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其の四 第一回八幡町青年団バーベキュー大会!

 夏本番真っ盛りという時期になると、その月の寄り合いで、


「武くん。青年団でバーベキューしよよ!」


 という声が上がった。年下の者からこういう意見が上がってくるのは非常に良い傾向である。


「おっ、ええやんけぇ~、やろうやぁ~!」


 言うまでもなくオレの意見である。


「ほな場所は何処にする?」


 これは三浦である。


「それやったら八幡公園は?」


 七つ下の池内である。


「アカンアカン池内、そんなもん八幡公園で男ばっかりでバーベキューやって何がおもろいねん。夏いうたら水着の姉ちゃんがわんさか居る海やろぉ~!」


 とオレ。


「さすが武くん。去年のドリ目も驚いたけど、今年もドリーマーやわぁ~っ!」


 これは学の相方のあっちゃんである。

(ドリ目とはdream(ドリーム) eye(アイ)の略である。去年の祭りの休憩時間に、学とあっちゃんが、


「カラーコンタクト入れて祭り曳いたら女の子にモテるんちゃ~ん」


 と言い出したのがきっかけで、


「よっしゃ、ほならオレ今から買いに行って来るわ!」


 とオレは眼科に走ったのである。しかし眼科に着いて診察を受け、カラーコンタクトを受け取る段階で、ドクターから、


「この場で一度装着と取り外しが出来ない限り渡せません」


 と言われたのだが、オレは目薬も一人で点せないほど、ある種先端恐怖症にも似た、目に物を入れるのが怖い男だった。しかし武士はピンク好きである。色ごとに関しては妥協を許さない男である。休憩時間も残りわずかと迫っているのもあったが、それ以上に火事場のクソ力ならぬ不純な動機のミラクルパワーである。指先に付けたカラーコンタクトを眼の前に持って来ると、秒速で装着、そしてまた秒速で取り外しをやってのけたのだ。まさにミラクルである)

 話を戻そう。


「ということは二色浜け?」


 と五つ下のブチ。


「正解!」


 と、君ええこと言うたとばかりにオレはブチに向けて指を差した。

 当日会館前で皆で車に荷物を積み終えた後、オレは少し遅れて現地に向かうと学達に告げてその場で皆と別れた。そしてオレは知り合いにトヨタ スープラの五人乗りオープンカーを借りると、ド派手なBGMを流して和歌山目差して車を走らせた。ロシア人の女の子達に焼肉をごちそうしてやる代わりに、コンパニオン代わりに遊びに来てくれと話は付いていた。オレは女の子達の下宿先に車を付けると、携帯のダイヤルを回し、お気に入りのロシア女性に電話した。数分後、水着の上に軽くシャツを羽織ったロシア美女達五人が建物から下りて来て、


「ヘーイタケシ!」


 とオレの名を口にし、乗車定員を超えていたが構う事なく車に乗せた。目指すは青年団がバーベキューの用意をして待っている二色浜ビーチである。


 二色浜に着くと車を駐車場に止め、両手に綺麗どころを連れて青年団が待つ海辺のバーベキュー広場に颯爽とオレは登場した。

 学やあっちゃんそれにブチ他諸々、青年団の驚いた顔といったら、それはもう、映画『トップガン』で、ミグを三機撃墜して帰還したトム・クルーズを、皆が英雄のように称えるかのように、ロシア美女を連れて来たオレを称賛してくれた。そして宴会が始まると、美女の注ぐ酒に皆ウハウハ状態に次ぐ飲めや食えの大騒ぎで、一発芸を披露する者、浜辺にナンパをしに行く者、片言の日本語を話すロシア人に愛を語り出す者も中には現れ、みな祭り本番さながらに歓喜な表情を浮かべ、第一回八幡町青年団バーベキュー大会は無事幕を閉じたのである。因みにロシア人美女達は、二次会と称したマウ二での宴会に足を運び、具体的には言えないが、この日、国際的な交流を深めたのである。あしからず……。

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