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其の十一 宴

 午後の曳行を終えて、夜の曳行までのひと時が、青年団にとって一番の酒の美味い時間帯である。午後の曳行を終えると、オレ達は夜の曳行に向けて提灯の骨組みやバッテリーの取り付け、最後に提灯とバッテリーへの結線を行うのだが、この仕事をいかに早く終えるかが美味しい酒と料理に早くありつけるかでもあった。オレ達は手慣れた動きで即座に提灯の段取りを済ませ、旧会館前の詰所に集まり、サーバーで酌んだ生ビールを次々に青年団に行き渡らせると、団長のオレが音頭を取った。


「皆お疲れさぁ~ん! 今日はええ遣り廻しやった! 皆ようやってくれた! 夜の曳行もまだ残ってるが、その前に上手い酒で盛り上がろかぁ~~い! ほなぁ~、皆、乾杯~ぃ!」


 オレは片手に生ビールを掲げ、男達もまた高々と生ビールの入ったグラスを掲げて、満足いく笑顔で各々嬉しそうな乾杯の声を上げた。宴会の始まりである。仮設のテーブルには美味そうな料理がたくさん並んでいた。夕食の豪勢な料理に男達は舌鼓を打ち、向かい合って座っている者や隣に腰を下ろしている者達と、その日の出来事を話しては盛り上がり、互いに何度も酒を酌み交わして美味い酒を飲むのである。そして腹も満たされ始めると、いつものように面白芸を披露しては更に宴は盛り上がり、この日、新団が用意して来た芸を披露し終わると、学は早くも目の前に出された海老料理の頭をむしり取り、皆に見えないよう亀頭に海老の頭を被せて芸の仕込みをしていた。学の海老チンチンが仕込み終わる前に、その繋ぎで三天王のイサム君が『ベンベン』を披露しては場を大いに盛り上げた。団長をしているこのオレも居ても立っても居られなくなり、自ずからいつものようにおバカな芸を披露した事は言うまでもない。やらずにはいられない性分なのである。

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