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其の十九 アカンよ坊や
落索から数日が経ったある日、オレとはかなり年の離れた十五人組の先輩から頼み事を持ち掛けられた。その頼み事とはオレにとって嬉しい結果の現れだった。『純情学園男組』の放送を見た三歳になる親戚の男の子が、オレが番組内で、
「アっカぁぁぁ~~~ンよ!」
と述べたのが気に入ったらしく、毎日、
「アっカぁぁぁ~~~ンよ!」
を連発しては、
「団長、団長!」
とオレの事を言っているので、一度そのお宅に赴いてその男の子に会ってやって欲しいという内容だった。そんな事でよければ勿論オレは協力すると赴いた家は旧市の下野町だった。男の子に対面すると、男の子は照れ臭いのか恥ずかしそうにはにかんでいたが、目の前で、
「アっカぁぁぁ~~~ンよ!」
を言ってやると、男の子は嬉しそうにオレの真似をした。男の子を抱きかかえしばらく一緒に遊んでからそのお宅からオレは帰ったが、後にこの男の子が大きくなった時、八幡町青年団に入ってくれればいいのになぁ~! などとオレは胸の内で思った。