に、とある市の市議会議員に当選し、子供たちの為に数々のイベントを催し、地域に貢献する人物になるからである。

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